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第三章 未知なる世界へ

第105話 少し傲慢かな?

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 ヴァルカンを打ち負かしてから、新エリアをマッピングしながら進み始める。

 ハリエットとパミュルが嬉しそうな表情で、俺の両隣に並んで歩いていると、パミュルが俺の腕を掴みながら明るい声色で話しかけてきた。

「『大切な2人』って言ってた時の顔は、子供じゃなくて男の顔になってて素敵だったわ」
「そう?でも内心は『ドキドキ』してたんだよね。僕が打ちのめされて、2人を奪われたらどうしようって思ってたんだ」

 鼻を軽くこすりながら心の内を明かすと、パミュルは優しく微笑みながら答えた。

「それでも私達の為に立ち向かった事が凄く嬉しかったのよ。ウォード愛してるわ」

 言葉の後に頬にキスをされると、ヴァルカンに向かって行った時とは違うドキドキ感で鼓動が早くなった。隣にいたハリエットは、少し頬を膨らませながらパミュルに声を掛ける。

「同じ事を思ってたのに、パミュルが先に言っちゃうんだもんズルイ!」
「先手必勝な場面だったのよ。恋愛の駆け引きは私の方が上ね!」
「む~、次は負けないもん!」
「ははっ、ここはダンジョン内だからね?そろそろ気持ちを切り替えようか」
「「ごめん」」

 ダンジョン内を進んでいるのに少し気が緩んでいたので、気を引き締め直してエリアを進んで行った。

 エリアを進むと初心者Newbieエリアよりもゴブリンは現れるけど、単体が殆どで稀に2体が現れる程度で楽に進む事が出来た。
 
 鬼の棲家を進むだけなら正規ルートは簡単なので、いつの間にか難しいもう1つのルートの存在を、忘れ去られたのかも知れないと思った。

 食事を取ったところで、今日のマッピングを終了してアパートへ戻る事にした。俺達はハンターとして成長してるようで、この程度のエリアだと物足りなく感じてしまう。明日からは予定通り新エリアを攻略する事にする。

 そこで、初心者Newbieエリアから2つのエリアに分かれるので、それぞれのエリアに名前を付ける事にした。
 
「今日はこのままアパートへ帰ろうか。あと正規ルートから進むこのエリアを初級ビギナーエリア、僕達が見つけたエリアを普通スタンダードエリアって呼ぶことにするね」
「OK!」
「確かにこのエリアは簡単だから初級ビギナーって感じだよね。明日からは普通スタンダードを攻略するんだよね?」

 俺の言葉に2人が同意した後に、ハリエットが明日の事を聞いてきたので、その通りだと返事をした。

「少し傲慢かも知れないけど、初級ビギナーは物足りないんだよね。人があまり進んでないエリアをマッピングする方が、需要もあると思うし普通スタンダードを攻略したいね」
「じゃあ、早く戻って明日に備えないとね。今日はウォードに甘えたい気分だから、そのつもりでいてね」
「あっ、うん」

 パミュルがイタズラな微笑みをしながら話して、最後には軽くウインクしてきた。凄く綺麗な顔をしながら時折見せるその表情は心臓に悪い。ハリエットも『私も甘えるよ~』と抱き着いてきた。

 実際にアパートへ戻ると、3人で甘い時間を過ごしてハンター活動の疲れを忘れる事が出来た。

 

 

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