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学園2年目

光属性と古代魔法と賢者の杖

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それは、春休み前日のこと。
俺とマグノリア先生は殿下の視察にくっついて、冒険者ギルドに来ていた。

「そういうわけで、クリビアさんにも是非ご参加頂けないかと思いまして」
「はあ…」
「お子さんもご一緒に来てもらえるように考えますので、ぜひ来てもらえませんか…王宮に」

--+--+--+--

光属性の魔石の話をしてからすぐ、古代魔法研究室は即座に魔石工学研究室に乗り込み、魔石のことを調べ、魔石は魔物から採れるんだからと魔石工学研究室と一緒に魔生物学研究室に突撃し…

結果。

「いかにして属性は7つに分けられたのか」
「光属性の魔石は存在するのか」
「無属性の魔力と光属性の魔力について」

…をテーマに3つの研究室が小教室に集まって話をすることになり、

そこに俺が加わったことを聞きつけた魔法バカ4人組+ジョンさんが参戦を決め、

賢者の杖は王宮の管轄だから殿下なら見たことがあるんじゃないかと言うことで声をかけ、

さらに賢者の杖を作った人が先祖だっていうガーベラ先輩も呼んだほうが良いということになり、

誰かがこの国に流通している魔石の記録を見
たいとか言い出したせいで莫大な資料をホバー台車に乗せたイドラ君はやってくるし、

そういえば「気」が無属性魔法っぽいからと「気を使える」ケンタウレア先生も呼んで意見を聞こうと思ったらゴード先輩とカイト君もついてきて、

そうしたらケンタウレア先生の強さの秘密を知りたくなったカレンデュラ先生もやってきて…

教室はギッチリ。

ちなみに他の研究室に俺を奪われるなと厳命されたアレクさんは当然最初からいる。

簡単に言うと、学園に所属しているクリスマスパーティーに出たメンバーが全員と、魔石工学の教授に魔生物学の教授にマグノリア教授、それぞれの研究生が集まっているということだ。

色々わあわあ話をしたが、結局古い取引記録は戦争で燃えて無くなったこと、殿下も杖を見たことがないしガーベラ先輩も使ってる魔石の種類は分からないので、まずは実物を見に行こうということになり、

「魔法を使わない人でも杖は使えるのか」

ということでトレッドさんに声をかけてみたところ二つ返事でOKをもらい、
光属性が古代魔法に近いかどうかを検証したいということで光属性しか持たない人の心当たりを探したところクリビアさんの名前が上がり…

冒頭に戻る、というわけだ。

--+--+--+--

「賢者の杖を見に行こうツアー」当日。

今日は現地集合…ということで、殿下と俺はみんなを出迎えに手を繋いで正門まで歩く。
高い服着てメイクして髪セットして王子様にエスコートされてる自分に目眩がする。

「はあ…」
「いい加減慣れろ…たまには正装も新鮮で良いな」
「俺、まだ正式には何者でもないんですよ?
 こんな派手な事して大丈夫なんですか?」

去年と同様、闇魔法に対抗する手段を身につける為だということで会議のあとすぐ王宮に行くことになってたから、ツアーの日程も参加者もおじいちゃんに丸投げしてきたのだが…。

正門に着くと、タキシードを着た人たちが大勢、4列になってビシッと整列していた。
コワイ。

何で正門から入ることにしたんだろう…
めんどくさいことになるだけなのに。

「何ですかこの豪華な馬車」
「正門から王宮を訪ねるんですから…仕方なく」
「何ですかこのキラキラした衣装」
「正門から王宮を訪ねるのなら、正装でしょう?」
「何ですかこの馬の飾り付け」
「「正門から王宮に来るなら当然だよ?」」

デスヨネー、知ってた。
知ってたけど初めて見た。
威圧感が凄いんですけど。
あと車列!長っ!!何人来るの!?

動揺を隠せないでいるところへ、エキゾチックな格好の人がやってきて挨拶してくれた。

「はーいルース、お招きありがたい」
「ノースさん…?」
「そーよ、お土産、持ってきた」
「お土産…?」
「シャラパールとローズ、仲良しのお土産よ!
 貿易したい人たちとたくさん積んできた」

まさか、この車列…
待て、どこまで土産積んだ馬車だ!?

「10台くらいよ」
「じゅうだい!?」
「そう、商会のひとも一緒よ、アイリスの御曹司くる、都合いいだって、ほら」

あっちを見るとお父さんたちと一緒に殿下にご挨拶するイドラ君の姿が…
完全にガチの商談する気じゃん。
杖関係なくなってんじゃん。

そうして、色んな人を出迎えていると、最後に王家の紋章が入ったひときわ豪華な馬車からおじいちゃん先生が降りてきた。

「お、出迎えご苦労さんじゃの」
「ご苦労さんじゃないですよ、なんで正門から来るんですかっ?」
「仕方ないじゃろ、『正門から入れ』って息子に言われたんじゃもん」
「息子!?」

すると、あきれた顔で殿下が俺にこう言った。

「お前、本当に気づいてなかったのか?
 校長おじいちゃんは俺のお祖父様じいちゃんだぞ」
「あっ、そうなんですか、だから……
 …………………は?」
「まあ、そういうことじゃ。
 どうせあと数年で本当のお義祖父じいちゃんじゃし、これからもおじいちゃんと呼んで良いぞ?」
「えええええ」

どゆこと!?
おじいちゃんはおじいちゃんだけど、
おじいちゃんになるからおじいちゃんでいいの?
混乱してきた。

「…気づいてないのはお前だけだぞ」
「うそやーーーん!!」

どおりで時々「何か殿下に似てるな」…って…思ったりしてたけどもさ、けどもだよ…こんな自由人が王様してたとか思わないじゃんか。

俺が茫然としていると、王家の馬車からさらに人が降りてきた。
トレッドさんとクリビアさん…
と、小さい子が2人。

「お、ルース!お招き感謝致します…だっけ?王家の馬車、初めて乗ったわ…すげえな」
「お招き頂きありがとうございます!子どもまで一緒に乗せて頂いてすいません、ほら、ご挨拶は?」

クリビアさんに促されてキリッとした顔になった子どもたちが、俺にご挨拶してくれる。

「おまねきいただきありがとうございます!」
「おまねちいたたちありがとごじゃます!!」

めっちゃかわいい…癒される…
俺は2人に目線を合わせてご挨拶を返した。

「ようこそいらっしゃいました。
 丁寧なご挨拶を頂き有難うございます」
「…できてた?」「でちてた?」
「できてるできてる」

やったあ、なんて言ってニコニコしてる2人。
それを見てニコニコしているクリビアさん。
幸せそうな家族の構図がそこにはあった。

つられてニコニコする俺。
それを見て同じくニコニコしていたおじいちゃんが、俺をチラチラと見ながら一言。

「曾孫ができたらこんな感じかの~、可愛いの~」


もう!おじいちゃんたら!
今から曾孫をせがまないの!!

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