上 下
201 / 336
第五章 ファミリア編

第41話 追跡者?

しおりを挟む
 ヤリテールとの取引を終えてから、インビエルノ王国から調査団が来ていると聞いたので、フェルナンド伯爵へは向かわずにファミリアへ戻る事にした。

 商会の前までヤリテールが見送ってくれた。

「スプリングさん、良い取引が出来ました。またいらっしゃる時を楽しみにお待ちしてます」
「こちらこそ感謝してます。では失礼します」

 挨拶を済ませてからは徒歩でトーレス町を出て、人目のつかない場所まで移動してから転移でファミリアへ戻ろうと思った。

 門を目指して歩いてるいると、並列思考セレブロから後を付ける者がいると教えてくれた。

『ハルカ、ヤリテール商会を出てからずっと、2人の男が一定の距離を保ちながら後を付けてる。インビエルノ王国の調査団かも知れないよ』
『まぁ、私達が暮らしてた家だったから、ヤリテールが関与してると疑うよね。処分すると面倒な事になりそうだね』

 対処方法を考える時間が欲しいので、私は屋台で食べ物を買ってから、見晴らしの良い公園へ向かってベンチにかけて食べ始める。
 私を付けていた2人も公園内に入ってきて、相変わらず一定の距離を保っていた。ただ、この時点で王国の調査団の者ではないとハッキリと判った。プロの追跡者ならここで公園に入るような事はしないからね。感知の範囲外ギリギリで付けるにしても、人気のない見晴らしの良い公園では感知の範囲外でも姿を視認出来る。

 おそらく、私がヤリテール商会で取引をして、金目の物を持っていると思った物取りの2人組っぽい、それなら特に警戒をする必要はないので、食べ終えると何事もないように門を通ってトーレス町の外へと出た。

 街道を進んで周りの人気が完全になくなると、2人の男が予想通りに近寄って来る。

「おい、命が惜しければ金目の物を全て出せ!」
「えっ、渡しても命を奪うつもりなんでしょ?ウソを付くのは良くないと思うよ?」
「なっ、なにを!」

 テンプレのセリフを言った男に向かって言い返すと、図星だったのか顔を真っ赤にして、手に持っていたナイフで切り掛かろうとする。

「大人しく取られるつもりはないの。私を襲った事を後悔しながらあの世へ逝ってね」

 私の代わりに並列思考セレブロが魔法を発動した瞬間、男達の体から首が『ポトリ』と地面に落ちて、2人はあの世へ逝った。

「ゴミは燃やした方がいいね〚フレイム〛!」

 2人の遺体を跡形残らず焼却したのを確認してから、ファミリアへと転移して戻ったの。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...