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第三話
第五十六節 歳月が変えていく
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ゾフィーに呼び止められ、彼の隣まで来たレイ。そのまま後について辿り着いたのは、ミズガルーズ国家防衛軍軍事基地のヤクの執務室だった。促されて中に入ると、整理された光景が目に映る。
あまり入ることのないその場所を、ぐるりと見渡す。そんな自分に、ゾフィーが語り掛けてきた。
「さっきのキミを見て、改めて思ったよ。この子はやっぱり、ノーチェ魔術長の弟子なんだなって」
「えっ?」
「ノーチェ魔術長も、さっきのキミみたいに、一人で何でもかんでも抱える癖があってね。今はだいぶ落ち着いてくれたけど、二年前まではそりゃ酷いものだったよ。部下たちを信頼しているとか言いながら、危険な目にいの一番に突っ込もうとして」
くすくす、と苦笑するゾフィーに相槌を打ちながら、思わずつられて苦笑する。なんとなく予想ができたのだ。あのヤクなら、やりかねないと。
ゾフィーはそれでもと、どこか遠い目をしながら話を続けた。
「僕たちはあの人を信じているし、あの人が必要なんだ。僕はあの人の代わりに軍の部下たちを指揮しなければならないから、ここを動くことはできないけど──」
そう言って近付くと、レイにある機械を渡した。手の平サイズのコンパクトなそれを、思わずまじまじと観察する。初めて見るものだ。聞けばそれは、軍が開発した小型通信機だという。なんと、大陸間でも使えるとのこと。
「何かあったときは、それで知らせるといいよ。もう一つは僕が持っているから、直接指示なんかも出せると思う。こんなことしか出来なくて情けないけど……ノーチェ魔術長とベンダバル騎士団長を、共に取り戻そう」
「ゾフィーさん……!はい、必ず!」
また今度ゆっくり話そうと約束して、レイはその部屋を後にする。そのままエイリークたちのいる宿屋まで、走って向かうのであった。
******
宿屋の部屋に到着する。中ではエイリークたちが、明日からの行動について話していた。事情を探るにも、どこから調べるべきか意見を交わしていたとのことだ。レイも荷物を整理してから、話の輪の中へ入る。
今のところ手掛かりといえば、先のシグ国王との話題にあった。ヴィグリード平原の奥の、淀みの森と呼ばれる森の中にある工場のような施設。
淀みの森とはその名の通り、イーアルンウィーズの森やミュルクウィーズの森とは違い、凶暴化した魔物が多く棲み付く魔の森だ。そんな危険地帯に、わざと工場を設立するなんて。何かを隠すためとしか思えない。
「でもなんで、そんな場所でグレイプニルを作ってるのかな……」
「恐らく実践も兼ねてるんだろ、品質チェックってやつじゃないか?出来のいいグレイプニルなら、それなりに凶暴な魔物でも自由に操れるんだろうし」
ラントの言葉で、以前イーアルンウィーズの森で遭遇した魔物のことを思い出す。あの時の獅子の魔物にも、グレイプニルは装着されていた。そもそもあの魔物にそれを嵌めさせたのは、いったい誰なのだろう。そのことも結局、わからず仕舞いとなっている。
「明日、その工場に行ってみないか?もしかしたら、何かの痕跡が残っているかもしれないし」
「確かに、百聞は一見に如かずっていうし」
「わかる場所から探していきましょう」
行先は決定する。ただその前に一つ、向かわなければならない場所がある。先程シグ国王が言っていたように、淀みの森を管理しているのはヴァラスキャルヴ国。その国はケルスの、アウスガールズ本国と同盟を結んでいる国だ。まずはその国に向かい、承諾を得なければならない。
ヴァラスキャルヴ国と言えば、思い出される人物が一人いる。二年前衝突した、かの国の第一王子──カウト・リュボーフ・フォン・ヴァラスキャルヴ。ケルスの許婚だというその人物が、カーサとの戦闘後どうなったのか、レイは知らない。
