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イベント後に知ったが、公平の職場で事故があったようだ。
テレビのニュース速報が賑わっていた。
飼育員が熊に襲われて大怪我をしたらしい。
公平は今はふれあえる動物の担当らしいから、熊にはかかわらないはずだ。
それでも不安が胸のすみに潜む。
その夜家に急いで帰宅すると先に三人がそろっていた。
いつも通りの様子に安堵する。
「あーめっちゃ心配した、大丈夫そうで良かった」
「俺は大丈夫だけど……」
「なに?」
聞くと、なんと公平の職場は事故処理と今後の安全対策のために半月以上は休園を余儀なくされたらしい。
スタッフは半分以上が休みに入り、公平もかなり休みが多くなってしまったようだ。
公平としては残念な気持ちだろうが、俺としては嬉しいかもしれない。
公平が休みの日は俺が連れ回そう、と画策していたら朔と律にばればれだった。
「修十さん、公平と遊びまくろうとか考えてますよね?」
「仕事中も一緒にいようとか思っているだろう」
「なんでお前らそこまでわかるんだよ! エスパーかよ!」
「そうはいかない。公平、明日はおれと過ごそう」
「私も次の土日予約します!」
「俺の意思は?」
公平のむなしい反論は誰にも拾われることはなかった。
その日の夜、あとは寝るばかりという時間に公平のスマホに電話がある。
「げ」
「なんでそんな嫌そうな顔してんの? 誰?」
公平は無言でスマホの画面を見せてくる。
そこには「死神」とある。
「死神って……まさか夜野?」
「よくわかったな」
ぴんときてしまった。
たしかに公平からすれば「死ぬ日」を教えてくる夜野は死神のようなものかもしれない。
「はいどうぞ」
公平は震え続けるスマホを俺に渡してさっさと二階へ向かってしまった。
仕方なく俺が電話に出る。
「もしもし、公平じゃなくて悪いけど」
『ああ、志野さんの息子か? まあそうだよな、公平は俺のことを嫌ってるからなあ』
そう言いつつ夜野は明るい声だ。
相変わらずあっけらかんとした男だな。
『別にいいんだ。今日公平の仕事先で事故があったから、そろそろかと思ってな』
「なんの話だ?」
俺はスピーカーにしてそばにいる律と朔にも聞こえるようにした。
『その日が近づいてきた証に、これから公平の周りで不運な事が増えてくる。できるだけ自衛することだな』
「は? じゃあ今日の事故は公平がそこにいたから起きたってのか?!」
『いいや逆だ。不運に巻き込まれていくようになる。不幸体質っていったらいいか。今までなら誰かしら公平についてたんだが、今は他で人手が足らん。というわけでお前たちに頼むぞ!』
「私たちだけで大丈夫でしょうか」
『死ぬ日までは生きられるだろうから、生死に関わることには巻き込まれないだろう』
「さらっとやべえこと言うよな……」
夜野は笑いながら電話を切った。逃げた、絶対逃げた。
俺たちは顔を見合わせる。三人とも重苦しい雰囲気の中やる気だけはある顔をしていた。
「問題は公平が出勤の日だな。誰かがついていくか」
「そうだなあ、まあ俺かな」
「いいなあ」
律が羨んでくる。
「学業は怠らない、我々の約束だろう」
「そうそう。俺たちはここで終わったりしない、ずっと一緒なんだろ」
「はい!」
しっかり律が返事する。
律のためにも一層気を引き締めねばと俺は覚悟を決めていた。
テレビのニュース速報が賑わっていた。
飼育員が熊に襲われて大怪我をしたらしい。
公平は今はふれあえる動物の担当らしいから、熊にはかかわらないはずだ。
それでも不安が胸のすみに潜む。
その夜家に急いで帰宅すると先に三人がそろっていた。
いつも通りの様子に安堵する。
「あーめっちゃ心配した、大丈夫そうで良かった」
「俺は大丈夫だけど……」
「なに?」
聞くと、なんと公平の職場は事故処理と今後の安全対策のために半月以上は休園を余儀なくされたらしい。
スタッフは半分以上が休みに入り、公平もかなり休みが多くなってしまったようだ。
公平としては残念な気持ちだろうが、俺としては嬉しいかもしれない。
公平が休みの日は俺が連れ回そう、と画策していたら朔と律にばればれだった。
「修十さん、公平と遊びまくろうとか考えてますよね?」
「仕事中も一緒にいようとか思っているだろう」
「なんでお前らそこまでわかるんだよ! エスパーかよ!」
「そうはいかない。公平、明日はおれと過ごそう」
「私も次の土日予約します!」
「俺の意思は?」
公平のむなしい反論は誰にも拾われることはなかった。
その日の夜、あとは寝るばかりという時間に公平のスマホに電話がある。
「げ」
「なんでそんな嫌そうな顔してんの? 誰?」
公平は無言でスマホの画面を見せてくる。
そこには「死神」とある。
「死神って……まさか夜野?」
「よくわかったな」
ぴんときてしまった。
たしかに公平からすれば「死ぬ日」を教えてくる夜野は死神のようなものかもしれない。
「はいどうぞ」
公平は震え続けるスマホを俺に渡してさっさと二階へ向かってしまった。
仕方なく俺が電話に出る。
「もしもし、公平じゃなくて悪いけど」
『ああ、志野さんの息子か? まあそうだよな、公平は俺のことを嫌ってるからなあ』
そう言いつつ夜野は明るい声だ。
相変わらずあっけらかんとした男だな。
『別にいいんだ。今日公平の仕事先で事故があったから、そろそろかと思ってな』
「なんの話だ?」
俺はスピーカーにしてそばにいる律と朔にも聞こえるようにした。
『その日が近づいてきた証に、これから公平の周りで不運な事が増えてくる。できるだけ自衛することだな』
「は? じゃあ今日の事故は公平がそこにいたから起きたってのか?!」
『いいや逆だ。不運に巻き込まれていくようになる。不幸体質っていったらいいか。今までなら誰かしら公平についてたんだが、今は他で人手が足らん。というわけでお前たちに頼むぞ!』
「私たちだけで大丈夫でしょうか」
『死ぬ日までは生きられるだろうから、生死に関わることには巻き込まれないだろう』
「さらっとやべえこと言うよな……」
夜野は笑いながら電話を切った。逃げた、絶対逃げた。
俺たちは顔を見合わせる。三人とも重苦しい雰囲気の中やる気だけはある顔をしていた。
「問題は公平が出勤の日だな。誰かがついていくか」
「そうだなあ、まあ俺かな」
「いいなあ」
律が羨んでくる。
「学業は怠らない、我々の約束だろう」
「そうそう。俺たちはここで終わったりしない、ずっと一緒なんだろ」
「はい!」
しっかり律が返事する。
律のためにも一層気を引き締めねばと俺は覚悟を決めていた。
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