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第六章 国造り編

第59話 エリカの恋バナ

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 エリカが心の内を吐いた後に、私と出会うまでのことを話してくれた。

「父に憧れてハンターになって、日々研鑽に励んでBランクハンターにまで登りつめたんだ。トーレス町ではBランクが最高のハンターとなり、町を治める領主と面会する機会が会ったんだ」

 領主と聞いて思い浮かぶのはたった1人だったので、その人物に間違いないかを確認した。

「領主ってフェルナンド伯爵のこと?」
「あぁ、当時のあたいはまだ14だよ。フェルナンドも同い歳の貴族の令息でね。領主は父のバルフェルドだったんだよ」
「あっ、そうか、当時はまだエリザベスで『シワシワ』になる前なんだね」
「ははっ、エリザベス……、懐かしい名前だね」

 私がエリザベスの名前を出すと、笑みを浮かべながら懐かしそうな表情で、過去の名前を口にした。

「じゃあさ、その時に若い頃のフェルナンド伯爵に出会ったの?」
「あぁ、そうだよ。その時に初めてフェルナンドに出会ったんだ。あたいの初恋の人にね」

 少し頬を赤くしながら、フェルナンド伯爵がエリカの初恋の人だったとカミングアウトした。思わぬところでエリカの恋バナを聞いて、私のテンションが上がったので恋の行方を聞いてみた。

「ねぇねぇ、その恋はどうなったの?」
「えっ、これは驚いたね。ハルカは恋愛になんか興味があったのかい?」
「私は恋愛経験がないまま転生したから、どんなものなのか興味があるんだよね~」

 前世の私は恋愛経験が全くなかったし、スライムに転生してからは、不思議なことに異性には全く興味が湧かないの。そんな私には絶対に判らない世界観に、興味を持つのは仕方ないよね。

「だってさ、前世を含めても恋愛経験がないんだもん。ねぇねぇ、聞かせてよ~」

 私が目を『キラキラ』させながらおねだりすると、軽くため息をついた後にフェルナンド伯爵との初恋を語ってくれた。

「まぁ、フェルナンドと挨拶で顔を合わせた時に互いに一目惚れしてね。ああ見えてなかなか良い男だったんだよ」
「おーっ、一目惚れなんだ!いいねいいね、早く続きを教えてよ」
「互いに惹かれ合ってね、時間の都合があえば逢引をしたもんだよ。ただ、2人の気持ちだけではどうにもならないことがあってね……、向こうは貴族であたいは平民だから、許される恋ではなかったのさ」
「貴族でも平民を娶ることはあるよね?」
「今はね、あたいが少女だった頃はね、絶対に認められない時代だったんだよ。あたいはそれを知って身を引いたんだよ……。あたいはフェルナンドへの想いを胸に純血を守り続けたんだ」

 時代がそれを許さず結ばれなかった。エリカはそれ以降もフェルナンド伯爵を愛して、その想いを胸にずっと純血を守り続けたのね。

 私はその後もエリカの昔話を聞きながら一晩をともにしたのだった。
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