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第四章 帰郷編

第42話 メルローズの成長

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 俺が手本を見せた後に装備を返すと、メルローズだけじゃなくみんなが驚いていた。

「えっと、どうかしたの?」
「流れるような立ち回りに驚いたのよ。ウォードは前衛職もできるのね」
「無理だよ?今もギリギリだったから、これ以上の魔物が相手だと対応はできないからね?」

 弱い魔物が相手だからこそ、手本を見せれたと伝えると、パミュルが良いアイデアを思いついたみたいで、その内容を教えてくれた。

「弱い魔物が相手なら、今みたいに立ち回りの手本を見せれるのよね?」
「そうだね。あくまで形だけなら再現できるから、見せる事は可能だね」
「それなら弱い魔物を相手に、ウォードが思う理想的な前衛職の立ち回り方を、メルローズに教えてあげれば良いのよ」
「そんな事で良いのかな?」
「メルローズ次第だけど、騎士ナイトの天賦をハンターで活かすなら、騎士団で学ぶよりウォードから学ぶ方が役立つもの」

 俺とパミュルが話してると、メルローズが話に加わって本人の思いを伝えてくれた。

「私はパミュルさんの意見に賛成です。騎士ナイトになりたいのではなく、輝煌星きこうせいで役に立つ前衛職になりたいです。これからも私を育ててください」
「ふふっ、こんな可愛い娘を、自分の好みに育てれるなんて幸せ者ね?」
「えっ、そんな意味では……でも、ウォードさんになら……●●●●●●」

 メルローズの言葉を聞いたパミュルは、揚げ足をとるように茶化すと、メルローズの顔は真っ赤になっていたけど、何か呟いていたけど聞き取る事はできなかった。

「それなら、僕が思う理想の前衛職を考えるから、思いついたらその都度説明するから一緒に頑張ろうね」
「はい!お願いします」

 その後は、パミュルやハリエットから冷やかされて、メルローズの顔は真っ赤なままだったけど、俺は期待に応える為に努力する事を誓った。

「さぁ、雑談はここまでにして、メルローズには受け流す練習をしてもらうから、移動を再開するからね」
「「OK!」」

 討伐を再開して、森の中を進んで行くと暴れ猪ワイルドボアが現れたので、メルローズは受け流しに挑戦する。

「メルローズはさっきの手本通りで、ハリエットがトドメをさしてね。サーシャさんはメルローズのフォローをお願い」
「「OK!」」

 メルローズが盾を叩いて、暴れ猪ワイルドボアの注意を引き付けて突進に備えて盾を斜めに構える。

『ガッ!』

 盾に衝突すると暴れ猪ワイルドボアは横にズレれたので、後ろ脚へ狙いを定めて突きを放つが、脚ではなく背中に刺さってしまい、暴れ猪ワイルドボアは反転してメルローズに突進しようとすると、サーシャの植物魔法が暴れ猪ワイルドボアを拘束した。

「メルちゃん、そのままトドメだよ」
「あ、ありがとうございます!やぁーっ」

 サーシャのフォローのおかげで、拘束された暴れ猪ワイルドボアの頭へ突きを放つと、大きな叫び声をあげてから絶命した。

「良い感じだったね!」
「でも、突きが甘くて背中に刺さったが駄目でしたね……」
「最初の突進を引き付けて、受け流す事が重要なんだよ。受け流した時点で討伐は成功だからね」
「はい、次は脚へ当ててみせます」
「うん、メルローズなら直ぐにできるよ」

 この後も討伐を続けてると、メルローズの突きの技術は目に見えて上達して、狙い通りに脚へ突きを入れる事ができるようになった。

(これなら、ガレリアを離れても大丈夫だね)

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