89 / 220
『番の呪い』前編
73 化け物二人
しおりを挟む
ウォグバードは両目を覆うように包帯が巻かれていた。包帯の左眼があるあたりは血が滲んでいる。
ヴィクトリアは知らなかったしリュージュも伝えようとはしなかったが、ウォグバードは左の眼球を失っていた。
シドに抉られて食われたのだ。
右眼は元々怪我を負っていて見えない状態だった。ウォグバードは視力を完全に失っていた。
にも関わらず、アルベールと打ち合う姿は視力を失ったようには見えなかった。
ウォグバードは的確にアルベールの位置を捉え、威力のある素早い斬撃を放ち続けている。アルベールは押されて後退するばかりだ。
ウォグバードの嗅覚は視覚を失って以降、その能力を補うような目覚ましい進歩を遂げていた。ウォグバードは周りの風景や人物の動きが、嗅覚を通して全てわかっていた。
対象からほんのわずかでも匂いが出ていなければわからないという欠点はあるが、戦闘において相手の動きを捉えるのには充分で、ウォグバードはそれまでと同様に戦うことができた。
ウォグバードは、番を得た獣人が相手の匂いに殊更敏感になって姿を直接見なくても様子がわかるという現象を、周囲のほとんどのものに対して起こしていた。
それは通常ではあり得ない嗅覚の向上だった。
シドには及ばないが、この男も化け物じみていた。
アルベールの剣が弾き飛ばされて地面に転がる。アルベールの喉元に剣が突き付けられた。
アルベールがウォグバードを睨む。
「子供の喧嘩に親が出てくるとは、あんた、恥ずかしくないのか?」
ウォグバードはリュージュの養い親だ。
「命のやり取りまでするのは喧嘩の範囲を超えている」
ウォグバードが止めなければリュージュは死んでいただろう。
冷静を装いながらもウォグバードの声音には隠しきれない怒気が含まれていた。ウォグバードの剣先がアルベールの喉元に食い込んで血が流れる。
「……わかった。降参だ。あんたには敵わない」
ウォグバードは里一番と名高い剣術の使い手だ。さしものアルベールでも敵わない。
ウォグバードは懐から縄を取り出すとアルベールを後ろ手に縛った。警備の仕事をしているので、縄はたまに人間を捕縛する時に使っていた。
しかし獣人相手の拘束具が縄では心許ない。ウォグバードもそれはわかっているようだったが、立ち上がったリュージュが呻いてよろけたのを支えようと手を出した瞬間、隙ができた。
おそらく、脳内がリュージュのことでいっぱいになってしまったのだろう。
アルベールはその一瞬を見逃さない。縄を力任せにぶち切って拘束を解く。
リュージュが叫んだ。
「ヴィクトリア!」
「きゃあ!」
アルベールはヴィクトリアを肩に担ぐと魔の森に向かって一目散に逃げ出した。
後ろからウォグバードが追いかけてきたが、アルベールは途中で彼を撒いてしまった。ウォグバードもまた、シドに負わされた傷が完全には癒えていないのだろう。
アルベールはヴィクトリアを森の適当な所で降ろした。
「ヴィー、このまま里を出て俺と一緒にあいつらから逃げよう」
「嫌よ! 里に帰らせて! 私はアルの番にはなれないって何度も言ってるじゃない!」
けれどアルベールはヴィクトリアの拒絶などわかりきったことだとばかりに全く気にしない。
ヴィクトリアは直後にいきなり押し倒されて悲鳴を上げた。
(ここは外なのに、何を考えているの!)
