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すれ違い
結衣side
しおりを挟む大「起きたか?」
結「あれ?ここ…」
大「病院。あの後お前気失って……。」
私は気づいたら病室のベッドの上だった。
そういえば…気持ち悪いのなくなってる。
結「大雅兄ありがと。」
私は大雅兄の目を見てそう言った。
大「え!?なんで。」
結「ずっと…見守っててくれたんでしょ?」
大「は!?うっせーよ!」
私が笑顔でそう言うと大雅兄は焦ったような照れているような顔でそう答えた。
結「ふふ。本当は大雅兄とっても優しいんだから。」
大「だーかーらー!からかうなら帰るぞ、俺。」
だって…そーゆーところも大好きなんだもん。
なんて言ったら本当に帰っちゃうのかな…。
そんな会話をしていると病室の扉が空いた。
入って来たのは太陽さんと琉生お兄ちゃんだった。
太「結衣ちゃん聞いたよ~!この炎天下の中外ではしゃぎ回ってたんだって?」
結「うぅ……。」
この顔は絶対怒ってる…。
琉「こんな暑いのに外で水分補給もせず走り回ったらこうなるの分かってただろう!!」
結「ごめんなさい…。」
太「あと…お友達との花火大会の約束もしたと?」
結「え?なんでそれを?」
大「俺があいつらから聞いたんだよ。」
結「あ…そっか。」
大雅兄…真央ちゃん達と一緒だったんだもんね…。
大「申し訳ないけど…花火大会は俺から断っておいた。」
結「え!?どうして!?」
琉「当たり前だろう!!死にてぇのか?」
今日はやけに機嫌の悪そうな様子の琉生お兄ちゃんは声を荒げてそう言った。
結「でも…っ!」
太「俺も…結衣ちゃんは行かない方がいいと思う。」
え?太陽さんまでそんな事…。
大「結衣…お前自分の状況分かってんのか?」
結「でも…でも…。今日は本当に水分補給もせずずっと遊んでしまってごめんなさい!!でも花火大会は夜だから今日よりは涼しいだろうし…水分だってちゃんと摂るようにするから…お願い!!」
……お願い。
友達と花火大会に行くのはじめてなの。
はじめて誘われたの。
今まで一緒に行く友達なんていなかった。
家で1人、ただ…花火の音を聞くくらいのことしか出来なかった。
来年はきっと受験やらで忙しくなる。
チャンスは今年しかないの。
……お願い。
そう心で叫んでみたけど…。
いくら心で叫んだって彼らには届かない。
琉「花火大会は絶対にダメだ。行かせない。……話はそれだけだ。俺はもう仕事に戻る。」
そう言って行ってしまった琉生お兄ちゃん。
するとその様子を見た太陽さんは私の背中をさすりながら言った。
太「琉生も結衣ちゃんのこと本当に心配しているんだよ。今回は何もなかったから良かったけど…花火大会はそうもいかないと思うんだ。だから今回は諦めようよ。」
優しくそう言ってくれる太陽さんだけど…。
そんなんじゃ諦められない。
だって今年しかないのに…。
高校生でいける花火大会は今年しか本当にもうないの。
私が悪かった。
今日の事はすごく反省もしている。
だから…お願いだよ。
行きたいよ。
いくらそう願ったところで大雅兄も太陽さんも微笑んではくれなかった。
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