協力していたとはいえ、ケルスのために世界の敵側についた彼。何のお咎めもなしに生活できているのだろうか。思わずケルスを一瞥する。
ケルス自身も思うところがあったのか、一瞬俯く。
「ケルス……」
「大丈夫です。まずは淀みの森に行くための承諾を得るため、ヴァラスキャルヴに向かいましょう」
「でも、いいのか?」
「はい。カウトさんがカーサ側についたのは、ひいては僕の責任です。ですからもし何か、彼に処罰が下っているのだとしたら……。罪を軽くしてもらえないか、陛下にかけあいたいんです」
「……そっか」
彼の横顔に、それ以上何かを言うのは野暮だと感じた。それぞれ思うところはあるが、言及しないほうがいいだろう。エイリークもそれを感じたのか、何も言わないでいる。
ひとまず話がまとまったところで、明日のためにその日は解散となった。
******
翌日。
ミズガルーズからヴァラスキャルヴまでは、何の問題もなく到着する。ミズガルーズから出るときに渡された書状をヴァラスキャルヴの門番に渡し、返事を待つ。
ちなみにエイリークとグリムからは国の外で待っている、と告げられた。エイリークは二年前、カウトと衝突して果てには殺し合いまでしたそうだ。だから会いにくいし、万が一顔を合わせたら、また戦いに発展しかねないからと。
グリムはグリムで、人間が治めているヴァラスキャルヴという国が本質的に肌に合わない、と。ラントも、自分がいたところで話には参加できないだろうと、エイリークたちと外で待っていると言われてしまう。
仕方なしに、返事に来た兵士にケルスとレイの二人だけで謁見するという旨を告げた。兵士は納得したらしい。ヴァラスキャルヴの王宮まで、レイとケルスの二人だけが案内される。
王の間では、ヴァラスキャルヴの国王が王妃とともに待ち構えていた。膝を折り、頭を下げる。
「面を上げよ」
緊張感が漂う中、ヴァラスキャルヴ国王が言葉を発する。彼の令に従って、レイとケルスは頭を上げた。ヴァラスキャルヴ国王の、レイたちを見定める射貫くような視線に、思わず生唾を飲み込みそうになる。しかしそれは不意にふっと、優しい眼差しに変化する。
「なるほど、良い目をしておる。貴殿らからは、邪な魂を感じない。よって貴殿らの発言を許す」
「ありがたきお言葉です、ヴァーラン陛下。そして、お久し振りに御座います」
「うむ。息災で何よりだ、ケルス国王。して今日は淀みの森の調査の承諾について、だったな」
「はい。淀みの森の奥にある、おそらく破壊されたであろう施設。そこへ調査に赴こうと思っております」
「それは、何故?」
ヴァーラン国王のその質問には、レイが答える。ケルスと目配せをしてから、レイは話し始めた。
「お初にお目にかかりますヴァーラン陛下。自分はユグドラシル教団魔法騎士、レイ・アルマと申します。僭越ながら、それについては自分から説明いたします」
レイは、ここ最近世界各地で起こっていることについて話す。
死者の蘇りや墓荒らし、そして淀みの森の奥にある工場のような施設で起こったこと。それについて、ミズガルーズから事態究明を依頼されているということ。ユグドラシル教団も、先日起こったヴァナル暴動の真相にそれが一枚噛んでいると睨み、調査をしていること。
女神の巫女関係以外のことで、話せる内容と自分たちの知っている情報を伝える。ヴァーラン国王のところにも死者の蘇りや墓荒らしについての情報が届いていたらしく、対策を講じようとしていたとのこと。
目的は同じということもあり、レイたちが淀みの森へ向かうことに納得し、許可を得ることが出来た。ただし条件として、持ち得た情報を報告するよう依頼される。それについては問題ないだろうと、こちらも彼の意見を受け入れる。