「嫌だったら! やめてよ!」
アルベールは意に介さない。抵抗するヴィクトリアを押さえながら首から流れる血を舐めている。
「邪魔が入らないうちに早く俺と一つになろう」
アルベールがまたスカートの中に手を突っ込んで下着を脱がそうとする。
ヴィクトリアはこんな目に遭うのは今日何度目だろうと悲しく思いながらも悲鳴を上げた。
ウォグバードの介入に焦ったのかもしれないが、アルベールは性急な行動に出てきた。アルベールの瞳には自分の信念を貫こうとする執念のようなものが滲み出ている。
しかし、突き刺すような視線をヴィクトリアに向けていたアルベールは、唐突に劣情を消すと顔を強張らせた。アルベールはヴィクトリアから手を放し、闇の中の一点を凝視する。
トン、サクッ、トン、サクッと奇妙な足音がこちらに近付いてくる。草を踏む音にしてはやや不思議な足音だった。
誰かが来る。
その匂いはリュージュでもウォグバードのものでもなかった。
木の影から出て月明かりに照らされた人物は、濃紫の髪を持つ凛々しい表情をした美しい男だった。
男の黒い瞳には意志の強そうな光が宿っている。
普段は闊達な印象の強い男なのだが、彼は今や眉を寄せて不快そうにしながらこちらに近付いてきた。
ヴィクトリアはその姿を見てはっと息を飲んだ。目の前のこの人物こそ、ヴィクトリアが助けを求めようとしていた相手だった。
「オニキス……」
真っ青な顔になったアルベールが彼の名を呟く。
表向きは否定され続けているが、オニキスはこの里でシドに次ぐ強さを持つ男であり、シドの館付きの専属料理人だ。
オニキスの右脚はギプスで固定され包帯が巻かれていて、松葉杖を突きながらの登場だった。右腕も包帯でぐるぐる巻きにされて布で首から吊るされている。どうやら怪我をしているらしい。
「隣の病室のウォグさんが急に慌てた様子で飛び出して行ったから何事かと思えば…… 嫌がる女を無理矢理手籠にしようとするとは、近頃の若いもんは随分と下衆い真似をするようになったもんだな」
オニキスもウォグバードと同様に医療棟に入院していたらしい。
オニキスに睨まれたアルベールは無意識に腰に手をやるが、剣は先程ウォグバードに弾き飛ばされて地面に転がったままだ。
「さて、嬢ちゃん、おじさんが来たからにはもう大丈夫だぞ」
オニキスはヴィクトリアに視線を向けると、こちらを安心させるような朗らかな笑みを浮かべた。ヴィクトリアはそれを見てちょっと泣きそうになってしまった。
オニキスは昔、母が具合が悪くなり自宅に籠もるようになってから、シドに命じられて母専用の食事を作っていた。その頃、下働きの人間が一度に纏まって逃げ出してしまった事件があり、人手が足りなかった為に時折オニキスが母の家まで料理を運んでくることもあった。
いつだったか彼が母の家に来た時、配膳をしているオニキスを眺めていたら、一緒にいたシドに珍しく声をかけられて、『あいつのことはおじさんだと思え』と言われことがあった。
それを聞いていたオニキスは目を丸くしていたが、ポカンとした顔をしていたのが可愛く思えてしまい可笑しくて、それからヴィクトリアはオニキスのことを親しみを込めて「おじさん」と呼ぶようになった。
その頃のオニキスはまだそんな呼ばれ方をする年齢では全くなかったし、今思えばかなり失礼なことをしていたと思うが、その後もたまに会う度にヴィクトリアが「おじさん」呼びすることをオニキスは怒るでもなく笑顔で受け入れていた。
オニキスはシドとは真逆の優しい人だ。
ヴィクトリアはオニキスの元へ走り出しそうになったが、アルベールに強く腕を引かれて立ち止まる。
アルベールは緊張した面持ちのまま全神経をオニキスに向けていた。
「えーと、お前名前なんだっけ? えー、まあいいや、とにかく嬢ちゃんから手を放しなさい」
「ヴィーは俺と番になるんです。口出ししないでもらえますか?」
オニキスは里では下働き同様の職種である料理人であるが、アルベールはオニキスを完全に格上と認めているらしく、敬語を使っていた。
「でも嫌がってるじゃないか」
「嫌ならヴィーが俺を倒せばいいんです。それができないなら強い者の意に従うべきです」
「まあ確かに、これまでは族長がそれ認めてたから、この里じゃそれが通常みたくなってるんだけど、俺そういうのあんまり好きじゃないんだよね。
身体を結べば結局は思い合って上手いこと収まるって言っても、一生の問題だし、ちゃんと当人同士が話し合って同意を得てからの方がいいと思うよ」
「急にそんなことを言われても困ります。これまでは他の者たちがその方法で番を得ても何の問題もなかったはずです。俺だけ横槍を入れられてその方法はおかしいと責められても納得できません」
