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第二章 幸運の始まり

第23話 微妙な雰囲気

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 楽しい休憩を終えてから、次の採集ポイントへ向かう前に罠を確認しに行くと、野鼠が3匹も掛かっていたので、手早く血抜きをし葉っぱに包んで腰袋へ入れておいた。同じ場所ヘ罠を仕掛け直してるとミリムが話し掛けてきた。

「野鼠を捕まえたの?」
「そうだよ。色んな所へ罠を仕掛けてるから、運が良ければ鼠が兎が掛かる事があるんだよ。今日は運が良いから3匹も取れたね。ミリムは幸運の女神様かもね(笑)」
「えへへ~」

 女神様と言われて嬉しかったのか?ミリムは少し頬を赤くして嬉しそうに微笑んだ。
 罠を仕掛け終わったので、次の採集ポイントへ移動してから採取を始める。ここで取れる薬草は根が強いので、孤児院へ持って帰って栽培してみる事にする。
 ミリムは物覚えが早く、テキパキと採取作業を行って行くので十分な戦力になってるんだ。採集ポイントがたくさんあれば、2人でやって行けそうな気がした。

 必要な量の採取が出来たので、少し早いけど今日の作業を終えて村へ戻る事にした。

「ミリム、お疲れ様。必要な素材が集まったから村へ戻るよ」
「もっといっぱい取れるよ?」
「取り過ぎると素材が無くなるから、必ず残して増えた頃にまた取りに来るんだよ」
「そうなんだね。取り過ぎるとダメね!」
「うん、戻る途中に罠を確認するから、獲物が掛かってるかもね!」
「私が居るから?」
「うん、幸運の女神ミリムだからね(笑)」

 笑いながら採集ポイントを後にして、罠を仕掛けた場所へ寄って確認すると、予想外の大物が掛かっていた。極楽鳥という鳥でその綺麗な羽は高値で取引されるんだ。まだ生きてるのでミリムに手伝ってもらう事にした。

「ミリム、鳥の前へ行って前に意識を集中させてくれるかな?僕がその隙をついて仕留めるから」
「判った!前に行けば良いんだね?」

 指示をした後、ミリムは極楽鳥の前に行って前に集中させる。俺はゆっくりと背後から近付いて手にした短剣で極楽鳥の首を刎ねた。

「クェッ……」
「よしっ!ミリムご苦労さま♪」
「は~い♪」

 まさかの極楽鳥まで捕まえれるとは……ミリムは本当に幸運の女神なのかも知れ無い、と思ってしまう程に今日の罠は凄かった。

「さぁ、する事は全部終わったから村へ戻ってハンター協会へ行くよ」
「ねぇ、私もハンター登録出来るかな?」
「うん、出来る筈だよ。僕が登録出来たんだから誰でも登録出来るよ(笑)」
「私もハンターになる♪」

 今日1日の経験でミリムはハンターになると言ったけど、悪い事ではないと思う。身分証も手に入るし有能な天賦を持ってるから、俺と違って直ぐに魔物も討伐できるハンターになれるかも知れなからね。

 村に戻ってハンター協会の会館へと入って行くと、受付からハリエットさんが俺に声を掛けてくれたので、手を振って受付へ向かう。

「ウォード君、お疲れ様♪隣に居るのがお弟子さんかな?」

 あれ?ミリムが少し険しい顔をしてる。

「お兄ちゃん、この人は誰?」
「私の事かな?私はウォード君と家をシェアしてるハリエットよ♪」
「シェアってなに?」
「簡単に言うと同じ家に暮らしてるって事になるのかな?」

 その言葉を聞くと更に表情が険しくなる。

「お兄ちゃんのお嫁さんになるの?」

 突拍子もない言葉に俺もハリエットさんも目を丸くした。

「えっと……そういう関係じゃ無いのよ?ウォード君が一人前のハンターになるまでの期間限定だからね?」

 ハリエットさんの『そういう関係じゃ無い』って言葉を聞いてから、ミリムの表情が穏やかになった……いったい何があったんだ?
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