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第四章 帰郷編

第47話 お礼のキスの権利

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 俺が作った家馬車ルーロットでガレリアを出発して最初の夜を迎える。普段ならテント張って焚き火を起こしてと、色々と忙しいところなんだけど、寝泊まりは家馬車ルーロットでできるので手間が1つ省けた。これからキッチンを備え付ける予定なので、それまでは外で食事の準備をすることとなる。

「キッチンルームとシャワールームはなるべく急ぐから、それまでは我慢してね」
「テントを貼らないだけでも楽になったわ。我慢じゃなくて楽しみに待ってわね」

 俺が内装を急ぐと伝えると、パミュルは我慢でなく、楽しみにしてると言いながら周りを見ると、全員が『ウンウン』と頷いていた。流石はパミュルといったところか、女性メンバー全員の考えを代弁してくれていた。

「さぁ、早く食事の準備を始めようよ」
「「はい」」

 ハリエットのかけ声でサーシャとメルローズが、食事の準備に取りかかった。俺は操縦を終えたパミュルに飲み物を渡して、家馬車ルーロットの運転具合を聞いてみた。

家馬車ルーロットの操縦具合はどんな感じだった?」
「とても運転しやすかったわよ。全く揺れない馬車なんて本当にすごい物を作ったわね」
「自分では凄いとは思ってないんだよね。みんなの馬車旅が楽になればと思っただけだよ」
「ふふっ、とりあえずお礼はしておくわね」

『チュッ』

 言葉の後にパミュルが頬にキスをしてくれた。そのことに気づいたハリエットが、俺の元へ駆け寄ってパミュルへ文句を言った。

「ちょーーーと!何してるの!抜け駆け禁止!」
「抜け駆けなんてしてないわよ?快適に操縦ができたお礼をしただけよ?」
「むぅ~、それなら私もお礼をする~!」

 ハリエットが俺にキスをしようとすると、メルローズが割り込んでくると、サーシャも遅れながら近寄ってきた。

「ハリエットさんが、ウォードさんにお礼のキスをするなら、私にも権利がありますよね?だって、快適に乗れたのは同じですよね?」
「ってことは、私にも権利があるんですか?」

 メルローズが俺にキスをする権利があるとか言いだすと、サーシャまで便乗してきた。俺には2人の言動が理解できずに困惑してると、パミュルは3人に向かってイタズラな笑顔で話しかける。

「残念だけど家馬車ルーロットに乗ってただけではお礼のキスは無理よ?私は操縦してたんだから特別なのよ。ねぇ、ウォードそうよね?」

 言葉の後に俺の方に顔を向けてウインクをしたので、俺は合わせるように頷くと3人は肩を落とした……。

「あっ、明日は私が操縦するからお礼をしてもいいんだよね?やったーーー!」

 家馬車ルーロットはパミュルとハリエットが交代で操縦するので、明日はお礼ができると明るい笑顔になり、うなだれる2人を連れて、食事を作りに戻っていった。

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