「うーん、お前の言いたいことはわかるんだけどさ……」
オニキスは首を捻りながら何事かを考え始めた。
「わかった。今までの方法でお前が納得すればいいんだな? それじゃあ、俺がお前に勝ったら嬢ちゃんを無理矢理番にするのは無しな方向でよろしく」
言い終わるのと同時にオニキスがアルベールに接近した。
オニキスは何か特別なことをしたわけではなかった。ただ松葉杖の先で腹部を軽く突いただけだった。
アルベールは防御の構えを取る暇さえなかった。
樹木を何本も薙ぎ倒しながら遠くの方まで飛んでいくアルベールを唖然と見ながら、ヴィクトリアはオニキスの強さにただただ呆然としてした。
オニキスの動きは早すぎて、アルベールに何をしたのかヴィクトリアには全くわからなかった。
気付いた時には隣にいたはずのアルベールが消えていた。
ヴィクトリアはオニキスに腕を掴まれていて、アルベールに腕を取られたまま一緒に飛ばされていくということにはならなかった。
ドォン、と、おそらくアルベールが着地した音が響いて来て、遠くに潜んでいた鳥たちが鳴き声を上げながらバサバサと飛び立っていく音がした。
「おーい、俺の勝ちってことでいいよなー?」
返事はない。
ヴィクトリアの意志を無視して番にしようとしてきた酷い相手ではあったが、ヴィクトリアはアルベールが死んでやしないかと心配になった。
ヴィクトリアは知らなかったしリュージュも伝えようとはしなかったが、ウォグバードは左の眼球を失っていた。
シドに抉られて食われたのだ。
右眼は元々怪我を負っていて見えない状態だった。ウォグバードは視力を完全に失っていた。
にも関わらず、アルベールと打ち合う姿は視力を失ったようには見えなかった。
ウォグバードは的確にアルベールの位置を捉え、威力のある素早い斬撃を放ち続けている。アルベールは押されて後退するばかりだ。
ウォグバードの嗅覚は視覚を失って以降、その能力を補うような目覚ましい進歩を遂げていた。ウォグバードは周りの風景や人物の動きが、嗅覚を通して全てわかっていた。
対象からほんのわずかでも匂いが出ていなければわからないという欠点はあるが、戦闘において相手の動きを捉えるのには充分で、ウォグバードはそれまでと同様に戦うことができた。
ウォグバードは、番を得た獣人が相手の匂いに殊更敏感になって姿を直接見なくても様子がわかるという現象を、周囲のほとんどのものに対して起こしていた。
それは通常ではあり得ない嗅覚の向上だった。
シドには及ばないが、この男も化け物じみていた。
アルベールの剣が弾き飛ばされて地面に転がる。アルベールの喉元に剣が突き付けられた。
アルベールがウォグバードを睨む。
「子供の喧嘩に親が出てくるとは、あんた、恥ずかしくないのか?」
ウォグバードはリュージュの養い親だ。
「命のやり取りまでするのは喧嘩の範囲を超えている」
ウォグバードが止めなければリュージュは死んでいただろう。
冷静を装いながらもウォグバードの声音には隠しきれない怒気が含まれていた。ウォグバードの剣先がアルベールの喉元に食い込んで血が流れる。
「……わかった。降参だ。あんたには敵わない」
ウォグバードは里一番と名高い剣術の使い手だ。さしものアルベールでも敵わない。
ウォグバードは懐から縄を取り出すとアルベールを後ろ手に縛った。警備の仕事をしているので、縄はたまに人間を捕縛する時に使っていた。
しかし獣人相手の拘束具が縄では心許ない。ウォグバードもそれはわかっているようだったが、立ち上がったリュージュが呻いてよろけたのを支えようと手を出した瞬間、隙ができた。
おそらく、脳内がリュージュのことでいっぱいになってしまったのだろう。
アルベールはその一瞬を見逃さない。縄を力任せにぶち切って拘束を解く。
リュージュが叫んだ。
「ヴィクトリア!」
「きゃあ!」
アルベールはヴィクトリアを肩に担ぐと魔の森に向かって一目散に逃げ出した。
後ろからウォグバードが追いかけてきたが、アルベールは途中で彼を撒いてしまった。ウォグバードもまた、シドに負わされた傷が完全には癒えていないのだろう。
アルベールはヴィクトリアを森の適当な所で降ろした。
「ヴィー、このまま里を出て俺と一緒にあいつらから逃げよう」
「嫌よ! 里に帰らせて! 私はアルの番にはなれないって何度も言ってるじゃない!」
けれどアルベールはヴィクトリアの拒絶などわかりきったことだとばかりに全く気にしない。
ヴィクトリアは直後にいきなり押し倒されて悲鳴を上げた。
(ここは外なのに、何を考えているの!)
