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第五章 ウォード覚醒編
第2話 人と魔物が交わる者
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パミュルとの会話中、身体が『ドクンッ』と脈打つと同時に瞼が開くと、ハリエットが俺の手を握りしめ祈っているようだった。
「ハリエット……」
「ウォード!良かった、本当に良かった……」
俺が目覚めたことを判ると、その目からは涙が溢れ何度も『良かった』と言葉にした。後ろに控えていたサーシャとメルローズは、互いに抱き合いながら喜び合っていた。
「どう?胸に痛みはや違和感はない?」
反対側に座っていたラミュルが、俺の脈を取りながら質問をしてきた。アナスタシアは胸元で両手を握りしめながら、上を向いて口を動かしていたので、セナに報告をしているように見えた。
「うん、ちゃんと鼓動を、パミュルを感じるよ」
「良かった。これで一安心かな?でも、1週間はここで絶対安静にしてもらうわよ?」
「はい、ラミュル先生」
目覚める前にパミュルと話している感覚があったことを、ラミュルには伝えなかった。麻酔による幻覚効果かも知れないから、1人になる時間があればあの感覚が本物なのか試そうと思う。
夜になり、ハリエットに流動食を食べさせてもらった後は、異状があった時の為に、ラミュルが部屋にベッドを置いて付き添ってくれた。
そして、完全に寝静まった頃合いを見計らって、パミュルのことに意識を集中する。
『パミュル、僕のことを感じる?』
『ふふっ、あなた以外の誰を感じるの?』
『幻覚じゃなかったんだね。本当にずっと一緒なんだよね?』
『そうよ。ウォードの命が尽きる時までずっと一緒に居るわ』
『『愛してる』』
理由は判らないけど、俺とパミュルの心が繋がってるようだ。別にそんなことはどうでも良い、これからもパミュルを感じることができるんだから。
『完全に体調が安定したら、みんなにこのことを伝えるよ。それで良いよね?』
『えぇ、これからは私の方からも声をかけるから、今は身体を休めるのよ』
『うん、おやすみ』
パミュルと少し話した後は、安心して眠りに就いたのだった。
絶対安静の状態が1週間経過して、ラミュルの診察で異常がなければ、晴れて宿へ戻ることになる。俺はこのタイミングでパミュルの心と繋がってることを報告する。
「うん、心臓の鼓動も万全だね。お兄ちゃんから特に言うことがなかったら、今日から宿へ戻っても大丈夫だよ」
「えっと、実は手術が終わった後からなんだけど、パミュルの心と繋がっていて、心で会話ができるようになったんだよ」
「えっ?」
流石のラミュルも驚いたようで、言葉が出てこなかった。
「僕の言葉だけじゃ信じられないよね。だから今からパミュルの言葉を伝えるね」
「う、うん」
そこからは、パミュルが受けた講義の内容を、全く意味も判らないまま伝えていくと、ラミュルは目を閉じながら右手を前に出して止めた。
「判った。間違いなくパミュルさんの言葉だと信じるよ。そうなるとお兄ちゃんは【人と魔物が交わる者】に……」
ラミュルがそんな言葉を口にしたのだった。
「ハリエット……」
「ウォード!良かった、本当に良かった……」
俺が目覚めたことを判ると、その目からは涙が溢れ何度も『良かった』と言葉にした。後ろに控えていたサーシャとメルローズは、互いに抱き合いながら喜び合っていた。
「どう?胸に痛みはや違和感はない?」
反対側に座っていたラミュルが、俺の脈を取りながら質問をしてきた。アナスタシアは胸元で両手を握りしめながら、上を向いて口を動かしていたので、セナに報告をしているように見えた。
「うん、ちゃんと鼓動を、パミュルを感じるよ」
「良かった。これで一安心かな?でも、1週間はここで絶対安静にしてもらうわよ?」
「はい、ラミュル先生」
目覚める前にパミュルと話している感覚があったことを、ラミュルには伝えなかった。麻酔による幻覚効果かも知れないから、1人になる時間があればあの感覚が本物なのか試そうと思う。
夜になり、ハリエットに流動食を食べさせてもらった後は、異状があった時の為に、ラミュルが部屋にベッドを置いて付き添ってくれた。
そして、完全に寝静まった頃合いを見計らって、パミュルのことに意識を集中する。
『パミュル、僕のことを感じる?』
『ふふっ、あなた以外の誰を感じるの?』
『幻覚じゃなかったんだね。本当にずっと一緒なんだよね?』
『そうよ。ウォードの命が尽きる時までずっと一緒に居るわ』
『『愛してる』』
理由は判らないけど、俺とパミュルの心が繋がってるようだ。別にそんなことはどうでも良い、これからもパミュルを感じることができるんだから。
『完全に体調が安定したら、みんなにこのことを伝えるよ。それで良いよね?』
『えぇ、これからは私の方からも声をかけるから、今は身体を休めるのよ』
『うん、おやすみ』
パミュルと少し話した後は、安心して眠りに就いたのだった。
絶対安静の状態が1週間経過して、ラミュルの診察で異常がなければ、晴れて宿へ戻ることになる。俺はこのタイミングでパミュルの心と繋がってることを報告する。
「うん、心臓の鼓動も万全だね。お兄ちゃんから特に言うことがなかったら、今日から宿へ戻っても大丈夫だよ」
「えっと、実は手術が終わった後からなんだけど、パミュルの心と繋がっていて、心で会話ができるようになったんだよ」
「えっ?」
流石のラミュルも驚いたようで、言葉が出てこなかった。
「僕の言葉だけじゃ信じられないよね。だから今からパミュルの言葉を伝えるね」
「う、うん」
そこからは、パミュルが受けた講義の内容を、全く意味も判らないまま伝えていくと、ラミュルは目を閉じながら右手を前に出して止めた。
「判った。間違いなくパミュルさんの言葉だと信じるよ。そうなるとお兄ちゃんは【人と魔物が交わる者】に……」
ラミュルがそんな言葉を口にしたのだった。
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