上 下
38 / 331
第二章 幸運の始まり

第29話 メンディの焦り

しおりを挟む
 ミリムと一緒にハンター活動を始めてから3カ月が経過した。

 ミリムの訓練も順調で〚水魔法〛はメキメキと腕を上げて〘水弾ウォーターバレット〙〘水刃ウォーターカッター〙を新たに使えるようになった。〚棒術〛を訓練もしっかりしたので〚棒術師〛となり今の俺では練習相手にならなくなった。

 そろそろ、ミリムは俺の下から飛びたって行くのだと思ってる。

 孤児院もレモンの木が大きくなってきて、花が咲いてこの調子なら10個ほど収穫出来そうだし、薬草も順調に栽培が進んでるのでもう少ししたら薬が作れそうだ。

 メインとなる料理だけど、流石は〚厨師〛の天賦だけあって孤児院前で売れば毎回売り切れる繁盛振りで、孤児院の運営は徐々に安定してきたみたいで一安心。

 孤児院への支援活動はそろそろ終わりが近付いてると思ってるんだけど……問題が一つ残っているんだよな(汗)

 ミリムから、メンディが孤児院内で孤立してると聞いたからだ。他の子供達はリンスさんの手伝いで忙しいので、メンディに声を掛けても手伝わないので徐々に孤立していったらしい。
 俺は孤児院から帰る時にメンディが気になったので、何をしてるのか後をつけてみると、村の離れで棒を剣に見立てて必死に撃ち込んでいた。
 俺の言う事なんて聞かないと判っていながらも声を掛ける。

「こんな所で撃ち込むなんて偉いね。棒だとバランスが悪いからこれを使いなよ!」

 そう言って、俺が持ち歩いてる木剣をメンディに渡そうとすると、手で木剣を払い落として俺を睨みながら口を開いた。

「うるせぇ!お前は関係ないんだよ!」
「そうか……その木剣は買い替えるつもりだったからそのまま置いとくよ。じゃあね!」

 俺は木剣をその場に置いて家へと戻った。
 なかなかメンディと冷静に話す機会が作れないな……

 ➖・➖・メンディの想い・➖・➖
 あいつは俺をイライラさせる。

 偽善だと思っていたのに、本当に孤児院の為に色々と行動をしやがる……悪いのは俺だと判ってるけど、今更どんな顔をすれば良いんだよ。

 今も親切に木剣を渡してくれた……あいつは良い奴なんだと思うが、俺にもプライドがある。この木剣があれば、俺には〚剣術〛があるから魔物なんて簡単に倒せる筈だ。

 明日、ハンターになって魔物討伐へ行こう。俺が魔物を倒して金を稼げば、俺も孤児院に役立つとみんなも思う筈だ。そうなれば昔みたいに戻れるんだ……

 メンディは地面に落ちてる木剣を拾って、無心に撃ち込みを始めた。魔物を討伐して自分の存在感を孤児院のみんなに示す為に、この事が思わぬ事件を起こす事になるとも知らずに……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブだった私、今日からヒロインです!

まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。 このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。 そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。 だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン…… モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして? ※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。 ※印はR部分になります。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

私を侮辱するだけの婚約者はもういりません!

杉本凪咲
恋愛
聖女に選ばれた男爵令嬢の私。 しかし一向に力は目覚めず、婚約者の王子にも侮辱される日々を送っていた。 やがて王子は私の素性を疑いはじめ……

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥ 財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。 ”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。 財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。 財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!! 青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!! 関連物語 『お嬢様は“いけないコト”がしたい』 『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中 『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位 『好き好き大好きの嘘』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位 『約束したでしょ?忘れちゃった?』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位 ※表紙イラスト Bu-cha作

処理中です...