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第五章 ウォード覚醒編
第19話 緑門②
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俺達は緑門に足を踏み入れ、マッピングをしながら先へと進んでいく。
魔物への警戒はハリエット達に任せておいて、アナスタシアにダンジョンと地上の違いを説明していた。
「討伐すると消滅するのは良いね。だからハンターはダンジョンを目指すんだね」
「そうだね。ダンジョンごとに個性があってとても面白いよ。討伐からは戻ったら、僕が作ったダンジョンマップを見せるからさ、その違いを確認すると良いよ」
2人でダンジョンの話をしていると、メルローズが魔物の気配を感じたようで、小さな声と同時に右手を広げて『止まれ』のハンドサインを出した。
「シッ!」
アナスタシアの顔が強張る。初めてダンジョンでの戦闘になるので仕方ない、俺は肩に手を当てて笑顔を見せて緊張を和らげてから指示を出す。
「ハリエットとサーシャは攻撃準備を、このままゆっくりと進むよ。魔物を視認できたら指示をだすからね」
「「OK!」」
指示の後は、2人がそれぞれの武器を構えながら少しずつ前進すると、2体の魔物が見えてきた。現れたのはゴブリンで、当たり前だけど緑色の魔物だった。こちらに気づいていないようなので、遠慮なく先制攻撃を仕掛ける。
「右はハリエット、左はサーシャが攻撃ね。メルは射撃と同時に前進」
「「OK!」」
ハリエットが弓を、サーシャがスリングショットをゴブリンに向かって放つと同時に、メルローズは一気に駆け出した。
『シュバッ!』『シュン!』
「ガッ……」
「グガァ!」
矢に射抜かれたゴブリンは絶命して消滅したが、もう1体にも石玉が直撃したけど、威力不足で仕留めきれなかった。手負いのゴブリンは、大きな声をあげて近くにいる仲間を呼ぶが、素早く駆け寄ったメルローズの心臓への一突きで、仲間が呼ぶ前に消滅したのだった。
「お疲れ様。メルは周囲の警戒をしてね。アナは魔石の回収を、ハリエット達は矢と玉を使えそうなら回収」
「「OK!」」
「はぁ~、ハリエットは凄いな、私じゃ1発で仕留めきれないや……」
魔石などの回収を済ませると、サーシャがため息をついて小声で呟くのが聞こえた。ハリエットの弓は達人の領域に近いと思うほどなので、比べるのは酷だと思う。それでも同じパーティーメンバーだからそのように思うのは仕方ないね。
「あまり気に留めなくても良いよ。弓とスリングショットでは特性の違いもあるし、それぞれの役割を全うすれば良いんだからね」
俺は武器の特性やメンバーそれぞれに役割があることを伝えると、軽く頷いてから笑顔で返事をした。
「うん、ありがとう」
「鉄玉を用意できない僕にも責任があるしね」
「ううん、私の役目はサポートがメインなので、ダメージが必要な時はアタッカーに任せます」
「みんなが役割を持って頑張って行こう」
「はい」
そう、誰かと比べるのではなく、それぞれの役割を果たしていくのが俺達のパーティーだ。サーシャはそのことを理解してくれたようで安心したのだった。
魔物への警戒はハリエット達に任せておいて、アナスタシアにダンジョンと地上の違いを説明していた。
「討伐すると消滅するのは良いね。だからハンターはダンジョンを目指すんだね」
「そうだね。ダンジョンごとに個性があってとても面白いよ。討伐からは戻ったら、僕が作ったダンジョンマップを見せるからさ、その違いを確認すると良いよ」
2人でダンジョンの話をしていると、メルローズが魔物の気配を感じたようで、小さな声と同時に右手を広げて『止まれ』のハンドサインを出した。
「シッ!」
アナスタシアの顔が強張る。初めてダンジョンでの戦闘になるので仕方ない、俺は肩に手を当てて笑顔を見せて緊張を和らげてから指示を出す。
「ハリエットとサーシャは攻撃準備を、このままゆっくりと進むよ。魔物を視認できたら指示をだすからね」
「「OK!」」
指示の後は、2人がそれぞれの武器を構えながら少しずつ前進すると、2体の魔物が見えてきた。現れたのはゴブリンで、当たり前だけど緑色の魔物だった。こちらに気づいていないようなので、遠慮なく先制攻撃を仕掛ける。
「右はハリエット、左はサーシャが攻撃ね。メルは射撃と同時に前進」
「「OK!」」
ハリエットが弓を、サーシャがスリングショットをゴブリンに向かって放つと同時に、メルローズは一気に駆け出した。
『シュバッ!』『シュン!』
「ガッ……」
「グガァ!」
矢に射抜かれたゴブリンは絶命して消滅したが、もう1体にも石玉が直撃したけど、威力不足で仕留めきれなかった。手負いのゴブリンは、大きな声をあげて近くにいる仲間を呼ぶが、素早く駆け寄ったメルローズの心臓への一突きで、仲間が呼ぶ前に消滅したのだった。
「お疲れ様。メルは周囲の警戒をしてね。アナは魔石の回収を、ハリエット達は矢と玉を使えそうなら回収」
「「OK!」」
「はぁ~、ハリエットは凄いな、私じゃ1発で仕留めきれないや……」
魔石などの回収を済ませると、サーシャがため息をついて小声で呟くのが聞こえた。ハリエットの弓は達人の領域に近いと思うほどなので、比べるのは酷だと思う。それでも同じパーティーメンバーだからそのように思うのは仕方ないね。
「あまり気に留めなくても良いよ。弓とスリングショットでは特性の違いもあるし、それぞれの役割を全うすれば良いんだからね」
俺は武器の特性やメンバーそれぞれに役割があることを伝えると、軽く頷いてから笑顔で返事をした。
「うん、ありがとう」
「鉄玉を用意できない僕にも責任があるしね」
「ううん、私の役目はサポートがメインなので、ダメージが必要な時はアタッカーに任せます」
「みんなが役割を持って頑張って行こう」
「はい」
そう、誰かと比べるのではなく、それぞれの役割を果たしていくのが俺達のパーティーだ。サーシャはそのことを理解してくれたようで安心したのだった。
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