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第四章 帰郷編

第62話 アナスタシアの心の内

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 アナスタシアはセナに対する想いを打ち明けてくれた。

「ウォードさんは知らないだろうけど、お母さんは嘘をついてるって噂を流されて、周りの人から嫌がらせを受けながら私を育ててくれたの。私のお母さんは嘘なんてついてないのに……」

 アナスタシアはセナの置かれている状況を知っていたようだ。知ってるということは、住民から嫌がらせを受けていた可能性があるので、とりあえず話しかけてみる。

「そうなんだね。そのことでアナちゃんは嫌がらせを受けたりしなかった?」
「……、お姉ちゃんが来てからはなにもないよ。それまでは色々あったかな」

 少し辛そうな表情で答えると、それでも話を続けてくれた。

「でも、お母さんから本当のことを聞いてたから、そんなことに負けなかったよ。だって、私は凄く優しいお母さんと、そんなお母さんを命懸けで守ったお父さんの娘なんだもん」

 話しの最後には笑顔を見せて、セナと俺の娘であることを誇らしげな表情になっていたので、思わずアナスタシアを抱きしめた。

「えっ……、ウォードさん?」
「ごめん、アナスタシアは本当によく頑張ってきたんだと思って……、偉かったんだね」
「あっ、うん……なんかそんな風に言われると、なぜか……うっ、うわぁああ~」

 これまで頑張ってきたことを褒めると、アナスタシアは感情が爆発したようで、俺の胸に顔を埋めて大声で泣いた。

 俺はただ優しく抱きしめながら頭を撫でながら、アナスタシアが落ち着くのを待ってから、ラミュルとセナの待つ家へと戻ることにした。

(戻ったら、アナにも俺が転生者であることを伝えた方が良さそうだね)

 アナスタシアと色々な話をしながら家へと戻っていると、パミュルとハリエットがラミュルの家の近くに来ていて、俺を見つけると声をかけてきた。

「ウォード!帰ってこないから心配してたわよ。身体は大丈夫なの?」
「あっ、うん。ちょっと色々あって、まだ帰れないかな?」
「あまり無理をすると身体に悪いわよ?」
「うん、でも放って置くことができないから」

 俺が立ち止まって話をしてると、隣にいるアナスタシアが不安な表情をしてるので、俺のパーティー仲間だと紹介する。

「アナ、この2人は僕のパーティーメンバーのパミュルとハリエットだよ。僕はハンターをしていて、世界を旅して回ってるんだ」

 2人を紹介すると、互いにお辞儀をしあうと、次はアナスタシアを2人へ紹介する。

「この子はアナスタシア、ラミュルさんの妹で今から家まで送るところだったんだ」

 2人はラミュルの妹と聞いて、アナスタシアが俺の娘だと理解すると、柔らかい表情になり言葉をかけた。

「私はパミュルよ。そう、あなたがラミュルさんの妹なのね。ふふっ、とても可愛いわね」
「ハリエットです。ラミュルさんとは雰囲気が違うのはお父さんに似たのかな?」

 ハリエットの言葉の後に、2人揃って俺の方を見るので恥ずかしくなると、不思議そうな顔をしながらアナスタシアが答えた。

「そうなんです。私はお姉ちゃんには似てなくて、お父さんにそっくりだとお母さんによく聞かされてるんです。2人はお父さんをご存知なんですか?」

 2人は黙って首を横に振ったのだった。
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