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学園2年目
テスト期間の三学期
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砦であれこれ研究やら何やらしていたら、いつの間にか三学期。
おじいちゃん先生に魔法系の授業を目一杯詰め込まれたせいで、テスト範囲が異様に広くて大変だ。
分からないところは教科書を読んでノートを見て…ってすればいいんだろうけど、いかんせん暫く休んでた間のノートを貸してもらえるあてはなく、分からないことは聞きに行くしかない。
魔法系はおじいちゃんの研究室にいるメンバーやソラン先輩に聞けば大体分かるからいいんだけど…
問題は「外国語」。
「魔法学会で各国の研究機関と話が出来た方が良かろ?」と言って、おじいちゃんが3の日の午後2コマにむりやり詰め込んだのだ。
おかげで初級じゃなくていきなり中級を受けるはめになってしまった。
この世界、ローズ王国の隣までは同じ言葉なんだけど、隣の隣は別の言語。
海を渡るともう一つ別の言語…で、大きく4つの言語が使われている。
ローズ王国周辺で話されているのがローザンヌ語。
隣の隣で話されているのがクナウティア語。
海を挟んでお隣で話されているのがシャラパール語。
その向こうはアルテミシア語。
その昔、この世界が4つの大国に分かれてたころの名残らしい。
学園ではどの外国語も学べるようになっていて、俺は最初の頃隣の隣の国で冒険者しようと思ってたから、1年生の時にクナウティア語の入門を取ったんだけど…
詰め込まれたのは「シャラパール語」と「アルテミシア語」。
「クナウティア語は人気があるじゃろ?だから席が開いてなかったんじゃ」
って、そんなご都合知りませんよ!!
とはいえ、文句ばかり言ってても仕方がない。
やらねば。
「それでも、アルテミシア語は文法が変わらないだけましなんだけどね…」
「師匠も大変だなー」
クナウティア語とシャラパール語は文法が英語っぽいんだよな。
前世では英語はそこそこ出来た方だから、頑張れば何とかなる…はずだ。
第二外国語で選択したフランス語は散々な結果だったけどな!
そんなわけで今日は魔石工学の研究室へやってきた。
おじいちゃんから「絶対に魔石工学にルースを渡すな」と厳命されたアレクさんも一緒である。
本当に大げさなんだから…ガーベラ先輩になら分かるけど。
真剣な顔で出されたお茶を毒見するアレクさん…いや、そういうことじゃないと思うよ?
「今日はシャラパール語をやるんですよね?」
「そうそう、ここにノース・コリアスさんっていうシャラパール王国から来た留学生の人がいてね、その人が時間取ってくれるって話で」
ちなみにシャラパール語でノースは美しいという意味だ。
「俺の4番目の兄貴もノースって名前で、おまけに嫁いだのがシャラパールでさ。
一応縁がなくもないから、引き受けてくれたんだと思うんだけど…初めましてなんだよね」
「え、そうなの?俺は見たことあるぞ!
サラサラの銀髪で、日焼けしてるやつ」
「日焼けって…」
もうちょっと言い方ないのかね。
そうこう言っていると、ノックの音が聞こえて、ノース・コリアスさんとおぼしき人が入ってきた。
褐色の肌のイケメンである。
白い歯がキラキラしい。
「あなたルースさん、僕ノース。よろしく」
「はい、こちら、おねがいます」
向こうはローザンヌ語。
こっちはシャラパール語。
お互いカタコトだ…俺の方が数倍ひどいけど。
「わたし、シャラパール語、べんきょ、なので、ノースさん、シャラパール語、はなす、ゆっくり」
「分かった。ゆっくり話すね。発音はまだまだだけど、意味は通じるよ。頑張ったね」
「ありがとう、でも、もじむり。かけない」
「ああ、そういうときは発音に合わせて文字を覚えたらいいよ。この文字は「あ」。これは「い」…」
「ならってのとじゅん、ちがうのね」
「習ってるのと順番が違うのはね…」
はあなるほど。「あいうえお」順じゃなくて「あかさたな」順…的なことかな。
「あの、こうかく、こうよむ、あうますか?」
「そうそう、あ、でもここはこうかな…
あとここも逆かな」
ほうほう。
まあ、まずは教科書の文章を読めねば始まるまい。
「ほん、よむ、きくください」
「いいよ」
「しゃらぱーるのせいかつ。しゃらぱーる語をはなす国は、どこも、かんそうちたいが国土のはんぶん、おしめています…」
「半分を占めています、ね」
「半分を占めています」
ーーーーーーーーーーー
「だいぶ良くなったね!」
「まだまだです…テストむり」
「じゃあ、テストまでここで勉強を見てあげるよ」
「ありがとう、でも、まいにち来るむり、もじ書く練習するしたい、てがみのやりとりだめ?」
「分かった、でも来れるだけ来てね?」
「はい、てがみまいにち、くる、おねがいます」
「ところでルース君、言葉を覚えるのに一番有効な手段って、何だと思う?」
「えっ…?」
これまさか、恋人を作るとかいう…?
「僕と一緒に魔石工学の研究をすることさ」
ですよね~!
こんなイケメンが俺にそんなこと言うワケ無い。
一瞬でもそう思った自分の自意識がコワイ。
改めよう…
「師匠、どうしたの?」
「今まさにこの研究室に勧誘されてるとこ」
「むっ!ダメだぞ!ルース師匠は校長の研究室に入るんだからな!」
うん、それ既定事項になりつつあるんだけど、あんまり他所で言っちゃいけないぞ。
ノースさんは息巻くアレクさんにニッコリと白い歯を見せて、カタコトで言う。
「かけもちする、でも、いいだったら?」
「…えー、それはぁ…どうなるの?師匠」
「……」
ほら!断りづらくなったでしょ!
