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学園1年目

カレンデュラ先生とジョンさん

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午前中はすったもんだがあって、もう少しで昼飯を食いそこねるところだった。殿下が
「飯」
と言わなければ、魔法科の研究生や教授に囲まれて、何なら午後の授業もいきなりサボることになりそうだった。

そういえば、お近づきになりたい皆様のリストを作って、殿下と昼飯を共にするメンバーのシフトを作ろうと思ってたんだ…。
まあ、それはおいおいだな。
他のクラスからも要望があるかもしれないし…

なので、俺は昼に教室に貼り出す掲示物を作ることにした。

 "アルファード殿下との交流を求める方へ!
 昼食の時間を利用してお話してみませんか?
 希望者は、ルース・ユーフォルビアまで"

ま、こんなもんでいいかな。
後で黒板にでも貼らせてもらおう。

そういえば午後の授業は剣術の授業だった。
担当は担任のカレンデュラ先生だから、そのときに許可をもらえばいいか…。

俺たちは剣術の訓練棟に向う。

「広ーーい!」

ここには闘技場が6つある。
その周りはぐるーーっとマラソンコースだ。
剣術には座学がないので、素振りか、走り込みか、打ち合いのどれかになる。
前世でいうところの体育、それの厳しいやつ。

「全員揃ったな!では模擬剣を1人1本ずつ持て」
「はい!」
「それでは、各々素振りをしてみろ、指導すべきところがあれば、各個人に指導する。はじめ!」

みんなが思い思いの持ち方で剣を振る。
向こうの端から、丁寧に持ち方を指導していくカレンデュラ先生。

「ここは、こう持つ。小指から順に力を入れて…」

ふむふむ…

「あの、ジョンさん。俺、これで合ってます?」
「いや…もっと、こう…」

ジョンさんが背中から俺を抱き抱えるようにして剣の持ち方、振り方を指導してくれる。
子どもじゃないんだから…って、子どもか…。
俺12歳だったわ。

「こ…こう?」
「いや、握り方以前に、姿勢が」
「おっ、どうした、ユーフォルビア君。
 うーん、こりゃひどい、剣筋がブレブレだぞ」

2人によってたかって修整される俺。
見ていられないほど酷いのか…
カレンデュラ先生とジョンさんが言う。

「お前、貴族なんだから、家で剣術くらいしてたんじゃないのか」
「このへっぴり腰、何とかならないですかね?」
「おっ、じゃあミモザ卿、こいつの腰の矯正をお願いできますか?私は腕の振り方を見ますので」

うわーん、すいません。

「あー、もう、剣は持たなくていいから、肩に無駄な力を入れずに振る練習だ、両手を合わせて…お前右利きだな、じゃあ、こうだ、これで、上下に振れ」

剣も取り上げられちゃって…

「まさかとは思いますが、右だけで剣を振る練習ばかりしてきたのではないでしょうね?」
「!!!!」
「…図星か!馬鹿だなー、両手で剣を振れないのに片手はもっと無理だろ」
「剣は基礎からやらないと!基礎から!」
「アルファード殿下は片手で剣を使ってたから…
 だからそれが普通だと思ったんですもん…」
「馬鹿、アルファード殿下の剣の腕前は、俺の親父が認めるくらいには凄いんだぞ?」
「えっ、カレンデュラ先生のお父さんって?」
「今の近衛騎士団長だ」

ひええ、そりゃボコボコにされるわ。

「へっぴり腰の理由…アルファード殿下との稽古が原因かもしれませんね」
「あー、毎回一方的な展開になるから防戦するほうが先に身についちゃったのか…。」

負け犬ですいません!
というか、うちの家から剣の達人…とは言わないまでも、そこそこやる人なんて輩出されたことない。
DNAレベルで剣はポンコツ…
くそっ!諦めるもんか!冒険者に俺はなる!

「何をやっている」

うわっ、俺のへっぴり腰の原因(多分)が来た。
しかもまたもや不機嫌MAX。

「ルース君の剣があまりにもあまりなので、特別講習をしております」
「不許可だ」
「ヒェッ!?なぜですか!?護衛が強くなるんだったら殿下にとってお得なことしかないでしょ!?」
「魔法科との兼ね合いだ。剣術の授業で疲労がたまるとあちらに支障がでる。不許可だ」
「授業ぐらいは普通に受けさせてくださいよ」
「…冗談だ、しっかり鍛えてもらえ。期待はしていないがな」

冗談に聞こえねーよ!!
あー、アセった……。

「殿下にはこんな内容の授業じゃ物足りんでしょう。ミモザ卿、殿下のお相手をお願いできませんか」
「しかし、エルグラン殿下の護衛もありますから…先生がなさった方が」

先生とジョンさんで謎の譲り合いが始まる。
そんなに殿下とやりたくないの?…って、怪我でもさせたら大変か…。

「先生、ミモザ卿がお相手になった場合に殿下にお怪我でもあったら国際問題になりますし、ここは先生が…」
「面倒だから二人とも相手しろ」

無茶言うなって!
大人2人対子ども1人っておかしいだろ!


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