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学園2年目
センスが足りない!
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雷属性をつける話は、とりあえず詳しいことが分かってから…と言うことになり、今日の放課後は魔法棟に行く事になった。
久しぶりに魔法バカ達に会うのが楽しみだ。
魔法棟に着くと、練習場に人だかりが出来ていた。
何だろう…と近づくと、その真ん中ではカレンデュラ先生がアレクさんに稽古をつけていた。
アレクさんはどうやら剣より拳派らしい。
手を包帯でぐるぐる巻きにして、ミット打ちをしているみたいだ。
「ほら!サンダーアーム切れてっぞ!」
「はい!サンダーアーム!」
こりゃすごい。パンチがあたる度に電撃が飛んで、格闘ゲーム見てるみたい…。
みんなが釘付けになるのもわかるな。
俺と殿下は見物人を邪魔しないように、おじいちゃんの研究室へ行った。
----------
研究室にはおじいちゃん先生1人だった。
「おー、よく来たのう!」
「お久しぶりです、先生!」
「お久しぶりです」
他の3バカ+ジョンさんは、別の用事で出ているらしい。
俺は早速、おじいちゃんに「魔力同調法」について聞いた。
「先生、アレクさんの時と、ジョンさん達の時で、何が違うと思いますか?」
「そうじゃのお…それについては、儂らも考えておったんじゃわい」
実は4人の中でも、色々意見があるらしい。
「アレクは、魔法が1つも使えん状態じゃった。
魔力をうまく使えないから、魔力を感じることが難しい。だから、余計な神経を使った。
この時、開放しようとしていたのは雷属性。
そこに電流が流れることで、魔力を感じる神経以外の神経を刺激してしまったのではないか…。
ここまでは大体一緒じゃな」
「ほうほう」
「トルセンとジョンが水属性を開放してもらった時にどんな感じだったか話を聞いとったんじゃ。
そしたら、多少は変化もあったらしい。
・やたら小便が出た
・汗をたくさんかいた
・体が温かくなった
…この3点くらいだそうじゃ」
「何だかデトックスみたいですね」
「デトックス?は良くわからんが…続けるぞ?
彼らも魔法は使えんかったが…そもそも、
・ジョン…家が貧しくて教育を受けてこなかった
・トルセン…家の方針で魔法より剣が優先
ということで、使おうとしたことが無いんじゃ。
ただし、2人とも剣士じゃ」
「そうか、剣士は前衛ですもんね。
色んな属性の魔法を受けた経験があるから…
だから魔力の流れもイメージしやすかった、と」
うんうん、とおじいちゃんは頷いた。
「ここから、それぞれ考えが分かれる。
カートは『魔法を何度も受けたことがあるか、魔法を何度も使ったことがあるか、どちらかの要件を満たせば、余計な神経を使わずに済むから属性開放のとき平常でいられるのでは』と」
「なるほど」
「エルグランは『魔法に対してきちんとイメージ出来ていれば、魔法に触れたことが無くても平常でいられるのでは』と」
「はあはあ、でもまあ2人とも似てますね」
「ヘザーは『元々使おうとしなかっただけで2人には水属性の資質があった、アレクは雷属性の資質が無かったのを無理やり引き出したのでああなった』じゃ」
「ヘザー先輩だけ大分違いますね…
そういえば新しい属性を取りたいって言いませんもんね、そういう考え方だからか…」
うんうん、とおじいちゃんは頷いた。
「グロリオサ家は魔道士の家系のようで、火属性の使い手として有名でな、戦で前衛に出ることもあるぐらいの武闘派で、だから騎士爵を与えられた。
それが、ヘザーはあのとおり…土属性で、性格も優しいし、とても前衛に出られるタイプではない。
それで周りから「資質がない」と随分言われて育ったようで、火も雷も、自分に資質のない属性だと思い込んでおるんじゃろうなあ…2つとも、攻撃魔法のイメージが強いしの。
…じゃが、最近は火属性も攻撃ばかりでないと思い始めとるようでな」
「あら、いい傾向じゃないですか」
「何を他人事みたいに…きっかけはお前さんの「ちょっとファイヤー」じゃろうが」
「えー!あれー!?」
そういえば、すごい勢いで話しかけられたな。
「生活の中で火は欠かせんもんじゃ、ということが分かったんじゃな…去年の論文テーマ、覚えとるじゃろ?」
「たしか「生活の中で活かす魔法技術」…」
「そうじゃ、魔獣を殺したり戦争で人を殺したりする魔法ばかり目立っておるが、そもそも戦争でもない限りは当たり一面火の海にする魔法なんぞ持っていてもどうしようもなかろう?
