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第五章 ファミリア編

第57話 現地調査①

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 ヤリテールとの取引を終えて、暫くは物に困る事はなくなった。レアルコンプレト王国の詳しい地図をエリカに渡して、候補地選びに役立ててもらう。

 私はアニエラとトラパーネを連れて、エルピス山脈の北側の現地調査へ向かう。ファミリア移設に必要なのは水源と、菜園と果樹園を配置できる開けた土地が欲しいからね。簡単には見つからないかも知れないけど、諦めずに良い条件の土地を探し続けるつもりなの。

「特に用意する物はないからこのまま行くよ」
「食べ物も要らないの?」
「うん、屋敷へ転移で戻るから要らないよ」
「ハルカさえ居れば、荷物も不要だから楽チンで良いね!」

 転移が出来るようになってからは、ダンジョンへ行く時も荷物は不要になった。食事も休憩も全て屋敷へ転移して戻ってくるから、身体1つあれば問題がなかった。

「じゃあ転移するから掴まってね」
「ハルカ様、よろしくお願いします」
「掴めば良いのね!えいっ」
『むぎゅっ』
「きゃっ、アニー!」

 相変わらず悪ふざけが過ぎるアニエラは、背後から私の胸を鷲掴みしてきた。転移をするには明確なイメージが必要なのに、胸を鷲掴みされた事で気が紛れて、イメージが曖昧になった状態で転移をしてしまった。

『パッ』
「えっ……落ちるぅ~~~!」

 エルピス山脈の北側の麓に転移するつもりが、曖昧なイメージになったせいで、上空へ転移してしまい転移した瞬間にいきなり落下し始めた。

「ヒューーーーッ!」
「ひっ、飛行!」
『フワッ』

 3人とも飛行が出来たから良かったけど、普通に考えたら転落死するところだった。

「アニー、飛べなかったら死んでたよ?」
「あははっ、ごめんごめん、つい出来心で」
「罰として舐め舐め攻撃の刑だからね」
「えっ、3日くらい気絶しちゃう……舐めだけで勘弁してよ」

 私の攻撃に意識を保てるのはルカだけで、他の眷属は確実に感じ過ぎて気絶するの。エリカなんて胸をの先っぽをツンツンするだけで、気絶しちゃうほどに弱いの。

「今回はダメだよ。夜番を1カ月禁止か舐め舐めの刑かどっちかね!」
「う~、舐め舐めの刑で……」
「ふふっ、ウソだよ~!でも転移する時にいたずらは禁止だからね?」
「あぅあぅ、ありがとう~」
「さぁ、手分けして水源を探すよ。見つけたら〚以心伝心〛で伝えてね」
「OK!」
「かしこまりました」

 3人で手分けして、生活に欠かす事の出来ない水源を探す事にしたの。水源を見つけても開けた土地がなければ意味がないので、簡単には見つからないと思うけど、全てはファミリアの為に必ず見つけるだからね!
 
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