話し合いを終えようとしたところに、最後にケルスがヴァーラン国王にカウトのことについて尋ねた。その問いにヴァーラン国王と王妃は一度顔を見合わせ、真実を告げる。
「……息子の王位継承権は、剥奪した。事情は聴いたが、それでも世界の敵側についたという事実は、一国の王となるべき存在としてあってはならんことだ」
「そんな……!カウト氏は、私のせいでカーサに協力せざるを得なかったのです!すべては私の責任です、だから剥奪なんて……!」
「これは、二年前にわたくしと陛下で決められたことなのです、ケルス国王。あれは、国王となるべき責務よりも自分の我欲を優先した。それは将来国王となるべき者には、許されざるべき事柄なのです」
「ですが……!」
「……あの、差し出がましいですが一言よろしいですか?」
ケルスたちの会話に入る。発言を許可すると言われ、レイは語る。
「確かに、王子は過ちを犯したかもしれません。しかし人は何度でも、変わろうと思えば変われるのです。前に進むこともできるのです」
過ちを受け止め、どう向き合うか。どう付き合っていくか。
そして、どう償っていくか。
「その可能性の芽を、どうか潰さずに見守っていただきたいのです」
「なぜ貴殿がそこまで庇うのだ?貴殿には関係がなかろうに」
「確かにそうかもしれません。ですが自分は、過ちを犯してそれでもなお前を向いて生きている人たちを、知っています」
ヒトとしての意思を、レイは信じている。それはとても強くて、尊いものだから。
「一度の過ちで全を潰して、成長の機会すら奪われては、ヒトは枯れていくだけです」
罪を犯した罪人にも、やり直す機会は与えられるというのに。すべてを剥奪する事は簡単だが、それは思考の放棄にも繋がるのではないか。
そう語れば二人は再び顔を見合わせ、ケルスに告げる。
「……我らは、息子が貴殿の許婚であるのにもかかわらず、貴殿の意見を踏まえてなかったな」
「ヴァーラン陛下……」
「……剥奪の件、考え直そう。今はまだ確定した答えは出せんが……善処しよう」
「あ……ありがとうございます!!」
その後の話は順調に進み、無事に淀みの森捜索の許可証をもらう。今一度深く礼をして、ヴァラスキャルヴの王宮を後にするのであった。
あまり入ることのないその場所を、ぐるりと見渡す。そんな自分に、ゾフィーが語り掛けてきた。
「さっきのキミを見て、改めて思ったよ。この子はやっぱり、ノーチェ魔術長の弟子なんだなって」
「えっ?」
「ノーチェ魔術長も、さっきのキミみたいに、一人で何でもかんでも抱える癖があってね。今はだいぶ落ち着いてくれたけど、二年前まではそりゃ酷いものだったよ。部下たちを信頼しているとか言いながら、危険な目にいの一番に突っ込もうとして」
くすくす、と苦笑するゾフィーに相槌を打ちながら、思わずつられて苦笑する。なんとなく予想ができたのだ。あのヤクなら、やりかねないと。
ゾフィーはそれでもと、どこか遠い目をしながら話を続けた。
「僕たちはあの人を信じているし、あの人が必要なんだ。僕はあの人の代わりに軍の部下たちを指揮しなければならないから、ここを動くことはできないけど──」
そう言って近付くと、レイにある機械を渡した。手の平サイズのコンパクトなそれを、思わずまじまじと観察する。初めて見るものだ。聞けばそれは、軍が開発した小型通信機だという。なんと、大陸間でも使えるとのこと。
「何かあったときは、それで知らせるといいよ。もう一つは僕が持っているから、直接指示なんかも出せると思う。こんなことしか出来なくて情けないけど……ノーチェ魔術長とベンダバル騎士団長を、共に取り戻そう」
「ゾフィーさん……!はい、必ず!」
また今度ゆっくり話そうと約束して、レイはその部屋を後にする。そのままエイリークたちのいる宿屋まで、走って向かうのであった。
******
宿屋の部屋に到着する。中ではエイリークたちが、明日からの行動について話していた。事情を探るにも、どこから調べるべきか意見を交わしていたとのことだ。レイも荷物を整理してから、話の輪の中へ入る。
