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学園2年目

春休みは王宮で ※微

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「さて、帰るか」

早朝、まだ日が昇らないうちにトランクに荷物を詰めて寮から出る。
寮の外には既に王宮から馬車が来ていて、殿下の荷物が次々に積み込まれていく。
俺の少ない荷物まで積んでもらって、馬車に乗り込んでいざ出発。

「賢者の杖を調べる話、校長先生に任せて来ましたけど大丈夫ですかね?」
「うむ」

殿下は俺を連れてさっさと帰りたいらしい。
さらに上の闇魔法対策を考えないとならんだろう…
と言われると、仕方ない部分はあるよな。
馬車の中でひそひそと話をする。

「やっぱり洗脳のことは気になりますもんね」
「そうだな、お前が洗脳を受けた場合もだが、俺が洗脳された場合のことも考えないとならんな」
「殿下、洗脳されそうなんですか?」
「お前をどうにも出来なければ、最終的に俺を狙うしかなかろう?
 まあ、剣で負ける気はしないが、魔法対策はしておかないと困るな」

馬車はカタカタと揺れながら学園の正門を通過。
なんとここからはほぼ一本道で王宮に行ける。
さすが王家スーパーセレブである。

「洗脳って…どのくらいの距離で、どのくらいの時間でかけられるもんなんでしょうか」
「そうだな、それも確認せねばならんな」

魔法での洗脳は、普通に人を洗脳するよりずっと早いし楽なんだろうとは思うけど…

「ルース」
「はい」

チュッ。

「もー、何ですか」
「2人しかいないんだから良かろう?」

んもー。
そりゃそうですけど。

「キスぐらいで恥ずかしがっていては困るぞ?
 結婚したら、移動中に子作りもするのだし」
「えっ!?」
「王家は忙しいんだ、そこら中に視察へ向かうし、王太子のうちは他国へ行くこともよくある」
「えー…」

そんな、カーセックスしますよ宣言されてもなあ。
それってエロ属性上位のやつじゃんか…
宿でするんじゃ駄目なの?

「宿についたらついたで、やれ歓待の宴だとか…」
「うへえ…」

ああいうのって、主賓は飯食う暇もないし妙な含みのある挨拶されるし良い事1つもないんだよな。

「これも練習だな」
そう言うと、殿下は対面に座っていた俺を引き寄せて膝の上に乗せ、戸惑ってるうちにキスをした。
「んー!?」
俺は突然唇を持っていかれて抗議の声を上げる。

でも、抵抗できるのは最初の5秒だけ。
すぐに力が入らなくなる。
それが怖くて殿下の背中にしがみつく。
気づけば舌を絡ませあって、
濃厚なキスに夢中になる。

いつも思うんだけど、何でこんなにキス上手いんだろう…練習とかするのかな…ん、ふ…誰と…練習、するんだろ…ちゅ…ぴちゃ、くちゅ…ん、はあ…

「殿下…は、誰かと、練習…したんです、か…?」
「座学だけだ」
「う、そ…ん、ふ…」

そもそも、殿下としか、キスしたことないのに、
上手いかどうかなんて、分かるわけないんだけど。

「キスするとき…舌でどこを愛撫すればいいか…」
「ん!?ん…」ちゅ、くちゅ…

舌を絡めるだけじゃなく、上顎や歯列も優しくなぞられて甘い痺れが身体からだに流れる。
舌先同士が触れ合うと、その流れが早くなる。

「身体を愛でるとき、どこを可愛がればいいか」
「ひゃ、はあんっ、」

知らないうちに上着のボタンが外されて、
シャツの上から乳首を指でなぞられる。
気持ちよさがじわじわと理性を押しやる。

「ふ、う…ん、ひん…」

後ろに倒れるのが怖くて余計にしがみつくから、
されるがままになってしまう。

「かわいいな」チュッ。

いやらしい指の動きに反して、
優しくおでこにキスされる。
終わりなのか…と、ほっとしたのも束の間、
そのキスは耳朶へ移動してかぷ、とやられる。
耳元で囁かれる。

「他にもあるぞ」
「ふえ?」

おしりをグッと掴まれて膝立ちにさせられると、

「お前と繋がるときの準備や…」
「んんっ、ちょ、だめぇ……!」
「ここを解して柔かくするための方法…だな」

ズボンの布越しにおしりを撫でられる。
何でここがこんなふうに感じるのか…
分からない、けど、ゾクゾクする。
割れ目を指が伝う。
緊張して固くなったのは一瞬で、
すぐにほどけて溶けてしまう…

