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第三章 未知なる世界へ

第109話 眠れぬ夜

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 俺に〚錬金術師〛の天賦があると言われて、驚いて寝付きが悪かった。

 〚幸運〛の天賦のみでそれ以外は無能と呼ばれていたからだ。アストン師匠に錬金術を少し教わっただけで〚錬金術師〛の天賦が身に付くのだろうか?そんな事を考えていると、パミュルが俺に抱き着いてきた。

「天賦の事が気になって寝れない?」
「うん、天賦はスキル確認の儀式で潜在的に眠ってる才能を明らかにするよね。僕には〚幸運〛しかなかったからさ、今になって〚錬金術師〛があると言われても信じ難いよ」
「理屈は判らないけど、奇跡の石のように潜在的にない天賦を身に付ける事が可能なら、他の要素で天賦が身に付く事もあると思うわよ?」
「うん」

 確かにハリエットは奇跡の石を使った事で〚土魔法〛を身に付けた。潜在的に存在しなくても、何かの要素で天賦が身に付く事も考えられる。

「今は深く考えずに休みなさい。ダンジョンから戻ったら協会で確認すれば天賦がある事が判るし、そういう例があるのか聞けるわよ。今は休んでハンターの仕事に集中するのよ」
「そうだね、ありがとう。気が楽になったよ」

 俺はパミュルに礼を行った後に感謝の気持ちを込めてキスをした。

「ウォードの気休めになって良かったわ」

 そう言った後は、もう1度キスをしてからテントの外へ出て見張りをしてくれた。

(パミュルありがとう、愛してるよ)

 パミュルのおかげて、あの後は悩む事なく眠りにつけたので、翌朝の目覚めは『スッキリ』していた。

 朝食を済ませて普通スタンダードエリアのマッピングをする為に、試練の間へ入る前に指示を出しておいた。

「流石にホブゴブリンの複数はないと思うけど、ホブゴブリンとハイゴブリンの場合は、僕がハイゴブリンを引き付けるから、パミュルの魔法とハリエットの特製の矢で、ホブゴブリンを仕留めて欲しい」
「判ったけど無理はしないでね?」

 ハリエットは少し不安そうだったけど、引き付けて時間を稼ぐ程度なら危険はない筈だ。

「大丈夫だよ。ハイゴブリンの動きは理解してるからね。2人がホブゴブリンを仕留めるまでの時間は凌げるよ!」

 そう伝えてから、俺達は試練の間へ入る。

 薄っすら光るとハイゴブリン単体で現れると、俺の指示を待たずにパミュルが風魔法を足下へ放った。

『バシュ!』
「グギャッ!」

 風刃により両足を切断されたハイゴブリンは、叫び声をあげながら倒れた。俺は直ぐに近寄って倒れたハイゴブリンの首を刎ねらと、魔石とアイテムを残して消滅した。

「お疲れ様、単体だと僕の指示は不要だね」
「3体以上じゃなければ私が強い方の足止めで、弱い方はハリエットが仕留める感じだもの」

 パミュルが答えると、相槌をうちながらハリエットも答える。

「私達はウォードの考えを理解してるから、指示が必要な時は無駄に動かないから安心してね」
「うん、頼りにしてるね。さぁ、先を急ごう」
「「OK!」」

 試練の間を後にして、普通スタンダードエリアの|魔法地図を埋める為にマッピングを続けた。
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