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第三章 未知なる世界へ

第119話 鬼の試練

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 心の石を手にして天賦〚心眼〛を手に入れて、俺の天賦はトリプルになった。誰からも役に立たないハズレ天賦のシングルと、馬鹿にされていたのに今やトリプルなんて、本当に数奇なものだ。

(相変わらず戦闘には不向きだけど……)

 小部屋での休養も十分に取ったので、迷路メイズエリアに残った最後の部屋へと向かう事にした。試練の間をクリアしても、今回は先へは進まずにそのまま戻る。先へ進むには完全にリフレッシュした状態で挑みたいからね。

「そろそろ試練の間へ向かうよ。今回は試練の間をクリアしたら戻るからね」
「「OK!」」

 試練の間への出発とその後の事を伝えると、装備の最終チェックを終えた2人が答えたので、小部屋を出て移動を始める。

 試練の間へは30分程で到着して、部屋へ入る前に事前に指示を出しておく。これだけ困難を極めたエリアなので、現れるゴブリンもかなり強い個体の可能性があるからね。

「ホブゴブリン以上と複数のゴブリンが居た場合は、1番強いゴブリンは後にして、弱いゴブリンから倒して数的不利を消すからね。状況は判らないけど、右をハリエット左をパミュルが担当で、僕は状況を見てどちらかに向かうよ」
「「OK!」」
「じゃあ、部屋へ入ろう!」

 3人で軽くグータッチをした後に、俺は扉を開けて部屋の中へと足を踏み入れた。

 部屋は今までのものと違って、岩場になっていて足下が悪く動き辛い。部屋のというか周りの景色を見渡してると、左右の2カ所で薄っすらと光った後にゴブリンが現れた。

「左右に現れたね。作戦通りに……って、あの大きなゴブリンはなんだ?」

 思わずそう言ってしまう程の、大きなゴブリンが左側に現れた。よく見てみるとそれはゴブリンではなかった……

(嘘だろ……大鬼オーガなのか?)

「左側から現れたのはゴブリンじゃない、あれは大鬼オーガだ。先に右側のゴブリン達を倒してから相手するよ」
「判ったけど、放って置いたら襲ってくるよ?」

 俺の指示の後に、ハリエットが最もな事を言ってきた。放置してれば襲ってくるので、2人がゴブリンを片付けるまでは、俺が時間を稼ぐ事にする。普通に戦えば瞬殺されるかも知れないけど、時間を稼ぐだけなら出来ると思った。

「回避に専念して戦えば時間は稼げるから、2人はゴブリンを始末して欲しい。悩んでる暇ないよ直ぐに行動に移って!」
「ウォードッ!」
「ハリエット!言われた通りにするのよ」

 そう伝えた後、俺が大鬼オーガに向かって行くと、ハリエットが俺の名前を叫んだけど振り返らずに進んで行く。パミュルがハリエットに声を掛けてゴブリン達へ向かう。

(頼むよ。2人を信じて耐え切るからね……)


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