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第三話
第五十五節 光明と混乱
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ミズガルーズには、その日の昼前に到着することができた。教皇ウーフォからの書状と、送られてきたシグ国王の書状を門番に見せ、使いの者だと告げる。彼らはすぐに理解してくれたようで、すぐに王城に通された。そのままミズガルーズ国家防衛軍の軍人に、応接室まで案内される。早急にシグ国王がこちらに来られると伝えられたレイたちは、大人しくそこで待つことに。
数分後、一人の軍人を連れたシグ国王が応接室に到着する。レイはシグ国王の後ろに控えたその人物に、見覚えがあった。確かヤクの部下で副部隊長を務めている人物だ。その人物はまずシグ国王に促され、自己紹介をした。
「自分はゾフィー・クルーク魔術副長です。……久しいね、アルマくん」
「ゾフィーさん、お久し振りです」
「積もる話もあるかもしれないが、まずは状況報告と確認をね」
「はい、よろしくお願いします」
ゾフィーとシグ国王は互いに目配せして、レイたちに向かい合う。まず最初に語られたのは、各地で起きている墓荒らしの件についてだ。
「最近、我が国で管理している墓地の墓の一部が掘り返されていると報告を受けました。貴方方も、噂は耳にしていますか?」
「はい。それについて、こちらからひとつ報告があるんです」
レイはここに来るまでに、以前確実に倒して殺したはずのカーサたちから襲撃されたことを伝える。確かに二年前に葬ったはずなのに、彼らは動いて攻撃を仕掛け、挙句の果てには首を切り落としても、言葉を紡いだと。
「貴方達にも襲ってきたのですね……」
「妙な言い方だな。まるで自分たちも経験した、と聞こえるが?」
「厳密には、私自身が襲われたわけではありません。しかしここ最近、死者の蘇りの報告が相次いで、そのたびに部隊を派遣して討伐に当たらせているのです」
その時は、彼らはゾンビのように唸るだけで言葉を発した、とは聞いてなかったとシグ国王は付け加える。彼はレイたちに、蘇った死者が何と話していたか尋ねてきた。その質問にエイリークたちが、レイに心配するような視線を投げかける。
レイは一度目を閉じてから、正確に答えた。
「彼らは、世界に堕落と混沌を、巫女の魂に救済を、と」
「世界に堕落と混沌を、巫女の魂に救済を、ですか……」
「それと、もう一言。女神の巫女に永久の安寧を、と……」
その言葉に、シグ国王の目元が揺らぐ。やがて何かに納得したかのように、一人口の中で呟く。聞き取ることは出来なかったが、彼の中で何かが繋がったのだろう。
分かりましたと告げると、次にシグ国王からレイたちが調査の依頼をしていた、グレイプニルのことについて語られる。
自分たちに依頼され調査したところ、出回っているグレイプニルは案の定、古代遺物などではなく、量産型されたものということが判明したとのこと。レイたちが渡した足枷は、元々の資料にあるグレイプニルを模して造られた、ただの足枷だったのだ。似せて作られた贋作ならば、シグ国王がそれに違和感を覚えたのも道理である。
ならば何故、それが真作のグレイプニルと違わない効果を発揮していたのか。それはその足枷に嵌められていた宝石が、催眠効果のあるチャームとしての役割を果たしていたからだと教えらえた。これを嵌められた者は例外なく従属するよう、術が掛けられる仕組みとなっていたそうだ。
そんなものが万が一密輸されているなら大問題だと、次にシグ国王はその贋作グレイプニルの生産元を特定させたらしい。ミズガルーズ国家防衛軍捜査部隊の入念な捜査の結果、その場所も特定したと。
「それって、どこですか?」
「はい。ヴィグリード平原の奥の、淀みの森と呼ばれる森の中に、工場のような施設があったのです」
「ヴィグリード平原と言えば、アウスガールズの中心地じゃないですか」
「はい。ですので我々は、淀みの森の管理国であるヴァラスキャルヴに承諾を得て、その工場の壊滅作戦を立てました」
その実行部隊として、ヤクとスグリの部隊を混合させた特殊部隊を編成。その後作戦を任務とさせ、彼らをアウスガールズへ派遣したのだと告げられる。
「本来なら、彼らはすぐに帰還できるはずでした。それなのに、戻ってきたのは数人の負傷兵だけだったのです」
「どうして、ですか……!?」
「それは、こちらから説明します」
控えていたゾフィーが、手に持っていた資料に目を落としながら答える。これは帰還した部下から聞いたことをまとめた、報告書のようなものだと話してくれた。