「嫌だったら! やめてよ!」
アルベールは意に介さない。抵抗するヴィクトリアを押さえながら首から流れる血を舐めている。
「邪魔が入らないうちに早く俺と一つになろう」
アルベールがまたスカートの中に手を突っ込んで下着を脱がそうとする。
ヴィクトリアはこんな目に遭うのは今日何度目だろうと悲しく思いながらも悲鳴を上げた。
ウォグバードの介入に焦ったのかもしれないが、アルベールは性急な行動に出てきた。アルベールの瞳には自分の信念を貫こうとする執念のようなものが滲み出ている。
しかし、突き刺すような視線をヴィクトリアに向けていたアルベールは、唐突に劣情を消すと顔を強張らせた。アルベールはヴィクトリアから手を放し、闇の中の一点を凝視する。
トン、サクッ、トン、サクッと奇妙な足音がこちらに近付いてくる。草を踏む音にしてはやや不思議な足音だった。
誰かが来る。
その匂いはリュージュでもウォグバードのものでもなかった。
木の影から出て月明かりに照らされた人物は、濃紫の髪を持つ凛々しい表情をした美しい男だった。
男の黒い瞳には意志の強そうな光が宿っている。
普段は闊達な印象の強い男なのだが、彼は今や眉を寄せて不快そうにしながらこちらに近付いてきた。
ヴィクトリアはその姿を見てはっと息を飲んだ。目の前のこの人物こそ、ヴィクトリアが助けを求めようとしていた相手だった。
「オニキス……」
真っ青な顔になったアルベールが彼の名を呟く。
表向きは否定され続けているが、オニキスはこの里でシドに次ぐ強さを持つ男であり、シドの館付きの専属料理人だ。
オニキスの右脚はギプスで固定され包帯が巻かれていて、松葉杖を突きながらの登場だった。右腕も包帯でぐるぐる巻きにされて布で首から吊るされている。どうやら怪我をしているらしい。
「隣の病室のウォグさんが急に慌てた様子で飛び出して行ったから何事かと思えば…… 嫌がる女を無理矢理手籠にしようとするとは、近頃の若いもんは随分と下衆い真似をするようになったもんだな」
オニキスもウォグバードと同様に医療棟に入院していたらしい。
オニキスに睨まれたアルベールは無意識に腰に手をやるが、剣は先程ウォグバードに弾き飛ばされて地面に転がったままだ。
「さて、嬢ちゃん、おじさんが来たからにはもう大丈夫だぞ」
オニキスはヴィクトリアに視線を向けると、こちらを安心させるような朗らかな笑みを浮かべた。ヴィクトリアはそれを見てちょっと泣きそうになってしまった。
オニキスは昔、母が具合が悪くなり自宅に籠もるようになってから、シドに命じられて母専用の食事を作っていた。その頃、下働きの人間が一度に纏まって逃げ出してしまった事件があり、人手が足りなかった為に時折オニキスが母の家まで料理を運んでくることもあった。
いつだったか彼が母の家に来た時、配膳をしているオニキスを眺めていたら、一緒にいたシドに珍しく声をかけられて、『あいつのことはおじさんだと思え』と言われことがあった。
それを聞いていたオニキスは目を丸くしていたが、ポカンとした顔をしていたのが可愛く思えてしまい可笑しくて、それからヴィクトリアはオニキスのことを親しみを込めて「おじさん」と呼ぶようになった。
その頃のオニキスはまだそんな呼ばれ方をする年齢では全くなかったし、今思えばかなり失礼なことをしていたと思うが、その後もたまに会う度にヴィクトリアが「おじさん」呼びすることをオニキスは怒るでもなく笑顔で受け入れていた。
オニキスはシドとは真逆の優しい人だ。
ヴィクトリアはオニキスの元へ走り出しそうになったが、アルベールに強く腕を引かれて立ち止まる。
アルベールは緊張した面持ちのまま全神経をオニキスに向けていた。
「えーと、お前名前なんだっけ? えー、まあいいや、とにかく嬢ちゃんから手を放しなさい」
