上 下
177 / 331
第三章 未知なる世界へ

第127話 ヤンカー領へ

しおりを挟む
 灯りの魔導具が完成した後にアパートへ戻ってから、夕食を食べながら錬金術の修行を終えた事を、ハリエットとパミュルに伝える。

「今日、この灯りの魔導具が完成したんだよ。魔導具を一から作り上げだ事で、師匠との修行を無事に卒業したからね」
「おめでとう!デルポト市に来た目的を達成したんだね。それでその灯りの魔導具はどういう物なの?」

 俺が出来たばかりの灯りの魔導具を見せると、ハリエットが祝の言葉の後に、俺の作った魔導具の事を聞いてきたので、ハリエットに渡して実際に使ってもらいながら説明をする。

「先ずは、その丸い石を手のひらで包むように持ってみて」
「こうかな?」
「うん、その状態で魔力を流してみて」

 ハリエットが魔力を流すと、灯りの魔導具の先端が『ピカッ』と発光する。俺と師匠で確認済みだけど、改めて動いてるのを見ると嬉しくなる。

「わっ、私の魔力で使えるんだ。小さな魔石をはめ込んで使う魔導具は知ってるけど、これは初めて見たよ。凄い魔導具を作ったんだね」

 ハリエットに褒められて嬉しいけど、俺の魔導具はもうひと工夫してる。それを知った時の反応を知りたいので、魔法鞄マジックバッグから小さな魔石を取り出して、ハリエットへ渡す。

「この魔石を、後ろのフタを外してから入れてから、さっきの丸い石を親指で触れてみて。魔力は流さないで良いからね」
「うん」

 ハリエットは、俺の言う通りにフタを外して魔石を入れた後に、親指で丸い石に触れてみると、さっきと同じように『ピカッ』と発光した。

「えっ、これって私の魔力と、魔石の魔力の両方で使える魔導具なの?」

 かなり驚いた顔をしながら話すので、俺は少し自慢げに頷いてから答えた。

「うん、魔石の魔力を人の魔力へ変換する術式を思い付いたから、両方で使える魔導具にしたんだよ。あの師匠が目を丸くして驚いてたよ。武器には魔力を通して使う物があるから応用しただけなんだけどね。そんな訳でここでの目的は達成したから、次の目的地を目指そうと思ってるだよ」
「もう行く場所は決めてるの?」

 俺が次の目的地の事を口にすると、ハリエットはどこへ行くのかを聞いてきたけど、パミュルは真剣な眼差しを向けて話し掛けてきた。

「ウォードなら、ここに残れば錬金術師として大成すると思うの。本当にハンターとして世界中を旅して周りたいのよね?」
「確かに錬金術師としての活動も魅力的だけど、僕の本質はハンターだからね。世界中を旅して色々な所を巡ってみたいんだよ」
「そう、それなら私から言う事はないわ」

 俺には〚錬金術師〛の天賦がある事を考えれば、パミュルが言ったように、残る事が最も良い選択かも知れない。だけど俺の心は世界中を旅をしたいと言ってるし、俺自身も同じ気持ちだ。

「これから目指すのはヤンカー領だよ。途中は寄れる街があれば少し滞在する感じで、補給をしながら行こうかと思ってるんだよ」
「うん、私はそれで良いよ」
「ウォードの行く所が私の行く所よ」

 ハリエットとパミュルも同意してくれたので、灯りの魔導具の製造と販売の事か調整でき次第出発する事にした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブだった私、今日からヒロインです!

まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。 このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。 そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。 だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン…… モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして? ※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。 ※印はR部分になります。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

私を侮辱するだけの婚約者はもういりません!

杉本凪咲
恋愛
聖女に選ばれた男爵令嬢の私。 しかし一向に力は目覚めず、婚約者の王子にも侮辱される日々を送っていた。 やがて王子は私の素性を疑いはじめ……

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥ 財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。 ”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。 財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。 財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!! 青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!! 関連物語 『お嬢様は“いけないコト”がしたい』 『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中 『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位 『好き好き大好きの嘘』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位 『約束したでしょ?忘れちゃった?』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位 ※表紙イラスト Bu-cha作

処理中です...