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第五章 ファミリア編

第77話 完全移設 終了

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 居住区を作って屋敷を移設した翌日は、アグリと話をしながら菜園を作る事にした。

「先ずは菜園用の土地だけど、アグリが希望する大きさはあるなかな?」
「今は大規模な菜園は出来ないので、同じ大きさの土地をこんな感じにしてもらえますか?」

 アグリは移設の話を聞いてからは、農業関連の本を読んでいたようで、菜園に通す水路の配置などを細かく書き出したメモを渡してくれた。

「凄いね。とても判り易く書けてるね。これならお昼頃には土地の準備が出来ると思うから屋敷で待ってくれるかな?」
「あの、出来ればハルカ様の作業を見たいのですが、残っても良いでしょうか?」
「うん、暇かも知れないけど良いよ」

 私は樹木だらけの森に向かって、両手をかざして〘無限収納〙へ見える範囲の樹木を収納すると、アグリは目の前で起こった事に驚く。

「えっ、手をかざすだけで良いんですか?」
「うん、これは魔法じゃなくて〘無限収納〙ってスキルだから、私の感覚だけで出し入れが出来るんだよ。次の作業からは魔法を使うんだけど、魔法を発動させるのに、実は呪文の詠唱なんて必要ないんだよ。頭の中でイメージする為に言葉に出してるだけだからね。今から水路を作るから見ててね」
「は、はい」

 魔法について簡単に説明したけど、言葉だけじゃ判らないと思うので、実際に見てもらう。
 私はアグリのメモを基に、水路をイメージしながら土魔法で地面を掘っていく。

『ズッ、ザザザァー!』
「わっ、土が勝手に掘られていく!ハルカ様の魔法なんですか?」
「うん、アグリのメモを頭に思い浮かべながら、土魔法を発動させてるんだよ」

 目の前の土地には、メモと同じ線を引くように水路が現れる。人の力で掘れば、どれだけ時間が掛かるか判らない作業が『あっ』という間に出て、川から水を引いたら水路が完成した。

 その様子を見たアグリは、ただただ驚く事しか出来なかったみたい。次はメモの通りに田畑を区切る畦を作っていくけど、簡単に崩れないように強く圧縮しておいた。最後は根が張りやすいように土を細かく粉砕したら、菜園地帯が完成した。

「これで完成かな?作物は明日にでも植え替えれば良いのかな?」
「はい……魔法って凄いんですね」
「そうだね。ちょっと私の場合は特別らしいから、あまり参考にはならないみたい。さぁ、屋敷へ戻ってお昼ご飯を食べるよ」
「はい、見学ありがとうございました」

 屋敷へ戻って昼食を取った後は、ヴェルジュと一緒に果樹園を作りあげてその日を終えた。

 そして翌日、菜園の作物と果樹園の樹木を植え替えた事で、ファミリアの完全移設が終了したの。
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