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学園1年目
お疲れ、ルース先生 〜エルグラン視点〜
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「…で、そこまで言って、寝た、と」
「そうです」
「ふふ、ルース先生も疲れるんですね」
「そりゃ疲れもしますよ…あれだけたくさんの質問に丁寧に答えておられましたからね」
「頭いいんだな、ルース師匠」
「当然だろう」
何でアルファード王子が得意気なのかはともかく…
「連れて帰る」
「お手伝いしましょうか?」
「いや、いい。減る」
減る?
「こいつから俺への恩が減るだろう?」
「……っ…」
駄目だもう……面白すぎる。
「ふ、ふふふ、へ、へり、へります、ね、たしかに、ふ、ふふふふ、うふふふ」
「王子?」
ジョンが怪訝な顔で見てくるのが更におかしくて、
「ふふ、うふふ、はは、はははは、あはは」
アルファード殿下がこっちを睨むけど、もう何も気にしない。だって、もう話はついてしまってるし、お互いに敵意が無くなったもの。
「あー、おっかしい」
「ふん」
アルファード王子も少し笑っている。
お互い、表情を作ることはもうしない。
しなくていいんだ。
「こいつの朝は早いからな」
「そうなんですか?」
「早朝こそこそ剣術の練習をしている」
「えっ…あれで?」
「ちょっと…、ジョン、ふ、ふふ、失礼、ふふふ」
「そんなに酷いんですか?」
「運動神経が絶望的でな…どうにもならん」
学園に来る前に鍛えてやろうと思って色々試したがどうにもならなかった、とアルファード王子。
「一度、手が滑って酷く頭を叩いてしまってな」
「ええ」
「それからちょっと、変なんだ」
「…変?」
「急に冒険者になりたいなどと言い始めた」
「それは…困りましたね」
「魔法には強くなるし」
「いいこともあったんですね」
「急に菓子を作ってみたり、料理を始めたり」
「…へえ?」
「生まれた時から後宮に入ると決まっていたのに、急にそれを認めなくなった」
「だいぶ困りましたね」
「困る?」
アルファード王子はニヤリと笑う。
「他人が躾けた賢い犬を貰うより、自分で手懐けた駄犬のほうがずっといい」
では先に失礼する…と言って、王子はルース先生を軽々と背負う。
こうしてみると、先生は王子よりひと周り小さい。
いつもは同じ大きさに見えるのに…。
「意外と小さいか?」
「ええ、少し驚きました」
「はは、そうか」
この小ささで、この国の運命を握っている。
だから、宜しく頼む…
そう言って、彼は研究室を出ていった。
「そうです」
「ふふ、ルース先生も疲れるんですね」
「そりゃ疲れもしますよ…あれだけたくさんの質問に丁寧に答えておられましたからね」
「頭いいんだな、ルース師匠」
「当然だろう」
何でアルファード王子が得意気なのかはともかく…
「連れて帰る」
「お手伝いしましょうか?」
「いや、いい。減る」
減る?
「こいつから俺への恩が減るだろう?」
「……っ…」
駄目だもう……面白すぎる。
「ふ、ふふふ、へ、へり、へります、ね、たしかに、ふ、ふふふふ、うふふふ」
「王子?」
ジョンが怪訝な顔で見てくるのが更におかしくて、
「ふふ、うふふ、はは、はははは、あはは」
アルファード殿下がこっちを睨むけど、もう何も気にしない。だって、もう話はついてしまってるし、お互いに敵意が無くなったもの。
「あー、おっかしい」
「ふん」
アルファード王子も少し笑っている。
お互い、表情を作ることはもうしない。
しなくていいんだ。
「こいつの朝は早いからな」
「そうなんですか?」
「早朝こそこそ剣術の練習をしている」
「えっ…あれで?」
「ちょっと…、ジョン、ふ、ふふ、失礼、ふふふ」
「そんなに酷いんですか?」
「運動神経が絶望的でな…どうにもならん」
学園に来る前に鍛えてやろうと思って色々試したがどうにもならなかった、とアルファード王子。
「一度、手が滑って酷く頭を叩いてしまってな」
「ええ」
「それからちょっと、変なんだ」
「…変?」
「急に冒険者になりたいなどと言い始めた」
「それは…困りましたね」
「魔法には強くなるし」
「いいこともあったんですね」
「急に菓子を作ってみたり、料理を始めたり」
「…へえ?」
「生まれた時から後宮に入ると決まっていたのに、急にそれを認めなくなった」
「だいぶ困りましたね」
「困る?」
アルファード王子はニヤリと笑う。
「他人が躾けた賢い犬を貰うより、自分で手懐けた駄犬のほうがずっといい」
では先に失礼する…と言って、王子はルース先生を軽々と背負う。
こうしてみると、先生は王子よりひと周り小さい。
いつもは同じ大きさに見えるのに…。
「意外と小さいか?」
「ええ、少し驚きました」
「はは、そうか」
この小ささで、この国の運命を握っている。
だから、宜しく頼む…
そう言って、彼は研究室を出ていった。
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