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第二章 幸運の始まり

第41話 旅立つ時

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 ハリエットさんを加えて話を再開して、とりあえずミリムと話し合ってた内容を伝えた。

「ヤンカー領か、かなり遠い所よね?」
「馬車を乗り継いで1ヵ月は掛かるみたいみたいです。僕としては色々な街に立寄りたいので、もっと時間が掛かるかな?」

 ハリエットさんがヤンカーがかなり遠いと言ったので、前に所長から聞いた事を伝えると、次はミリムが質問してきた。

「ウォードはヤンカー領に着いたらどうするの?そこで生活をするの?」
「全く決めてないよ。ヤンカー領へは行きたいけど、世界中を旅するのが本当の目的だからね。いずれは家族を持てば永住する場所が決まるかもしれないよ」

 当然、家族が出来れば旅をせずに安住の地で、幸せに暮らす事が最優先になるから、その事は伝えておいた。

「私とウォードの子供か♪」
「ちょっ……ミリムとはまだ結婚すらしてないのに話が飛びすぎてないか(苦笑)」
「私はウォード以外に好きになる事はないから、絶対に結婚するんだもん。ウォードは嫌なの?」
「嫌な訳ないよ!大好きだけど僕は自分に自信が無いからいつも不安なんだよ……居なくなるんじゃないかってね(汗)」
「そんな事は絶対にないから安心してね。ウォード大好きだよ♪」
「あのね……勝手に2人の世界に入らないでね」

 ハリエットさんが『む~』とした表情で俺とミリムの会話を断ち切った。それと同時に俺はハリエットさんは俺達と旅をするって事は、今の仕事を辞めないといけないんだけど、その辺りはどうするんだろう?そう思ったので聞いてみる。

「そう言えば、ハリエットさんは仕事はどうするんですか?」
「協会の受付は辞めて、私もハンターになるわよ。3人パーティーでの戦術よろしくね♪」

 仕事は辞めるらしい……勿体ない気もするんだけど本人の意志を尊重する。

「それで、出発はいつにするの?」
「旅に必要なアイテムを揃えるのと、資金も必要になる。それと旅のルートも決める必要もあるから来月かな?」
「「OK!」」

 こんなに簡単に旅へ出る事を決めても良いのかとも思ったけど、トントン拍子に話が進むのも〚幸運〛を効果だと信じて突き進む事にした。

 そして1ヵ月が経ち、俺達はヤンカー領を目指して旅立つ日がきた。

 旅のルートは東側を通って北にあるヤンカー領を目指す事にした。東側を選んだ理由は隣接する【ランダム王国】へ俺達の国【ラグーン王国】の姫が嫁いで、有効な関係にあるからね。西側の【クルーズ共和国】とは常な小競り合いがあるので危険と判断したんだ。

 次に旅の必須アイテムで、容量の大きい魔法鞄マジックバッグ魔法地図マジックマップを手に入れたというか、俺が〚錬成術〛で劣化版だけど作った。天賦スキル〚錬金術〛は無理だけど、必死に本で学んで一般スキル〚錬成術〛を身につけたからね。

 旅の準備は整ったので、3人で馬車乗り場へと向かう。知らない場所へ旅に出る事で、俺の胸は高鳴っていた。それに気づいたミリムが笑顔で話し掛けてくる。

「ウォード、『ワクワク』してるんだね♪」
「ミリムは何でも判るんだね♪」
「当たり前でしょ!妻に成るんだから、旦那様の事は何でも判るもん(笑)」
「ありがとう♪大好きだよ♪」
「あのね……2人の世界を作らない!」
「「ごめん……」」

 馬車乗り場に到着すると、俺達の最初の目的となる【タレビサ町】行の馬車が停まっていたので乗車した。暫くすると馬車が出発して、俺達はヤンカー領へ向かっての旅が始まった。

 何も持たないと俺は〚幸運〛に導かれて、2人の仲間を得て旅立つ事になった。これが俺の〚幸運〛の始まりとなり、この先も〚幸運〛に導かれ俺の人生が動いていく事になる。

➖・➖・➖第二章 完➖・➖・➖


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