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第三章 未知なる世界へ

第96話 流体金属

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 試練の間での戦闘は圧勝に終わり、魔石とハイゴブリンからドロップしたアイテムを拾う。

「これは何だろうね?『プヨプヨ』して触り心地は良いんだけどね」

 俺は拳ほどの大きさの物を眺めながら、2人に話しかけた。

「なんだろうね?」
「全く判らないわね」

 ハリエットは首をかしげて、パミュルも人型に戻って触ってみたけど判らなかったので、俺は鑑定メガネを取り出して謎の物体を鑑定してみた。

【メタリカ】特殊な流体金属で非常に柔軟な金属だが、決して貫かれる事のない強度を誇る。質量の範囲内であれば、使用者の思う形状へ変化させる事が可能。

「物凄い物がドロップしたんだね。ウォードの〚幸運〛なら当然の事かな?」

 俺からメタリカの説明を聞いたハリエットは、凄いと言ったけど驚く事はなかった。パミュルは形状変化に興味があるみたいで、メタリカの形状変化を見たいと言ってきた。

「変化できる者としては、どんな感じに変化するのが見せて欲しいわ」
「OK!〚篭手ガントレット〛!」

 一瞬で左手にメタリカが形状変化して篭手になった。鑑定通りに貫かれる事のない強度なのかを確かめる為に、短剣を上に投げて落ちてくる短剣を篭手で受け止めてみた。

『カキィン!』
「問題なく弾けたね」

 少しの衝撃は感じたけど、全く傷つく事なく短剣を弾いた。もう少しメタリカの強度を確認したかったので、ハリエットに矢を射ってもらう事にした。流石に特性の矢で試す勇気はないので、通常の矢を射ってもらう事にした。

「ハリエット、篭手に向かって通常の矢を射ってみて欲しい」
「良いけどさ、本当に大丈夫なのか心配だよ」
「多分?大丈夫だと思うからお願いね」

 鑑定結果の通りなら問題ない筈なので、左手を上げて狙いやすくする。ハリエットは不安な表情のまま通常の矢を手にして射ってくれた。

「痛かったらごめん!」
『シュッ!』『キンッ!』

 短剣の時よりもさらに強い衝撃を感じたけど!メタリカを貫通する事も傷が付く事もなかった。

「衝撃はあるけど全然問題ないね」
「触ると柔らかいのに本当に不思議ね」

 俺が問題ない事を伝えると、パミュルはメタリカの特殊な性能に驚いていた。俺の見立てでは瞬間的な衝撃に非常に強いんだと思う。

「ねぇ、これは誰が……」
「「ウォードが持つべきよ!」」

 俺が言葉を言い終わる前に何を言うのか判ったみたいで、言葉を遮られて俺が持つべきだと言われてしまったので、ありがたく使わせてもらう。

「ありがたく使わせてもらうね!さぁ、次のエリアへ進んでみようか」
「「OK!楽しみだね」」

 俺達は初心者Newbieエリアから次のエリアへと移動した。次はどんなエリアなのかな?
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