施設を包囲することに成功した特殊部隊は、まず先遣隊を突入させた。中にはまだ作業を続けていた民間人がいた、とのことで救出しようと試みたそうだ。しかし彼らには既にグレイプニルを装着され、操り人形のように成り果てていた。
グレイプニルを破壊すれば洗脳状態を解ける、と既に把握していた特殊部隊の先遣隊は、それを実行。
特に対抗勢力もなく、無事に任務を遂行できると思った矢先に、事態は急転した。突如として、任務遂行中だったその工場が諸共押しつぶされたそうだ。急襲に応待しようとした特殊部隊員たちだったが、部隊に指示を出そうとしたヤクとスグリが狙われた。
何の気配もなかった場所から出現した人物が、二人に向かって攻撃を仕掛けたのだ。敵は二人ということは、把握できたらしい。対応しながらヤクとスグリは彼らに撤退を命じるものの、相手の攻撃を捌ききれない様子であったそうだ。そのうえヤクとスグリは、攻撃してきたその二人の人物に心当たりがあったらしく、いつもより動きが鈍かった様子だと。しまいには、敵の前に二人は倒されてしまった。
ヤクとスグリを救出しようと、残った兵士たちはその人物たちに向かったが、あえなく反撃に遭うことになったらしい。部下たちが最後に見たのは、その二人に連れ去られてしまうヤクとスグリの姿だった、とのこと。
「敵は長剣使いの中年の男性と、札を使って妙な力を使う青年だった、ということは掴めました。ただ、彼らが何処に消えたのかまでは、知ることが出来ませんでした」
「そんな……」
「何故二人が狙われたのか、その理由を推測することは出来なかったのですが。今の貴方方の話を聞いて、合点がいきました。……敵の狙いは、女神の巫女です」
しかし何故女神の巫女を狙うのかは、理解できかねる。そうシグ国王は語る。
ヴァナルの残党ではない新たな勢力。倒したヤクとスグリをその場で殺さず、連れ去るということは、そこに別の目的があるということなのか。
「もしかして、グレイプニルを造らせていたのは、その急襲してきた人物たちの組織なんでしょうか……?」
「まだ憶測の域は出ませんが、その可能性は考えられます」
「死者を蘇らせているのも、もしかしてその人達……?」
疑問は尽きない。それでも唯一、分かっていることがある。
敵が女神の巫女を狙っているということは、いずれは自分の目の前にも姿を現すだろう。その機会を狙い、相手の素性を知ることが出来るかもしれない。それに、ヤクとスグリを連れ去った場所もその目的も判明するかもしれない。
レイは自分の中で覚悟を決め、決意したように顔を上げて提案する。
「……シグ陛下。俺が囮になって敵を誘い出すことができれば、敵の素性を知ることが出来るかもしれません」
「レイ!?」
エイリークやラントが反論の声を上げる。当然の反応だろう。
「敵の目的が女神の巫女なら、いつか俺の前にも絶対現れるはずです。それを逆手に取れば、敵の目的を阻止することもできるかもしれない」
「貴方は、そのために自分を差し出すというのですか?」
「……今の俺にはこの策しか思い浮かびません。でも現状、これ以上うってつけな対策法なんて、ないと思います」
「……」
シグ国王はしばらくレイを見据えていたが、やがて一つ頷く。
「わかりました。貴方の案を信じましょう」
「ありがとうございます」
「ですが、決して無茶だけはしないように。我々も出来る限りのバックアップはしますが、自分を殺すようなことはしないように。これは貴方が女神の巫女だからではなく、貴方自身のためにです」
「はい、ありがとうございます」
今日はミズガルーズで休んでくださいと提案され、一行はその言葉に甘えることにした。宿の部屋まで手配してくれたらしく、頭が下がりっぱなしだ。話や報告が終わり、部屋を出る。廊下を歩いていたレイは、エイリークやラントから叱責を受けた。
「何考えてんだよレイ!お前、自分を囮になんて!」
「そうだよ!どうしてあんなこと言ったのさ?」
「だって、それくらいしか今のところ対策がないのも事実だろ?それに俺は自分が連れ去られるなんて、これっぽっちも思ってない。だって、みんながいるだろ?」
ニヤリと笑って、エイリークたちを見る。
「俺は一人じゃないってわかってるから、こうして俺は自分の背中をみんなに預けたいって思えるんだ。勝手に決めたのは悪いと思ってるけど、それでもこれが俺にできることなら、それに全力で取り組むだけだよ」
そう答えれば、エイリークたちは毒気が抜かれたかのように、肩の力を抜く。
「まったく、レイってば調子いいんだから」
