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夏休み
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夏休みに入る前にようやく菫が学校にでてきた。
六限まで、終わるとすぐに図書館へ直行する。
菫が出てきたのは朝見て知ったのでいつもより図書館へ向かう足取りも軽い。
図書館は逃げないというのに少し小走りしていた。
図書館へ入りいつもの定位置を見る。
そこへ菫がいた。
菫がいるだけでこんなに景色が違って見えるんだな。
物足りなく感じていたその場所はいつもより生き生きして見えた。
成美はそばに寄っていった。
「菫!久しぶり~!会いたかった!!」
久しぶりにあえた嬉しさのあまりだきつく。
むぎゅ~
「あはは。くすぐったいよ。成美。」
「だって。嬉しくて!」
「ごめんね。ちょっと風邪こじらせちゃって。」
「ううん。夏休み前に会えて良かった!」
「そうそう。夏休み。成美と会えなくなるの寂しいから、うちに遊びにこない?」
「いいの?行く行く!」
「うん。家族も成美に会ってみたいって言ってるの!」
「お母さん?」
「うん。父親と母親と。」
「お父さんまで?」
「うん。嫌?」
「嫌じゃないよ。楽しみにしてるね。」
夏休み前に復活できて良かった。
いつもの場所でこうやって一緒にいることも嬉しいけど、夏休み菫の家に招いてもらえるのもとても嬉しかったのだった。
◇ ◇ ◇
夏休み始まってわりとすぐに、成美は菫の家に遊びに行った。
和風建築の立派な家だった。まるで大名屋敷のような風格がある。
こんな立派な家に住んでるんだ。ただただびっくりする成美だった。
玄関入ってすぐにどでかい壺がおいてありその中に花が投げ入れてある。
すごくアートな玄関だった。
「すごっ」
思わず成美が声にだして言うと菫が笑った。
「うちの父親が華道の家元なんだよ。」
「華道?!」
す、住む世界が違うとは思っていたが、まさかここまでとは思っていなかった。
「いらっしゃい。成美ちゃん、菫と仲良くしてありがとう。」
和服姿の両親がでてきた。
「はっはじめまして。さ、斉田成美です。」
「緊張しないで、こちらこそどうぞよろしくお願いします。」
二人はそろって頭をさげる。
「こちらこそ!よろしくお願い致します!」
緊張しっぱなしの成美だったが、過保護の菫の両親は、そんなことは全く気にせず、ことあるごとに成美に、「仲良くしてくれてありがとう。」とその言葉を言った。
家元である父はもう70を過ぎている。
年がいってから生まれた菫をことのほか可愛がっている様子だった。
母親は50くらいだろう。
兄はもう30を越えていて家元修行中らしい。
こんな立派な家に生まれた菫……。
私とは全く違うと思い、ますます菫にひかれる成美だった。
六限まで、終わるとすぐに図書館へ直行する。
菫が出てきたのは朝見て知ったのでいつもより図書館へ向かう足取りも軽い。
図書館は逃げないというのに少し小走りしていた。
図書館へ入りいつもの定位置を見る。
そこへ菫がいた。
菫がいるだけでこんなに景色が違って見えるんだな。
物足りなく感じていたその場所はいつもより生き生きして見えた。
成美はそばに寄っていった。
「菫!久しぶり~!会いたかった!!」
久しぶりにあえた嬉しさのあまりだきつく。
むぎゅ~
「あはは。くすぐったいよ。成美。」
「だって。嬉しくて!」
「ごめんね。ちょっと風邪こじらせちゃって。」
「ううん。夏休み前に会えて良かった!」
「そうそう。夏休み。成美と会えなくなるの寂しいから、うちに遊びにこない?」
「いいの?行く行く!」
「うん。家族も成美に会ってみたいって言ってるの!」
「お母さん?」
「うん。父親と母親と。」
「お父さんまで?」
「うん。嫌?」
「嫌じゃないよ。楽しみにしてるね。」
夏休み前に復活できて良かった。
いつもの場所でこうやって一緒にいることも嬉しいけど、夏休み菫の家に招いてもらえるのもとても嬉しかったのだった。
◇ ◇ ◇
夏休み始まってわりとすぐに、成美は菫の家に遊びに行った。
和風建築の立派な家だった。まるで大名屋敷のような風格がある。
こんな立派な家に住んでるんだ。ただただびっくりする成美だった。
玄関入ってすぐにどでかい壺がおいてありその中に花が投げ入れてある。
すごくアートな玄関だった。
「すごっ」
思わず成美が声にだして言うと菫が笑った。
「うちの父親が華道の家元なんだよ。」
「華道?!」
す、住む世界が違うとは思っていたが、まさかここまでとは思っていなかった。
「いらっしゃい。成美ちゃん、菫と仲良くしてありがとう。」
和服姿の両親がでてきた。
「はっはじめまして。さ、斉田成美です。」
「緊張しないで、こちらこそどうぞよろしくお願いします。」
二人はそろって頭をさげる。
「こちらこそ!よろしくお願い致します!」
緊張しっぱなしの成美だったが、過保護の菫の両親は、そんなことは全く気にせず、ことあるごとに成美に、「仲良くしてくれてありがとう。」とその言葉を言った。
家元である父はもう70を過ぎている。
年がいってから生まれた菫をことのほか可愛がっている様子だった。
母親は50くらいだろう。
兄はもう30を越えていて家元修行中らしい。
こんな立派な家に生まれた菫……。
私とは全く違うと思い、ますます菫にひかれる成美だった。
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