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第三章 未知なる世界へ

第124話 役目を終えたダンジョン

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 俺達が初心者Newbieエリアへ戻ると扉が消えた。そのまま移動を続けて鬼の棲家の外へ出ると、入口はハンターで溢れかえっていた。朝方なら人が多いけど、それにしても多過ぎる。ハンター協会の出張所へ入ってみると、中も騒々しくたくさんの声が飛び交っていた。

(いったい、何があったんだろう?)

 俺はサーシャを見つけて声を掛ける。出張所内はずっとこんな感じだったのか、彼女はとても疲れた表情をしていた。

「サーシャさん、ウォードです。精算をお願いしたいのですが!」
「あっ、ウォードさん!鬼の棲家から戻られたんですね。別室へ案内するのでこちらへ!」
「はい」

 俺に気付いた後は、表情を一変させて笑顔で別室へ案内してくれた。部屋へ入って扉を閉めると、騒々しさから解放されて一息つく。

「「ふぅ~」」
「「あっ、あははっ」」

 同時にため息が出た事に気付いて、顔を見合わせて笑い合った後は席に着くと、俺は騒ぎが気になったのでサーシャに聞いてみた。

「鬼の棲家の入口や出張所内が騒がしいけど、何があったんですか?」
「鬼の棲家へ入れなくなってんですよ!ウォードさん達のように外へは出れるのですが、出てしまうと入る事が出来ません」

 サーシャの言葉を聞いて、俺達が絆の太刀の所有者になった事で、鬼の棲家はその役目を終えて、ハンターの全てが外に出れば、鬼の棲家は消滅するんだと思った。

(これは説明すると厄介事になるな……)

 俺がパミュルに顔を向けると、首を横に振ったので魔人の事は伝えない事にした。

「それは大変な事になりましたね。ハンターにとっては死活問題だから騒いでいたんですね」
「私達も死活問題ですよ……鬼の棲家がこのままだと私も職を失いますかね」

 鬼の棲家が消えてしまえば、ハンターだけではなくサーシャさん達まで仕事が無くなるのか……

 今更だけど、鬼の棲家には戻れないから、俺にはどうする事も出来ない。しかしダンジョンって消える事なんてあるのかな?

「これまでにも、ダンジョンへ入れなくなったり、消えたりした事ってあるんですか?」
「はい、過去に何例かあったみたいです。その時もかなり騒動になったみたいです」
「ダンジョンには、なにかしらの役目があって、役目を終えると入れなくなって、いずれ消滅するのかも知れませんね」
「そうなると、ウォードさんは違う街へ移られるのですか?」

 サーシャは俺達の今後を聞いてきた。確かに鬼の棲家へ入れなくなれば、ハンターの俺達は仕事を求めて違う街へ行くと思うよね。

「僕は錬金術を少しだけ学んでるので、移るにしても暫く先の事かな?サーシャさんは別の街のハンター協会へ移るんですか?」
「協会職員は現地採用なので、職場の人事異動は幹部だけですから、私は一から職を探す事になりますね」
「そうですか。大変な事になりましたね」
「えぇ、それと精算なのですが、もう少し落ち着いてからでも良いでしょうか?」
「構いませんよ。日を改めますね」

 今の状況を見れば精算が出来ない事は判ったので、日を改める事にした。
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