上 下
224 / 331
第四章 帰郷編

第40話 メルローズの頑張り

しおりを挟む
 宿へ戻った後は、メルローズから騎士ナイトの基本動作の確認をしたいと言われたので、夕食の後は小一時間ほど防御から突きを放つ練習を繰り返した。この調子なら騎士ナイトの素質が直ぐに開花しそうだと思う。

(そして、ミリムみたいに去って行くのかな?)

「よし、練習はこれくらいにしよう。疲れを明日に残すのはダメだからね」
「はい、ありがとうございました」

 明日もゴブリン討伐へ向かうので、メルローズと部屋へ戻って汗を流した後は、ベッドで横になって就寝した。

§メルローズ視点§

 本当にウォードさんは親切だ。

 討伐から帰っても声をかければ練習に付き合って、適切なアドバイスをくれる。しかも私の為に騎士ナイトの事を詳しく調べてくれてたようだ。ただ、練習をしてる時にイメージ通りに動けた時などに褒めてくれるけど、同時に寂しそうな顔を見せる時がある。

 私との練習でミリムさんの事を思い出してるんだね。そう思うと、パミュルさんから言われた言葉を思いだす。

『ウォードを裏切らないでね』

 ミリムさんはウォードさんと将来を誓いあったのに、強さを求めすぎて去っていった。しかも、天賦の情報を教えるという裏切り行為までした。

 私はミリムさんのようには絶対にならない。だからウォードさん、安心してくださいね……

§メインストーリー§

 朝を迎えて討伐の準備をする。

 昨日の感じから、メルローズは魔物を討伐する事へのためらいはないと判ったので、拘束してないゴブリンを討伐してもらう事にした。俺に関しては身体の動きに問題はなかったので、メルローズの訓練に重点を置く。

「今日からは、メルローズの訓練をメインにするからね。とりあえず1対1でゴブリンを討伐してもらうよ」
「は、はい」

 昨日と同じようには草原を進んでいると、ゴブリン2体を見つけたので直ぐに指示を出す。

「2体だから、僕とメルローズで対応するよ。ハリエットはフォローをお願い、残りは周辺の警戒ね」
「「OK!」」

 俺とメルローズはゴブリンに向かって行く、奇襲をかけるつもりはないので、そのまま真っすぐ向かうと、ゴブリンがこちらに気づいた。

 俺は直ぐに1体のゴブリンに駆け寄りながら、短剣を投げて足へ突き刺して、バランスを崩させた後に剣を心臓に突き立てた。

 直ぐにメルローズの方に目を向けると、盾を前に出しながら、ゴブリンを待ち構えていた。そして衝突する直前に下半身に力を入れてその瞬間に備える。

『ゴツッ!』
「はあっ!」

 ゴブリンの突進を受け止めて、そのまま盾で押し返すと膝を狙って槍で突く。

「ギャッ」

 膝への一撃でゴブリンがバランスを崩すと、冷静に盾を横に振って頭部に打撃を入れる。倒れて隙だらけになったゴブリンの頭へめがけて、槍の一撃を入れたところで戦いは終わりを告げた。

「やりましたよ!ゴブリンを討伐できました」

 満面の笑顔で俺達に報告するメルローズ、俺は駆け寄って良くやったと声をかけた。

「やったね!この調子で頑張って行こう」
「はい!」

 そう言ってからハイタッチを交わして喜びを分かち合った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブだった私、今日からヒロインです!

まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。 このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。 そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。 だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン…… モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして? ※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。 ※印はR部分になります。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

私を侮辱するだけの婚約者はもういりません!

杉本凪咲
恋愛
聖女に選ばれた男爵令嬢の私。 しかし一向に力は目覚めず、婚約者の王子にも侮辱される日々を送っていた。 やがて王子は私の素性を疑いはじめ……

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥ 財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。 ”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。 財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。 財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!! 青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!! 関連物語 『お嬢様は“いけないコト”がしたい』 『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中 『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位 『好き好き大好きの嘘』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位 『約束したでしょ?忘れちゃった?』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位 ※表紙イラスト Bu-cha作

処理中です...