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第四章 帰郷編
第14話 野営でのトラブル
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ガレリアへの護衛初日は、森林地帯へ入る手前で野営をする事にした。
次の野営からは、森林地帯の中で魔物の襲撃に注意を払う事になる。決して油断は出来ないけど、メルローズにも野営に慣れて欲しいので、俺が護衛のリーダーとして判断させてもらった。
「では、野営の準備をしましょう」
「俺達は馬の近くで世話をしながら野営をさせてもらうよ」
「僕達は馬車の入口側で野営をします」
ケントとネイトの御者は馬の近くで、俺達は襲撃に備えて、メルローズが直ぐに馬車内へ避難できる位置で野営をする事にした。
「俺達は別々の野営なのか?俺もそっちへ混ぜてくれよ」
ネイトが俺達の野営に加わりたいと言い出すが、コスター男爵家お抱えの御者なら一緒に野営をするが、別々に依頼を受けてるので依頼料の事もあり、今回は一緒に野営をする事はない。
「別々に依頼を受けているので、仕方がないと思うのですが?」
「一緒に旅をする仲だろ?男と女が居るんだし楽しもうぜ?」
ネイトの下品な言い回しが、馬車内のメルローズの耳にも届いたようで、メイド共に馬車から出てきて怒りの言葉をネイトに向けた。
「そんな不純な考えの者と過ごすのは断固拒否よ!ガレリアへ到着したら協会へ苦情の報告をするから覚悟しなさい!」
「いや、別に不純な考えじゃなくて、旅を一緒にする仲間じゃないですか?仲良くするのは良い事でしょ?」
「下心が丸見えなのよ!下がりなさい」
メルローズの怒声に気づいたケントが、慌てて俺達の元へやって来て、ネイトの頭を強引に押し下げて謝罪する。
「申し訳ありません!直ぐに下がって言い聞かせておきますので、お許しください」
「判ったわ。次はないわよ」
「はい、失礼します。来いっ、馬鹿野郎!」
不満そうなネイトを、強引に引っ張りながら御者の野営場所へ戻って行くと、メルローズは『はぁ~』と大きくため息をついてから俺の方を見た。
「今の対応は間違ってませんよね?」
「はい、正しい対応だったと思います。僕が注意をすると、御者と護衛で揉めるところでしたから、素晴らしい対応でしたね」
俺の言葉を聞くと『パアッ』と明るい表情になり、俺達が用意した椅子に腰を掛けて焚き火に当たりながら『クンクン』と匂いを嗅ぐ。貴族令嬢では味わえないハンターの作る料理が気になったようなので、直ぐに食事の用意をして楽しい夕食を取りながら護衛初日を終えたのだった。
§ケントとネイトの視点§
ケントはネイトを引っ張りながら場所を移すと、胸ぐらを掴み脅すように注意をする。
「こんな所で揉め事を起こすな!警戒されるて計画に支障が出るだろうが!」
「すまねぇ、だけどよぉ、いい女が居るから楽しみたいじゃねぇか。お頭達が合流したらおこぼれを待つだけなんだからよ?」
「手を出した事がバレたら殺されるぞ?」
ケントの一言で、ネイトは『ハッ』と目を見開いたてから諦めた表情になり、力なく返事をする。
「……大人しくするか」
「そういう事だ。森林地帯を抜けるまで大人しくしてろ」
ケントの注意を受けた翌日から、ネイトは急に大人しくなったのだった。
次の野営からは、森林地帯の中で魔物の襲撃に注意を払う事になる。決して油断は出来ないけど、メルローズにも野営に慣れて欲しいので、俺が護衛のリーダーとして判断させてもらった。
「では、野営の準備をしましょう」
「俺達は馬の近くで世話をしながら野営をさせてもらうよ」
「僕達は馬車の入口側で野営をします」
ケントとネイトの御者は馬の近くで、俺達は襲撃に備えて、メルローズが直ぐに馬車内へ避難できる位置で野営をする事にした。
「俺達は別々の野営なのか?俺もそっちへ混ぜてくれよ」
ネイトが俺達の野営に加わりたいと言い出すが、コスター男爵家お抱えの御者なら一緒に野営をするが、別々に依頼を受けてるので依頼料の事もあり、今回は一緒に野営をする事はない。
「別々に依頼を受けているので、仕方がないと思うのですが?」
「一緒に旅をする仲だろ?男と女が居るんだし楽しもうぜ?」
ネイトの下品な言い回しが、馬車内のメルローズの耳にも届いたようで、メイド共に馬車から出てきて怒りの言葉をネイトに向けた。
「そんな不純な考えの者と過ごすのは断固拒否よ!ガレリアへ到着したら協会へ苦情の報告をするから覚悟しなさい!」
「いや、別に不純な考えじゃなくて、旅を一緒にする仲間じゃないですか?仲良くするのは良い事でしょ?」
「下心が丸見えなのよ!下がりなさい」
メルローズの怒声に気づいたケントが、慌てて俺達の元へやって来て、ネイトの頭を強引に押し下げて謝罪する。
「申し訳ありません!直ぐに下がって言い聞かせておきますので、お許しください」
「判ったわ。次はないわよ」
「はい、失礼します。来いっ、馬鹿野郎!」
不満そうなネイトを、強引に引っ張りながら御者の野営場所へ戻って行くと、メルローズは『はぁ~』と大きくため息をついてから俺の方を見た。
「今の対応は間違ってませんよね?」
「はい、正しい対応だったと思います。僕が注意をすると、御者と護衛で揉めるところでしたから、素晴らしい対応でしたね」
俺の言葉を聞くと『パアッ』と明るい表情になり、俺達が用意した椅子に腰を掛けて焚き火に当たりながら『クンクン』と匂いを嗅ぐ。貴族令嬢では味わえないハンターの作る料理が気になったようなので、直ぐに食事の用意をして楽しい夕食を取りながら護衛初日を終えたのだった。
§ケントとネイトの視点§
ケントはネイトを引っ張りながら場所を移すと、胸ぐらを掴み脅すように注意をする。
「こんな所で揉め事を起こすな!警戒されるて計画に支障が出るだろうが!」
「すまねぇ、だけどよぉ、いい女が居るから楽しみたいじゃねぇか。お頭達が合流したらおこぼれを待つだけなんだからよ?」
「手を出した事がバレたら殺されるぞ?」
ケントの一言で、ネイトは『ハッ』と目を見開いたてから諦めた表情になり、力なく返事をする。
「……大人しくするか」
「そういう事だ。森林地帯を抜けるまで大人しくしてろ」
ケントの注意を受けた翌日から、ネイトは急に大人しくなったのだった。
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