Polyamoly(ポリアモリー)

花森 雲空

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何も聞かない32歳を怒りで刺そうとした

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8年間、SIMカードを抜かれ、ファミリーリンクまでつけられた携帯を持たされ、ラインも入れられなかった。
保護者制限がついていたからだ。

それでも、8年間、亡き祖父の作った会社の受付嬢を勤め上げた。

帰り際、田辺弁護士と落ち合った。

「一緒に頑張りましょうね!詰めるとこまで詰めてますから!」

私は力強く頷き、1kの家に帰った。
  
「8年間、自分の両親の保険金で勝手によく住み着いてくれたな。自分が野菜食えないからって、肉の食えない私は、何回かな?栄養失調で倒れたのは。携帯で友達消して管理しても、友達は残るんだ。給料の勝手な管理してたつもりだろうけど、何回言っても働かないプータローさん。それ、お兄さんに全額返してもらったから。不倫兄貴に。まだ話足りないけど、命拾いしたね。たっぷり8年間分の慰謝料貰うからな!!」

田辺弁護士に変わり、話しをしてもらおうとした。

「桃は、俺が管理しないと生きていけないのわかるだろ?俺がいないと、心の病気も治らないだろ?」

玄関を開けたが、理性が飛んだ。

包丁を取り、刺そうとしたら腕が引っ張られた。

「あほかっ!こんな虫けら殺すくらいで人生捨てるなやっ!?」

たあくん。私はそのまま意識を失った。

何時間経ったのかは、夕日を車の中から見て、大体わかった。

「着替えられたか?」

まだ、8月の暑い日差しが去ろうとしなかった。

中学生から知っている、たあくんも私も歳をとっていた。



「須磨や!懐かしいやろ?泳いでくるわ!」

33歳にもなって。

「くらげに刺されるよ!」

私も後を追った。



「好きなときに好きなことはできひん!でもな、人を縛る理由はないで!うちは、二人の従業員と三人暮らしやから、近くに家借りたさかい、そこから再スタートしたらええ!」

夕日が沈みかけ、たあくんの手を引っ張った。

目を閉じると柔らかくて、潮の香りがした。

「俺は、束縛はせえへん。でも、桃の心の軸におらしてほしい。当たり前にヤキモチも焼く。ただな、何でも話してほしい。わかったか?」

首に指輪のネックレスをもらった。

たあくんとお揃いだった。

「これ、家の鍵と頼まれてた車の鍵な!ええ買い物した気分やったわ!今日は心配やから泊まって帰るから、ゆっくり心を休めて過ごしな!ほな、いこか!」

車の揺れが心地好く、足掻いた海でのばた足は、月明かりに溶けるように、歌声を響かせた。

「クリスピーチキン好きやなあ!乾杯!」

ウオッカトニックに、ライムを搾っただけ。

「シンプルで落ち着く。ありがとう!」

二人は、一気飲みをして、惹かれ合う様に愛し合った。




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