今のところ手掛かりといえば、先のシグ国王との話題にあった。ヴィグリード平原の奥の、淀みの森と呼ばれる森の中にある工場のような施設。
淀みの森とはその名の通り、イーアルンウィーズの森やミュルクウィーズの森とは違い、凶暴化した魔物が多く棲み付く魔の森だ。そんな危険地帯に、わざと工場を設立するなんて。何かを隠すためとしか思えない。
「でもなんで、そんな場所でグレイプニルを作ってるのかな……」
「恐らく実践も兼ねてるんだろ、品質チェックってやつじゃないか?出来のいいグレイプニルなら、それなりに凶暴な魔物でも自由に操れるんだろうし」
ラントの言葉で、以前イーアルンウィーズの森で遭遇した魔物のことを思い出す。あの時の獅子の魔物にも、グレイプニルは装着されていた。そもそもあの魔物にそれを嵌めさせたのは、いったい誰なのだろう。そのことも結局、わからず仕舞いとなっている。
「明日、その工場に行ってみないか?もしかしたら、何かの痕跡が残っているかもしれないし」
「確かに、百聞は一見に如かずっていうし」
「わかる場所から探していきましょう」
行先は決定する。ただその前に一つ、向かわなければならない場所がある。先程シグ国王が言っていたように、淀みの森を管理しているのはヴァラスキャルヴ国。その国はケルスの、アウスガールズ本国と同盟を結んでいる国だ。まずはその国に向かい、承諾を得なければならない。
ヴァラスキャルヴ国と言えば、思い出される人物が一人いる。二年前衝突した、かの国の第一王子──カウト・リュボーフ・フォン・ヴァラスキャルヴ。ケルスの許婚だというその人物が、カーサとの戦闘後どうなったのか、レイは知らない。
協力していたとはいえ、ケルスのために世界の敵側についた彼。何のお咎めもなしに生活できているのだろうか。思わずケルスを一瞥する。
ケルス自身も思うところがあったのか、一瞬俯く。
「ケルス……」
「大丈夫です。まずは淀みの森に行くための承諾を得るため、ヴァラスキャルヴに向かいましょう」
「でも、いいのか?」
「はい。カウトさんがカーサ側についたのは、ひいては僕の責任です。ですからもし何か、彼に処罰が下っているのだとしたら……。罪を軽くしてもらえないか、陛下にかけあいたいんです」
「……そっか」
彼の横顔に、それ以上何かを言うのは野暮だと感じた。それぞれ思うところはあるが、言及しないほうがいいだろう。エイリークもそれを感じたのか、何も言わないでいる。
ひとまず話がまとまったところで、明日のためにその日は解散となった。
******
翌日。
ミズガルーズからヴァラスキャルヴまでは、何の問題もなく到着する。ミズガルーズから出るときに渡された書状をヴァラスキャルヴの門番に渡し、返事を待つ。
ちなみにエイリークとグリムからは国の外で待っている、と告げられた。エイリークは二年前、カウトと衝突して果てには殺し合いまでしたそうだ。だから会いにくいし、万が一顔を合わせたら、また戦いに発展しかねないからと。
グリムはグリムで、人間が治めているヴァラスキャルヴという国が本質的に肌に合わない、と。ラントも、自分がいたところで話には参加できないだろうと、エイリークたちと外で待っていると言われてしまう。
仕方なしに、返事に来た兵士にケルスとレイの二人だけで謁見するという旨を告げた。兵士は納得したらしい。ヴァラスキャルヴの王宮まで、レイとケルスの二人だけが案内される。
王の間では、ヴァラスキャルヴの国王が王妃とともに待ち構えていた。膝を折り、頭を下げる。
「面を上げよ」
緊張感が漂う中、ヴァラスキャルヴ国王が言葉を発する。彼の令に従って、レイとケルスは頭を上げた。ヴァラスキャルヴ国王の、レイたちを見定める射貫くような視線に、思わず生唾を飲み込みそうになる。しかしそれは不意にふっと、優しい眼差しに変化する。
