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第三章 未知なる世界へ

第104話 ウォード舐められる

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 試練の間の試練が想像以上に簡単だったので、少し呆気にとられたけど、ドロップを回収してから次のエリアへ進んだ。

 俺達より先に試練の間をクリアしたパーティーが、エリア進む為の準備をしていた。そして直ぐに俺達が出てきた事に驚いたみたいで、リーダーっぽい男が話し掛けてきた。

「おっ、俺達の後ろに居たよな。もう試練の間をクリアしたのかよ?お付きの姉ちゃんは相当な手練れなんだな?俺はヴァルカンだ小僧の子守が終わったら仲良くしないか?」

 いきなり失礼な事を言ってくる男に、2人は嫌悪感を露にしていた。俺も『イラッ』としたのでハッキリとした態度で断りをいれる。

「今は子守をしてもらってますが、必ず一人前の男になって2人を守るつもりです。それに試練の間は僕が1人でクリアしましたよ」
「はっ?小僧がイキがるなよ。ここでお前をぶん殴って姉ちゃんを奪っても良いんだぞ?」

 ヴァルカンは腰の剣を抜いて脅してきた。パーティーメンバーさんは『ヤレヤレ』という感じで暴走を止めようとしなかった。この人達はいつもこんな事をしてるのか、ハンターとして風上にも置けないと思った。

「ヴァルカン、やり過ぎて殺すなよ?」
「姉ちゃん2人が俺の物になるなら穏便に済ませてやっても良いんだぞ?」

 ヴァルカンは剣を持ったまま俺に近づいてくる。パミュルが前に出ようとしたので、俺は手で静止して魔法鞄マジックバッグから木剣を取り出して構える。

「僕は暴力的な解決は好きじゃないんだけど、大切な2人に不躾な物言いは許せない」
「おいおい、本当に痛い目に合いたいようだな。オラッ!」

 ヴァルカンは余裕の笑みを浮かべながら、剣を振り下ろしてきたけど、思ったほどの剣速でなく簡単に見切る事ができた。俺が軽く躱した事に驚いたようで、『舐めすぎた』と言いながらもう1度剣を振ってきた。どれ程のものかと思ったけど、剣速はさほど上がっていなかったので、軽く躱すと剣を持つ手に木剣で打ち込んだ。

『バチィ』
「ツッ……」

 痛みに耐えきれずにヴァルカンは剣を落としたので、俺は木剣を水平に振って腹部に一撃を入れると、両手で腹部を抑えながらヴァルカンは両膝から崩れ落ちた。

(なんだ、コイツ弱すぎないか?)

「ゲボォ、参った……オレが悪かった」
「あなた達はどうなんですか?」

 ヴァルカンは吐きながら降参したようなので、後ろに居たパーティーメンバーに向かって、戦う意志があるのかを確認したが、3人とも手を上げて戦意がない事を示した。

「ないない!ヴァルカンに勝てない俺達じゃあんたに勝てない。許してくれ!」
「そうですか。今回は僕だからこの程度で済んだけど、次は2人を止めませんからね?当然だけど僕より強いので命の保証はしませんからね」
「悪かった!勘弁してくれ~」

 その後は言葉も掛けずに、俺達はその場を立ち去ってエリアを進んで行った。

(俺も少しは強くなってたんだな~)
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