「ヴィーは俺と番になるんです。口出ししないでもらえますか?」
オニキスは里では下働き同様の職種である料理人であるが、アルベールはオニキスを完全に格上と認めているらしく、敬語を使っていた。
「でも嫌がってるじゃないか」
「嫌ならヴィーが俺を倒せばいいんです。それができないなら強い者の意に従うべきです」
「まあ確かに、これまでは族長がそれ認めてたから、この里じゃそれが通常みたくなってるんだけど、俺そういうのあんまり好きじゃないんだよね。
身体を結べば結局は思い合って上手いこと収まるって言っても、一生の問題だし、ちゃんと当人同士が話し合って同意を得てからの方がいいと思うよ」
「急にそんなことを言われても困ります。これまでは他の者たちがその方法で番を得ても何の問題もなかったはずです。俺だけ横槍を入れられてその方法はおかしいと責められても納得できません」
「うーん、お前の言いたいことはわかるんだけどさ……」
オニキスは首を捻りながら何事かを考え始めた。
「わかった。今までの方法でお前が納得すればいいんだな? それじゃあ、俺がお前に勝ったら嬢ちゃんを無理矢理番にするのは無しな方向でよろしく」
言い終わるのと同時にオニキスがアルベールに接近した。
オニキスは何か特別なことをしたわけではなかった。ただ松葉杖の先で腹部を軽く突いただけだった。
アルベールは防御の構えを取る暇さえなかった。
樹木を何本も薙ぎ倒しながら遠くの方まで飛んでいくアルベールを唖然と見ながら、ヴィクトリアはオニキスの強さにただただ呆然としてした。
オニキスの動きは早すぎて、アルベールに何をしたのかヴィクトリアには全くわからなかった。
気付いた時には隣にいたはずのアルベールが消えていた。
ヴィクトリアはオニキスに腕を掴まれていて、アルベールに腕を取られたまま一緒に飛ばされていくということにはならなかった。
ドォン、と、おそらくアルベールが着地した音が響いて来て、遠くに潜んでいた鳥たちが鳴き声を上げながらバサバサと飛び立っていく音がした。
「おーい、俺の勝ちってことでいいよなー?」
返事はない。
ヴィクトリアの意志を無視して番にしようとしてきた酷い相手ではあったが、ヴィクトリアはアルベールが死んでやしないかと心配になった。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
極道に大切に飼われた、お姫様
真木
恋愛
珈涼は父の組のため、生粋の極道、月岡に大切に飼われるようにして暮らすことになる。憧れていた月岡に甲斐甲斐しく世話を焼かれるのも、教え込まれるように夜ごと結ばれるのも、珈涼はただ恐ろしくて殻にこもっていく。繊細で怖がりな少女と、愛情の伝え方が下手な極道の、すれ違いラブストーリー。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!
ヤンデレ化した元彼に捕まった話
水無月瑠璃
恋愛
一方的に別れを告げた元彼に「部屋の荷物取りに来いよ」と言われ、気まずいまま部屋に向かうと「元彼の部屋にホイホイ来るとか、警戒心ないの?」「もう別れたいなんて言えないように…絶対逃げられないようにする」
豹変した元彼に襲われ犯される話
無理矢理気味ですが、基本的に甘め(作者的に)でハッピーエンドです。
睡姦しまくって無意識のうちに落とすお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレな若旦那様を振ったら、睡姦されて落とされたお話。
安定のヤンデレですがヤンデレ要素は薄いかも。
ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる