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学園2年目

王室御用達ですよね!?

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「結構です」=肯定の法則。

前世でかつて横行した、悪徳商法のやり口である。
いやいや、古すぎやろ!
まだやってんのかい!?

授業のオリエンテーションの後、魔法棟に行ったら入口に馬車が留まっていて、あれよあれよと言う間に押し込まれてしまった。タスケテ。

今日に限って殿下はいない。

護衛が護衛対象を当てにするのも間違っているが、押しに弱い人間を馬車に押し込んで連行するのも間違っているだろう。

馬車はパカパカとどこかへ向かう。
一緒に乗っているのがアイリス君の従者さんだから、多分アイリス商会へ行くんだよね?

「緊張されなくても、大丈夫ですよ」
「は、はあ」
「それほど遠くへは参りませんから」

馬車に揺られて暫く…
どこかへ付いた。

「どうぞ、お降りください」

そこは…
いつも食材を買いにくる市場だった。


----------


「どうぞ、こちらへ」
「は、はあ」

促されて市場の奥へ。
闇マーケットとか…無いよね?
戦々恐々で進んでいくと…
奥にSTAFF ONLY感のある扉が1枚。

コンコンコン。
「失礼致します、会長」
「ああ」

会長?

「ルース・ユーフォルビア様をお連れしました」
「うむ、どうぞ」

中に入ると、アイリス君とおじさんが2人、テーブルの向こうに立っていた。

「強引にお呼びだてして申し訳ありません、ルース・ユーフォルビア様。私はイドラの父、ハイド・アイリスと申します。
 息子が学園で失礼を働いたと聞き、直接お会いして息子共々謝罪をさせて頂きたいと思いまして…。
 驚かせて申し訳ありません」
「申し訳ありません、ルース・ユーフォルビア様。
 私もイドラの父、アル・アイリスと申します。
 お客様の懐を考えて商売をしなさい、と躾けたつもりが…いつの間にか懐で人を判断するような子どもにしてしまっていたようで、情けない限りです。
 どうか今までの非礼をお許しください」

えー!
アイリス君のパパさんたち!?
アイリス君を見ると…

「…すみません、ユーフォルビア様…私が間違っておりました、今後は…お客様の懐を考えるという意味を履き違えないよう、精進して参りますので…どうか、お許し頂けませんでしょうか?」

えー…
どうしたらいいんだろ。
許す許さないの話じゃないんだよなぁ…

「えーと…あの、怒ってる訳では無いんです。
 貧乏伯爵だとか、殿下の側仕えには身分不相応だとか、もう言われ慣れておりますので。
 私としては、悪口を言う方とは仲良くできないというだけのことで、謝罪を頂いても困ります」

「る…ルースさま…ですが、」

「そもそも、私と仲良くしたところで、アイリス商会様には何も益はありませんし、仲が悪くても損はありません。
 王家とのご関係を案じておられるなら、国王陛下とアルファード王子殿下にお話くだされば宜しいかと。
 では、失礼致します」

とっとと帰らせてもらいます!
よーわからん物買わされたらたまらんし!

「お待ち下さい、ユーフォルビア様!
 貴方はそう仰るが、周りはそう思ってはおりません。何故周りがそのように、心無い言葉を掛けたのかはお分かりでいらっしゃいますでしょう?
 貴方がアルファード殿下のご寵愛を受けていらっしゃるのが妬ましいからです。
 ですが私どもは、殿下にはただのご機嫌取りなど通用しないことを知っております、そして…貴方と仲の良い方に、殿下は興味をお向けになることも」

「ええっ…」
逆、逆!
殿下が興味を向けるのは攻略対象者であって、そこに従者おれがいるだけのことよ?

「どうか、我が息子と友人に…とまでは申しません、ですが、どうか嫌わないでやって頂きたいのです」
「今までの態度を改めます、どうか、お願い致します!」
「………」

そんな、深々と頭下げられたら…しょうがない。

「高い物は買いませんし、ねだる事もありません。
 金も借りませんし貸す金はありません。
 それでも宜しければ…今後は、単に「ルース」とお呼び頂けますか?
 学園では、身分で人を判断してはならないことになっています。
 ですから「様」を付けて呼ばれるのは困ります」
「あ…ありがとう、ございます!」
「まずは普通に挨拶する仲から始めましょう?
 イドラ君」
「は、はい、ルース…くん」
「また明日」
「はい、また…あした…」

俺はそそくさと扉から出た。
従者さんがまだ立っていた。
会釈して通り過ぎようとしたら…

「こちら、宜しければどうぞ」

特売チラシと割引券をもらった。




……ラッキー!

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