グロリオサ家の悩みでもある「使い所が無くて魔力が鍛えられない」問題も解決できるとあって、ようやく家族からは1人前として扱われるようになったようじゃが…
まあそれでも、昔から言われ続けた「資質がない」という言葉は抜けんのじゃろうな」
そういえば、自分だけしょぼいとか言ってたなあ。
「なかなか複雑なご家庭なんですね」
「魔力の大きい者の家は、大抵複雑な事情があったりするもんじゃからのぉ…
カートの実家のリリー家にしてもそうじゃな」
ええっ、そうなの?
「じゃあ、うちはごく普通だから…俺の魔力量って、これ以上大きくならないんですかね?」
「お前さんの家も大概複雑じゃろ」
「いやいや、ちょっと他所様より子どもの数が多くて貧乏なだけで、普通に幸せな家庭ですよ」
「…そうか?」
すると、おじいちゃんの言葉を遮るように、
殿下が一言。
「で、結局のところ、属性開放時の副反応についての件は、結論は出ていないと?」
「そうじゃな、そもそも前段階で資質の有る無しがわかる手段が無いんじゃ試しようがないわい」
「ヘザーの説の検証ができんということですね」
そうだよな…この世界、よくある「スキル鑑定」とか「魔力測定」とかがないもんな。
ステータスウィンドウも開かないし。
どういうゲームだったんだろ…
「そういえば、俺ずっと「属性をつける」とか「取る」とかって言ってたんですけど、先生の「属性を開放する」って言葉、イメージぴったりですね」
「じゃろ?」
おじいちゃん先生のドヤ顔を見て、殿下が言った。
「じじいは普通だ。
お前にそういう言葉のセンスがないだけだ」
「ええー!?ひどい!」
そんなことないですよね!とおじいちゃん先生の方を見たら、目をそらされた。
……うそやん?
久しぶりに魔法バカ達に会うのが楽しみだ。
魔法棟に着くと、練習場に人だかりが出来ていた。
何だろう…と近づくと、その真ん中ではカレンデュラ先生がアレクさんに稽古をつけていた。
アレクさんはどうやら剣より拳派らしい。
手を包帯でぐるぐる巻きにして、ミット打ちをしているみたいだ。
「ほら!サンダーアーム切れてっぞ!」
「はい!サンダーアーム!」
こりゃすごい。パンチがあたる度に電撃が飛んで、格闘ゲーム見てるみたい…。
みんなが釘付けになるのもわかるな。
俺と殿下は見物人を邪魔しないように、おじいちゃんの研究室へ行った。
----------
研究室にはおじいちゃん先生1人だった。
「おー、よく来たのう!」
「お久しぶりです、先生!」
「お久しぶりです」
他の3バカ+ジョンさんは、別の用事で出ているらしい。
俺は早速、おじいちゃんに「魔力同調法」について聞いた。
「先生、アレクさんの時と、ジョンさん達の時で、何が違うと思いますか?」
「そうじゃのお…それについては、儂らも考えておったんじゃわい」
実は4人の中でも、色々意見があるらしい。
「アレクは、魔法が1つも使えん状態じゃった。
魔力をうまく使えないから、魔力を感じることが難しい。だから、余計な神経を使った。
この時、開放しようとしていたのは雷属性。
そこに電流が流れることで、魔力を感じる神経以外の神経を刺激してしまったのではないか…。
ここまでは大体一緒じゃな」
「ほうほう」
「トルセンとジョンが水属性を開放してもらった時にどんな感じだったか話を聞いとったんじゃ。
そしたら、多少は変化もあったらしい。
・やたら小便が出た
・汗をたくさんかいた
・体が温かくなった
…この3点くらいだそうじゃ」
「何だかデトックスみたいですね」
「デトックス?は良くわからんが…続けるぞ?