「なるほど、良い目をしておる。貴殿らからは、邪な魂を感じない。よって貴殿らの発言を許す」
「ありがたきお言葉です、ヴァーラン陛下。そして、お久し振りに御座います」
「うむ。息災で何よりだ、ケルス国王。して今日は淀みの森の調査の承諾について、だったな」
「はい。淀みの森の奥にある、おそらく破壊されたであろう施設。そこへ調査に赴こうと思っております」
「それは、何故?」
ヴァーラン国王のその質問には、レイが答える。ケルスと目配せをしてから、レイは話し始めた。
「お初にお目にかかりますヴァーラン陛下。自分はユグドラシル教団魔法騎士、レイ・アルマと申します。僭越ながら、それについては自分から説明いたします」
レイは、ここ最近世界各地で起こっていることについて話す。
死者の蘇りや墓荒らし、そして淀みの森の奥にある工場のような施設で起こったこと。それについて、ミズガルーズから事態究明を依頼されているということ。ユグドラシル教団も、先日起こったヴァナル暴動の真相にそれが一枚噛んでいると睨み、調査をしていること。
女神の巫女関係以外のことで、話せる内容と自分たちの知っている情報を伝える。ヴァーラン国王のところにも死者の蘇りや墓荒らしについての情報が届いていたらしく、対策を講じようとしていたとのこと。
目的は同じということもあり、レイたちが淀みの森へ向かうことに納得し、許可を得ることが出来た。ただし条件として、持ち得た情報を報告するよう依頼される。それについては問題ないだろうと、こちらも彼の意見を受け入れる。
話し合いを終えようとしたところに、最後にケルスがヴァーラン国王にカウトのことについて尋ねた。その問いにヴァーラン国王と王妃は一度顔を見合わせ、真実を告げる。
「……息子の王位継承権は、剥奪した。事情は聴いたが、それでも世界の敵側についたという事実は、一国の王となるべき存在としてあってはならんことだ」
「そんな……!カウト氏は、私のせいでカーサに協力せざるを得なかったのです!すべては私の責任です、だから剥奪なんて……!」
「これは、二年前にわたくしと陛下で決められたことなのです、ケルス国王。あれは、国王となるべき責務よりも自分の我欲を優先した。それは将来国王となるべき者には、許されざるべき事柄なのです」
「ですが……!」
「……あの、差し出がましいですが一言よろしいですか?」
ケルスたちの会話に入る。発言を許可すると言われ、レイは語る。
「確かに、王子は過ちを犯したかもしれません。しかし人は何度でも、変わろうと思えば変われるのです。前に進むこともできるのです」
過ちを受け止め、どう向き合うか。どう付き合っていくか。
そして、どう償っていくか。
「その可能性の芽を、どうか潰さずに見守っていただきたいのです」
「なぜ貴殿がそこまで庇うのだ?貴殿には関係がなかろうに」
「確かにそうかもしれません。ですが自分は、過ちを犯してそれでもなお前を向いて生きている人たちを、知っています」
ヒトとしての意思を、レイは信じている。それはとても強くて、尊いものだから。
「一度の過ちで全を潰して、成長の機会すら奪われては、ヒトは枯れていくだけです」
罪を犯した罪人にも、やり直す機会は与えられるというのに。すべてを剥奪する事は簡単だが、それは思考の放棄にも繋がるのではないか。
そう語れば二人は再び顔を見合わせ、ケルスに告げる。
「……我らは、息子が貴殿の許婚であるのにもかかわらず、貴殿の意見を踏まえてなかったな」
「ヴァーラン陛下……」
「……剥奪の件、考え直そう。今はまだ確定した答えは出せんが……善処しよう」
「あ……ありがとうございます!!」
その後の話は順調に進み、無事に淀みの森捜索の許可証をもらう。今一度深く礼をして、ヴァラスキャルヴの王宮を後にするのであった。
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