「へへ、悪いな」
「でも、本当に無理はなさらないでくださいね」
「ああ、ありがとケルス」
そのまま宿屋へ向かおうとしたが、ゾフィーに呼び止められる。エイリークたちに先に宿屋で待っていてほしい旨を伝え、レイはゾフィーのところへ向かった。
数分後、一人の軍人を連れたシグ国王が応接室に到着する。レイはシグ国王の後ろに控えたその人物に、見覚えがあった。確かヤクの部下で副部隊長を務めている人物だ。その人物はまずシグ国王に促され、自己紹介をした。
「自分はゾフィー・クルーク魔術副長です。……久しいね、アルマくん」
「ゾフィーさん、お久し振りです」
「積もる話もあるかもしれないが、まずは状況報告と確認をね」
「はい、よろしくお願いします」
ゾフィーとシグ国王は互いに目配せして、レイたちに向かい合う。まず最初に語られたのは、各地で起きている墓荒らしの件についてだ。
「最近、我が国で管理している墓地の墓の一部が掘り返されていると報告を受けました。貴方方も、噂は耳にしていますか?」
「はい。それについて、こちらからひとつ報告があるんです」
レイはここに来るまでに、以前確実に倒して殺したはずのカーサたちから襲撃されたことを伝える。確かに二年前に葬ったはずなのに、彼らは動いて攻撃を仕掛け、挙句の果てには首を切り落としても、言葉を紡いだと。
「貴方達にも襲ってきたのですね……」
「妙な言い方だな。まるで自分たちも経験した、と聞こえるが?」
「厳密には、私自身が襲われたわけではありません。しかしここ最近、死者の蘇りの報告が相次いで、そのたびに部隊を派遣して討伐に当たらせているのです」
その時は、彼らはゾンビのように唸るだけで言葉を発した、とは聞いてなかったとシグ国王は付け加える。彼はレイたちに、蘇った死者が何と話していたか尋ねてきた。その質問にエイリークたちが、レイに心配するような視線を投げかける。
レイは一度目を閉じてから、正確に答えた。
「彼らは、世界に堕落と混沌を、巫女の魂に救済を、と」
「世界に堕落と混沌を、巫女の魂に救済を、ですか……」
「それと、もう一言。女神の巫女に永久の安寧を、と……」
その言葉に、シグ国王の目元が揺らぐ。やがて何かに納得したかのように、一人口の中で呟く。聞き取ることは出来なかったが、彼の中で何かが繋がったのだろう。
分かりましたと告げると、次にシグ国王からレイたちが調査の依頼をしていた、グレイプニルのことについて語られる。
自分たちに依頼され調査したところ、出回っているグレイプニルは案の定、古代遺物などではなく、量産型されたものということが判明したとのこと。レイたちが渡した足枷は、元々の資料にあるグレイプニルを模して造られた、ただの足枷だったのだ。似せて作られた贋作ならば、シグ国王がそれに違和感を覚えたのも道理である。
ならば何故、それが真作のグレイプニルと違わない効果を発揮していたのか。それはその足枷に嵌められていた宝石が、催眠効果のあるチャームとしての役割を果たしていたからだと教えらえた。これを嵌められた者は例外なく従属するよう、術が掛けられる仕組みとなっていたそうだ。
そんなものが万が一密輸されているなら大問題だと、次にシグ国王はその贋作グレイプニルの生産元を特定させたらしい。ミズガルーズ国家防衛軍捜査部隊の入念な捜査の結果、その場所も特定したと。
「それって、どこですか?」
「はい。ヴィグリード平原の奥の、淀みの森と呼ばれる森の中に、工場のような施設があったのです」
「ヴィグリード平原と言えば、アウスガールズの中心地じゃないですか」
「はい。ですので我々は、淀みの森の管理国であるヴァラスキャルヴに承諾を得て、その工場の壊滅作戦を立てました」
その実行部隊として、ヤクとスグリの部隊を混合させた特殊部隊を編成。その後作戦を任務とさせ、彼らをアウスガールズへ派遣したのだと告げられる。
「本来なら、彼らはすぐに帰還できるはずでした。それなのに、戻ってきたのは数人の負傷兵だけだったのです」
「どうして、ですか……!?」
「それは、こちらから説明します」
控えていたゾフィーが、手に持っていた資料に目を落としながら答える。これは帰還した部下から聞いたことをまとめた、報告書のようなものだと話してくれた。
施設を包囲することに成功した特殊部隊は、まず先遣隊を突入させた。中にはまだ作業を続けていた民間人がいた、とのことで救出しようと試みたそうだ。しかし彼らには既にグレイプニルを装着され、操り人形のように成り果てていた。
グレイプニルを破壊すれば洗脳状態を解ける、と既に把握していた特殊部隊の先遣隊は、それを実行。