彼らも魔法は使えんかったが…そもそも、
・ジョン…家が貧しくて教育を受けてこなかった
・トルセン…家の方針で魔法より剣が優先
ということで、使おうとしたことが無いんじゃ。
ただし、2人とも剣士じゃ」
「そうか、剣士は前衛ですもんね。
色んな属性の魔法を受けた経験があるから…
だから魔力の流れもイメージしやすかった、と」
うんうん、とおじいちゃんは頷いた。
「ここから、それぞれ考えが分かれる。
カートは『魔法を何度も受けたことがあるか、魔法を何度も使ったことがあるか、どちらかの要件を満たせば、余計な神経を使わずに済むから属性開放のとき平常でいられるのでは』と」
「なるほど」
「エルグランは『魔法に対してきちんとイメージ出来ていれば、魔法に触れたことが無くても平常でいられるのでは』と」
「はあはあ、でもまあ2人とも似てますね」
「ヘザーは『元々使おうとしなかっただけで2人には水属性の資質があった、アレクは雷属性の資質が無かったのを無理やり引き出したのでああなった』じゃ」
「ヘザー先輩だけ大分違いますね…
そういえば新しい属性を取りたいって言いませんもんね、そういう考え方だからか…」
うんうん、とおじいちゃんは頷いた。
「グロリオサ家は魔道士の家系のようで、火属性の使い手として有名でな、戦で前衛に出ることもあるぐらいの武闘派で、だから騎士爵を与えられた。
それが、ヘザーはあのとおり…土属性で、性格も優しいし、とても前衛に出られるタイプではない。
それで周りから「資質がない」と随分言われて育ったようで、火も雷も、自分に資質のない属性だと思い込んでおるんじゃろうなあ…2つとも、攻撃魔法のイメージが強いしの。
…じゃが、最近は火属性も攻撃ばかりでないと思い始めとるようでな」
「あら、いい傾向じゃないですか」
「何を他人事みたいに…きっかけはお前さんの「ちょっとファイヤー」じゃろうが」
「えー!あれー!?」
そういえば、すごい勢いで話しかけられたな。
「生活の中で火は欠かせんもんじゃ、ということが分かったんじゃな…去年の論文テーマ、覚えとるじゃろ?」
「たしか「生活の中で活かす魔法技術」…」
「そうじゃ、魔獣を殺したり戦争で人を殺したりする魔法ばかり目立っておるが、そもそも戦争でもない限りは当たり一面火の海にする魔法なんぞ持っていてもどうしようもなかろう?
グロリオサ家の悩みでもある「使い所が無くて魔力が鍛えられない」問題も解決できるとあって、ようやく家族からは1人前として扱われるようになったようじゃが…
まあそれでも、昔から言われ続けた「資質がない」という言葉は抜けんのじゃろうな」
そういえば、自分だけしょぼいとか言ってたなあ。
「なかなか複雑なご家庭なんですね」
「魔力の大きい者の家は、大抵複雑な事情があったりするもんじゃからのぉ…
カートの実家のリリー家にしてもそうじゃな」
ええっ、そうなの?
「じゃあ、うちはごく普通だから…俺の魔力量って、これ以上大きくならないんですかね?」
「お前さんの家も大概複雑じゃろ」
「いやいや、ちょっと他所様より子どもの数が多くて貧乏なだけで、普通に幸せな家庭ですよ」
「…そうか?」
すると、おじいちゃんの言葉を遮るように、
殿下が一言。
「で、結局のところ、属性開放時の副反応についての件は、結論は出ていないと?」
「そうじゃな、そもそも前段階で資質の有る無しがわかる手段が無いんじゃ試しようがないわい」
「ヘザーの説の検証ができんということですね」
そうだよな…この世界、よくある「スキル鑑定」とか「魔力測定」とかがないもんな。
ステータスウィンドウも開かないし。
どういうゲームだったんだろ…
「そういえば、俺ずっと「属性をつける」とか「取る」とかって言ってたんですけど、先生の「属性を開放する」って言葉、イメージぴったりですね」
「じゃろ?」
おじいちゃん先生のドヤ顔を見て、殿下が言った。
「じじいは普通だ。
お前にそういう言葉のセンスがないだけだ」
「ええー!?ひどい!」
そんなことないですよね!とおじいちゃん先生の方を見たら、目をそらされた。
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