「ん…ふ、あん…、や、アルぅ…」
「ルース…可愛いな」

あかん、まじで。
カーセックス手前まで、来と…る、
もうグズグズに溶けて、理性…は、まだ、

「次の休憩まで、このまま…だ」
「あ…や、保たない…てばぁ…」
「練習だ、ルース」

カタカタと馬車が走る。
振動で下半身がアルの身体と擦れる。
いつの間にかシャツのボタンは全部外れて、
アルの、唇が、俺の…乳、首を…捉えて、

「あんっ!や、やあっ…!」
「かわいい…ルース」
「あっ!あ、アルっ!も、アルぅ!」

あかん。
あかんて…

14歳、や、ぞ…

----------

2回の休憩を挟み、丸1日かけて王都へ到着。
着いたときにはすっかり夜だ。
前回は昼に出て朝ついたんだっけ。

キスのし過ぎで唇が腫れるって、本当だったんだな…
見られると恥ずかしいので自分にも殿下にもヒールをかけて治す。
ついでにズボンも履き替える…。

本日3度目。

私服のズボンの替えが無くなってしまった。
ギリギリだった。

夜だからか、馬車はそのまま正門を抜けて殿下の私室である離れへ向かう。
瀟洒な玄関に立つと、何だか前と様子が違う気が…

「1階を菓子屋にしてみた」
「えー!!」
「遠慮なく使うといい。道具も揃えた」

えー!
確かに無駄にでかいリビングだったけども!!
思い切ったことしたなあ!

「私室や寝室は2階だし、問題なかろう」
「ええー!!」

すごい…殿下のお菓子にかける情熱は本物だな。

「中に入って見てみろ。
 他に必要なものがあれば仕入れる」
「え、あ…はい」

玄関、もとい店の入口を開けて入る。
中にはお会計のカウンターに、焼き菓子を陳列する棚、小さなイートインコーナーまである。
奥のキッチンには大きな薪オーブンと魔石オーブン、生地を広げられる大きな大理石の台、四つ口のコンロに大きな流し…
それから、丸形ケーキ型が4種、スクエア型が2種、タルト型にタルトストーン、パウンド型、マフィン型にマドレーヌ型…かわいいセルクルが壁にいっぱいかけてあるし、ホイッパー、レードル、ボウルも大きさ違いでビシッと揃えてある。
そして何より大きな冷蔵庫。
これ200万くらいしてたやつだよね?

「すごい…すごい!立派なお菓子屋さんです!」
「パンも焼けるぞ。酵母とかいうのも置いてある」

すごすぎる。
ここまで揃ってたら何か作りたくなっちゃうな…。

「砦で使いきれなかった材料もここへ持ってきているし、小麦粉や砂糖に生クリームもあるぞ」
「じゃあ、早速…スパイスココアを作っても?」
「うむ」

夜も遅いし、それが精一杯かな。

「使ってみて、使いづらいところが有れば直す。
 細々としたものは、買いに連れて行ってやる」
「ありがとうございます!
 …って、ここ…俺が使っていいんですか?」
「いいも何も、ここはお前の菓子屋だ。
 イドラ曰く、ここでお前が作った菓子を食えることに価値が出るそうだからな」
「なるほど?」

意味はよく分からんけど、イドラ君の商才に間違いは無いだろうからそうしよう。
お店やるなら儲けを出さないとね!

客層が掴めないけど!



***

2022/03/13
ぼんやりしてちょっと改稿してしまいました。
なぜだ……
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