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第六章 国造り編

第65話 エルフのプライド

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 ちょっとしたトラブルがあったけど、長老達のもとへ移動しながら周囲を見渡すと、満足な食事を取れてないのか、顔色が悪いように感じた。私は食料を提供しようと思い、案内をする男に声をかけた。

「ちょっと待ってくれるかな?私達の菜園で取れた食料を持ってきてるから、住民の方に食べてもらいたいの」

 私の言葉が聞こえた一部の住民が『ピクッ』と反応したのが判った。男は少し考える素振りを見せてから返事をする。

「長老達が待っているので、手短にしてもらえるなら構わない」
「ありがとう。直ぐに出すから大丈夫」

 男に確認した後に、私は〚無限収納〛から木箱に入ったトマトを出すと、周囲から『おぉ』と控えめだけど歓声聞こえた。

「これは、私の住むファミリアで取れた新鮮なトマトです。とても美味しいのでみなさんで食べてくださいね」
「「ありがとう」」

 住民達が、目の前に置かれたトマトを手にしようとすると、大きな声が発せられて全員の手が止まる。

「待て、勝手なことは謹んでもらおう!」

 声のする方へ顔を向けると、4人のエルフが眉間にシワを寄せながら睨んでいた。おそらくあの4人が長老なんだろうけど、見た目が若々しいのは長命種だからなんだね。

「案内役の方に確認を取ってますよ」
「我々が認めてないんだから、その行為は勝手なことになるんだ。納めて部屋へ来るように」

 その声を聞いた住民は伸ばした手を戻して、元の位置へと戻って行った。誰も手にしないので仕方なく〚無限収納〛へ納めてから長老達の部屋へと向かった。

 部屋へ入ると、4人の長老達は不機嫌な表情で並んで席に着いていた。私達も席に着くとアネロが私達の紹介を始めた。

「リオルド様、こちらの方は、私がお世話になってるファミリア商会の代表ハルカ様です。隣から順にエリカ様、メドサン様となります」
「ハルカです。話し合いの場を頂き感謝します」

 私達の紹介が終わると、リオルドが軽く頷いてから口を開いた。

「リオルドだ。本来なら愚人になど名を教えぬが、アネロが言ってしまったから仕方ない。確か、我々エルフを迎えたいということだな?」

 この人はプライドだけは高いようで、完全に上から目線で話しかけてくる。あまり下手に出ると調子に乗るので、合わせないことにした。

「ヒューマンによる迫害で困っていると聞いたので、私なら安全に住む場所を提供できるので、移住の提案をしに来たんです」
「お前のような者の世話になれと言うのか?」
「今の生活に満足していて、その必要がないのなら断ってください。判断はそちらに任せます」
「舐めるな!我々エルフは神に近い種族だから長命を授かってるんだ。短命で繁殖能力しか取り柄のないヒューマンが何様のつもりだ!」

 私の言葉を聞いたリオルドは『バンッ』と机を叩いて激怒したのだった。
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