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第四章 スライムヴァンピール編

第65話 消えた専属受付

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 麓のダンジョンでの攻略を断念して、トーレス町へと戻ってから冒険者協会へ顔を出して、ルカさんに報告をする為に建物に入る。
 いつもなら受付にルカさんが居て、建物に入るなり元気な声で挨拶をしてくれるのに、今日は居なかったので休みかと思ったので、他の受付係に聞いてみる事にしたの。

「こんにちは、ルカさんが居ないみたいだけど、今日は休みなのかな?」

 私の言葉を聞いた受付係は、一瞬『はっ』と表情を変えてから平然を取り繕った。ルカさんに何かあった判ったけど、受付係の返事を聞いて様子見する事にした。

「あの……ルカは諸事情で協会を退職しました」
「その諸事情を教えてくれない?専属受付だったからその権利はあるんじゃない?」
「上から止められてるので……申し訳ないです」

 そんな説明で納得出来る訳もなく、エリカが移動し始めたので私とアニエラは後を追い掛ける。『上から止められてる』と行っていたので、上である協会長に直接聞くつもりなんだと思った。エリカはかなり怒ってるみたいで、協会長室のドアを蹴破って中へと入って怒声をあげた。協会長は突然の訪問に驚いた。

「おい!突然なんなんだよ!」
「てめぇ!ルカをどうした?嘘偽りなく話さないと、そのショボい竿を粉々にしてやるよ!」
「ルカ……俺は何もしてない……」
「何があったのか言いな!」
「地方視察に来た中央の幹部だ!ルカを気に入って秘書にすると言って、中央へ連れて行くと言ったんだよ。ルカは断ったが強制的に連れて行ったんだよ!」
「まだ、この町に居るのかい?」
「今日が視察の最終日で、伯爵へ挨拶をしに行ってる筈だ。相手は騎士爵だ俺達に逆らう術はないんだ諦めろ……」
「ソイツの容姿と名前を教えな!」
「ロック.デナシー騎士爵。赤髪で上背は2mで筋骨隆々だから見ればすぐ判る」
「首刎ねロック……面白いね♪」

 ルカさん本人の意志を無視した横暴に、私達は怒りを覚えた。協会長は相手が貴族だから諦めるしかないと言うけど、そんな事で人の自由な生活を侵害する制度下で暮らしたいとは思わない。私は2人の顔を見ると同意見なのか、笑顔で頷いてくれた。

「ルカさんを取り戻しに行こうか!」
「そう言うと思ったよ♪」
「貴族なんてクソ喰らえだ!」

 私達が部屋を後にして伯爵邸へ向かおうとすると、協会長が呼び止める。

「おい、貴族に逆らうと国から追われるぞ!」
「良いんじゃない?こんな制度下で息苦しい生活はしたくないもん(笑)」

 笑顔で軽く返事をしてから、私達はルカさんを取り戻す為に伯爵邸へと向かったの。
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