特に対抗勢力もなく、無事に任務を遂行できると思った矢先に、事態は急転した。突如として、任務遂行中だったその工場が諸共押しつぶされたそうだ。急襲に応待しようとした特殊部隊員たちだったが、部隊に指示を出そうとしたヤクとスグリが狙われた。
何の気配もなかった場所から出現した人物が、二人に向かって攻撃を仕掛けたのだ。敵は二人ということは、把握できたらしい。対応しながらヤクとスグリは彼らに撤退を命じるものの、相手の攻撃を捌ききれない様子であったそうだ。そのうえヤクとスグリは、攻撃してきたその二人の人物に心当たりがあったらしく、いつもより動きが鈍かった様子だと。しまいには、敵の前に二人は倒されてしまった。
ヤクとスグリを救出しようと、残った兵士たちはその人物たちに向かったが、あえなく反撃に遭うことになったらしい。部下たちが最後に見たのは、その二人に連れ去られてしまうヤクとスグリの姿だった、とのこと。
「敵は長剣使いの中年の男性と、札を使って妙な力を使う青年だった、ということは掴めました。ただ、彼らが何処に消えたのかまでは、知ることが出来ませんでした」
「そんな……」
「何故二人が狙われたのか、その理由を推測することは出来なかったのですが。今の貴方方の話を聞いて、合点がいきました。……敵の狙いは、女神の巫女です」
しかし何故女神の巫女を狙うのかは、理解できかねる。そうシグ国王は語る。
ヴァナルの残党ではない新たな勢力。倒したヤクとスグリをその場で殺さず、連れ去るということは、そこに別の目的があるということなのか。
「もしかして、グレイプニルを造らせていたのは、その急襲してきた人物たちの組織なんでしょうか……?」
「まだ憶測の域は出ませんが、その可能性は考えられます」
「死者を蘇らせているのも、もしかしてその人達……?」
疑問は尽きない。それでも唯一、分かっていることがある。
敵が女神の巫女を狙っているということは、いずれは自分の目の前にも姿を現すだろう。その機会を狙い、相手の素性を知ることが出来るかもしれない。それに、ヤクとスグリを連れ去った場所もその目的も判明するかもしれない。
レイは自分の中で覚悟を決め、決意したように顔を上げて提案する。
「……シグ陛下。俺が囮になって敵を誘い出すことができれば、敵の素性を知ることが出来るかもしれません」
「レイ!?」
エイリークやラントが反論の声を上げる。当然の反応だろう。
「敵の目的が女神の巫女なら、いつか俺の前にも絶対現れるはずです。それを逆手に取れば、敵の目的を阻止することもできるかもしれない」
「貴方は、そのために自分を差し出すというのですか?」
「……今の俺にはこの策しか思い浮かびません。でも現状、これ以上うってつけな対策法なんて、ないと思います」
「……」
シグ国王はしばらくレイを見据えていたが、やがて一つ頷く。
「わかりました。貴方の案を信じましょう」
「ありがとうございます」
「ですが、決して無茶だけはしないように。我々も出来る限りのバックアップはしますが、自分を殺すようなことはしないように。これは貴方が女神の巫女だからではなく、貴方自身のためにです」
「はい、ありがとうございます」
今日はミズガルーズで休んでくださいと提案され、一行はその言葉に甘えることにした。宿の部屋まで手配してくれたらしく、頭が下がりっぱなしだ。話や報告が終わり、部屋を出る。廊下を歩いていたレイは、エイリークやラントから叱責を受けた。
「何考えてんだよレイ!お前、自分を囮になんて!」
「そうだよ!どうしてあんなこと言ったのさ?」
「だって、それくらいしか今のところ対策がないのも事実だろ?それに俺は自分が連れ去られるなんて、これっぽっちも思ってない。だって、みんながいるだろ?」
ニヤリと笑って、エイリークたちを見る。
「俺は一人じゃないってわかってるから、こうして俺は自分の背中をみんなに預けたいって思えるんだ。勝手に決めたのは悪いと思ってるけど、それでもこれが俺にできることなら、それに全力で取り組むだけだよ」
そう答えれば、エイリークたちは毒気が抜かれたかのように、肩の力を抜く。
「まったく、レイってば調子いいんだから」
「へへ、悪いな」
「でも、本当に無理はなさらないでくださいね」
「ああ、ありがとケルス」
そのまま宿屋へ向かおうとしたが、ゾフィーに呼び止められる。エイリークたちに先に宿屋で待っていてほしい旨を伝え、レイはゾフィーのところへ向かった。
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