上 下
90 / 586
学園2年目

クリスマスイベント3. 尊厳を賭けた戦い

しおりを挟む
カステラが焼ける間に外の様子を見に行くと、そこではプチ武術大会が行われていた。

「ランディが稽古をつけてやると言い始めた」
「俺とジョンは止めた」
「…が、止まらなかったと」
「そうだ…止められなかった」
「素手じゃ勝てないんだよ…あいつに」

カレンデュラ先生とジョンさんは悔しそうに言った。
ケンタウレア先生が始めたこの武術大会は、
武器は無しだが攻撃手段は問わない。
円の外に相手を出せば勝ち…というルールらしい。

「そのケンタウレア先生は?」
「あそこで審判してる」

あー、ほんとだー。

「ほとんどルール無用ですよね…審判いります?」
「ルールは俺、だそうじゃ」
「何ですかその暴君スタイル」

今、円の中にいるのはリリー君とゴード先輩。

「1番小さいのと1番大きいのが戦うんですか!?」
「魔法ありじゃからのう」

確かに、リリー君はゴード先輩の攻撃をうまいことサンダーの壁で弾き返している。

「おお…器用な…」
「負けた方は閨着姿をみんなに披露することになるからな、必死だぞ」
「何ですかその罰ゲーム!?」

ゴード先輩のやつ、俺絶対に見たくない。

「ゴード、動け動け!」
「足払いかけて転ばせ!」
「おめーの閨着、誰も見たくねーぞ!」

うん、みんなの気持ちが1つになってるな。
それにしてもリリー君強い。
「ビッグウェーブ!」「うわあぁ………」
あー、ゴード先輩が水で流されていく…
あれ見るのかぁ…。

「ちなみに、今のところ閨着披露が決定してるのは…アレクとカイトだな」
「ええ!誰に負け…」

うん、愚問だった。
あそこで手を振ってる双子だな…

「ルー、俺たち勝ったよ~!」
「ルー、勝利のキスして~!」
「……」

俺は、残りのカステラを焼くために、そっと砦へと戻ったのであった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ
BL
『魅惑のプリンセス』というタイトルの乙女ゲームに転生した俺。転生したのはいいけど、悪役令嬢の双子の兄だった。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...