んもー…
護衛が相手の作戦に引っかかってどうするのよ!
おじいちゃん先生に魔法系の授業を目一杯詰め込まれたせいで、テスト範囲が異様に広くて大変だ。
分からないところは教科書を読んでノートを見て…ってすればいいんだろうけど、いかんせん暫く休んでた間のノートを貸してもらえるあてはなく、分からないことは聞きに行くしかない。
魔法系はおじいちゃんの研究室にいるメンバーやソラン先輩に聞けば大体分かるからいいんだけど…
問題は「外国語」。
「魔法学会で各国の研究機関と話が出来た方が良かろ?」と言って、おじいちゃんが3の日の午後2コマにむりやり詰め込んだのだ。
おかげで初級じゃなくていきなり中級を受けるはめになってしまった。
この世界、ローズ王国の隣までは同じ言葉なんだけど、隣の隣は別の言語。
海を渡るともう一つ別の言語…で、大きく4つの言語が使われている。
ローズ王国周辺で話されているのがローザンヌ語。
隣の隣で話されているのがクナウティア語。
海を挟んでお隣で話されているのがシャラパール語。
その向こうはアルテミシア語。
その昔、この世界が4つの大国に分かれてたころの名残らしい。
学園ではどの外国語も学べるようになっていて、俺は最初の頃隣の隣の国で冒険者しようと思ってたから、1年生の時にクナウティア語の入門を取ったんだけど…
詰め込まれたのは「シャラパール語」と「アルテミシア語」。
「クナウティア語は人気があるじゃろ?だから席が開いてなかったんじゃ」
って、そんなご都合知りませんよ!!
とはいえ、文句ばかり言ってても仕方がない。
やらねば。
「それでも、アルテミシア語は文法が変わらないだけましなんだけどね…」
「師匠も大変だなー」
クナウティア語とシャラパール語は文法が英語っぽいんだよな。
前世では英語はそこそこ出来た方だから、頑張れば何とかなる…はずだ。
第二外国語で選択したフランス語は散々な結果だったけどな!
そんなわけで今日は魔石工学の研究室へやってきた。
おじいちゃんから「絶対に魔石工学にルースを渡すな」と厳命されたアレクさんも一緒である。
本当に大げさなんだから…ガーベラ先輩になら分かるけど。
真剣な顔で出されたお茶を毒見するアレクさん…いや、そういうことじゃないと思うよ?
「今日はシャラパール語をやるんですよね?」
「そうそう、ここにノース・コリアスさんっていうシャラパール王国から来た留学生の人がいてね、その人が時間取ってくれるって話で」
ちなみにシャラパール語でノースは美しいという意味だ。
「俺の4番目の兄貴もノースって名前で、おまけに嫁いだのがシャラパールでさ。
一応縁がなくもないから、引き受けてくれたんだと思うんだけど…初めましてなんだよね」
「え、そうなの?俺は見たことあるぞ!
サラサラの銀髪で、日焼けしてるやつ」
「日焼けって…」
もうちょっと言い方ないのかね。
そうこう言っていると、ノックの音が聞こえて、ノース・コリアスさんとおぼしき人が入ってきた。
褐色の肌のイケメンである。
白い歯がキラキラしい。
「あなたルースさん、僕ノース。よろしく」
「はい、こちら、おねがいます」
向こうはローザンヌ語。
こっちはシャラパール語。
お互いカタコトだ…俺の方が数倍ひどいけど。
「わたし、シャラパール語、べんきょ、なので、ノースさん、シャラパール語、はなす、ゆっくり」
「分かった。ゆっくり話すね。発音はまだまだだけど、意味は通じるよ。頑張ったね」
「ありがとう、でも、もじむり。かけない」
「ああ、そういうときは発音に合わせて文字を覚えたらいいよ。この文字は「あ」。これは「い」…」
「ならってのとじゅん、ちがうのね」
「習ってるのと順番が違うのはね…」
はあなるほど。「あいうえお」順じゃなくて「あかさたな」順…的なことかな。
「あの、こうかく、こうよむ、あうますか?」
「そうそう、あ、でもここはこうかな…
あとここも逆かな」
ほうほう。
まあ、まずは教科書の文章を読めねば始まるまい。
「ほん、よむ、きくください」
「いいよ」
「しゃらぱーるのせいかつ。しゃらぱーる語をはなす国は、どこも、かんそうちたいが国土のはんぶん、おしめています…」
「半分を占めています、ね」
「半分を占めています」
ーーーーーーーーーーー
「だいぶ良くなったね!」
「まだまだです…テストむり」
「じゃあ、テストまでここで勉強を見てあげるよ」
「ありがとう、でも、まいにち来るむり、もじ書く練習するしたい、てがみのやりとりだめ?」
「分かった、でも来れるだけ来てね?」
「はい、てがみまいにち、くる、おねがいます」
「ところでルース君、言葉を覚えるのに一番有効な手段って、何だと思う?」
「えっ…?」
これまさか、恋人を作るとかいう…?
「僕と一緒に魔石工学の研究をすることさ」
ですよね~!
こんなイケメンが俺にそんなこと言うワケ無い。
一瞬でもそう思った自分の自意識がコワイ。
改めよう…
「師匠、どうしたの?」
「今まさにこの研究室に勧誘されてるとこ」
「むっ!ダメだぞ!ルース師匠は校長の研究室に入るんだからな!」
うん、それ既定事項になりつつあるんだけど、あんまり他所で言っちゃいけないぞ。
ノースさんは息巻くアレクさんにニッコリと白い歯を見せて、カタコトで言う。
「かけもちする、でも、いいだったら?」
「…えー、それはぁ…どうなるの?師匠」
「……」
ほら!断りづらくなったでしょ!
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