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想いは箱の中に6

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「牧野……待って…」

「……牧野、ごめん」

「困らせるつもりじゃなかった」

「…え?」

 (…ちょっ……近い…!)

「顔色わるいな」

「送ってくよ、何処?」

「え、いいって…!」

 ポンと音がまた鳴ってエレベーターの扉が閉まる。

 (……ああ!)

 地下駐車場へと下りるエレベーターに、亮は高瀬と取り残された。
 下りる機会を逃し、逃げ道を失った亮は、途方にくれる。
 そして疑問が浮かんだ。

 相手はどうして、こんな自分に声を掛け、世話まで焼いてくるのだろう。

 高瀬は今、誰もが羨む大企業に勤めている。日々仕事で、大きなプレッシャーと戦っているのだろうか。そのストレスがに彼を人助けという現実逃避に走らせたのだろうか。亮の中で様々な仮説が浮かんできた。



 B2階、地下駐車場。
 コンクリートの壁に二人の足音が響いている。

「いや…マジで、高瀬…俺一人で帰れるから…」

 エレベーターから引っ張り出された亮の抵抗に気にも止めず、少し前を高瀬が歩いている。そして高瀬は、1台の車の前で足を止めた。


    
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