光源氏の逆襲

東京ともりん

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13 光る君の凋落

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 先日左大臣邸に赴き、皆から元氣付けられたせいか、何だか気力が湧いてきた。

せっかく父様が右大将にまでしてくれたんだ。
春宮様や藤壺様を守るためにも朝廷に顔を出し、支持者をまとめなければ。

ちなみに今の自分の地位は、父様の譲位の時頂いた参議兼近衛右大将だ。
どんだけ偉いかってゆーと相当エラい。
公卿と呼ばれる閣僚クラスで武官としてもトップに当たる。
自分が引き込もってる間に、出家なされた藤壺様の禄が中宮の御位から降りたからと早速削られたらしいし、お一人で東宮にいらっしゃる春宮様も気にかかる。

ガラにもなく何やら使命感が湧いてきて朝議で上奏に意見したり、各大臣と協議したりと忙しい毎日を過ごしていたら、ある日いきなり官位を剥奪すると宮中から使いが来た。


寝耳に水で驚き、慌てて参内したものの、朱雀帝にはお目にかかれず見知った顔も見かけない。
宮中には息のかかった人物を結構な人数寄こしていたが、どうやら排除されたようだ。
イヤな予感がする。

同様の知らせを聞き、驚いて駆けつけた左大臣方の皆と集まり状況を確認しようとしていたら、中将が人混みをかき分けてやって来た。

彼によるとやはり皇太后様の差し金で、例の朧月夜の君とのことが問題視されたらしい。
彼女とのことは朱雀帝もご承知の上だったが、召された後の手紙のやり取りなどをあげつらい、今さらながらけしからんと言うわけだ。

これで合点がいった。
先日皇太后様がご機嫌だったのはその頃から私を排斥する算段が整っていたんだな。
朱雀帝が宿直の日に何か言いたげだったのもこの事をご存知だったからに違いない。そういやあの時も周りは皇太后様の側近で囲まれてた。
兄様が私に忠告などしないよう見張らせてたんだろう。

 手紙はほぼ朧月夜からのもので、こちらからは無粋にならぬ程度に風流な歌などたまさかに返していただけだったが、、まさか、、。
いや、彼女がわざと企みに汲みしたとは思えない。
大方朧月夜の性格を知っている皇太后が利用したんだろう。

 やられた。
兄様が皇位を継ぎ、もう大丈夫だろうと安心した自分が甘かった。
皇太后の母様への恨み、その息子である自分への恨みは我が異母妹をも利用するほど深かったのか。
自分のお気楽な性格が今さらながら悔やまれる。

皆はこれしきの事で罷免になるはずもないとか、朱雀帝が、すぐにでもとりなしてくれるはずだとか慰め半分楽観的なことを言い合っているが、到底これで済むとは思えない。
何しろ何度も自分を殺そうとしてきた皇太后がこれほどの根回しをして仕掛けて来たんだ。
とことん追い詰めて来るに違いない。

 これはヤバい。
 マジでヤバい。
急いで対策しなければ、、、
しかし、ここで粘っていても兄様には会えそうも無いし、今の宮中は皇太后様の思うままになっている。
ヘタをしたらこのまま拿捕されかねない。

 とりあえず集った皆には軽はずみな行動は控えてみだりに動かぬよう釘をさし、中将には左大臣への言付けを託して急ぎ宮中を出ることにした。
 
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