61 / 142
第二話
第五十節 事件は不穏を残す
しおりを挟む
「おのれ……」
ユグドラシル教団本部地下牢で、男は一人毒づく。ユグドラシル教団の崩壊を目論み、その計画を阻止された人物──レーヌング枢機卿ことアディゲン。彼の計画を阻止したのは、ユグドラシル教団が探し求めていた存在である女神の巫女と、その仲間たちである。
本来ならとっくに女神の巫女は殺せていたはずだったと、彼は表情を歪める。記憶をなくし、力を解放できない女神の巫女はアディゲンにとっても、ヴァナル──アディゲンが創立した反ユグドラシル教団の集団──にとっても、取るに足らない存在だったはずだった。
それがどうしたことか。毎度刺客を送り込むも悉く失敗に終わり、手をこまねいている間に当の女神の巫女は、力と記憶を取り戻してしまった。
最終手段と教皇ウーフォの殺害を企てるも、あえなく失敗。そして最終的には、彼自身の融合の力を使いすぎた反動や反撃に遭い、その身を拘束された。
アディゲンへの判決はまだ言い渡されていない。判決の意見が分かれているようだと、地下牢の見張り番の騎士たちの噂を耳にしていた。まだ機会はあると知るや否や、アディゲンは諦めの感情を捨てた。
必ずや自らが教団の頂点に君臨し、内側から教団を、女神崇拝の風習を崩壊させ世界を導くと希望する。幸いあの戦いの折に、彼は若い肉体を得た。力を取り戻しさえすれば、まだいくらでも手はあるのだと──。
「ほう、それはこちらとしても聞き捨てなりませんな」
アディゲンは、突如背後から聞こえた声に驚く。この地下牢に、隠し通路なんてものはない。間違っても、己が入れられている地下牢の内側に入ることなど不可能だ。
門番の騎士は何をしていると前を見てみれば、とうの前に殺されていたのか。微塵も動かない騎士たちが、地面に伏していた。恐る恐る振り返れば、まるで殺気を感じない、穏やかさを身に纏っているかのような中年の男が座していた。
「お初にお目にかかりますな、アディゲンとやら。私はある方に仕える身。この度は主の命により、参上した次第にございます」
「なん、だと……?」
「いやはや、それにしても聞いていたよりも大分お若くいらっしゃる。自身の融合の力で若人と混ざり合ったのか、なんとも中身が汚くおいでだ」
呵々、と楽しそうに笑う男。そんな男にアディゲンは、その男に恐怖していた。
男はまるで穏やかな人物であるのにもかかわらず、隙という隙が全く存在していないのだ。
そのうえ彼は、アディゲンが融合の力を使って、自らを若返りさせたことを一瞬で見抜いた。彼の主という人物が皆目見当がつかないが、己を知っている人物であることは明らかだろう。
「老害には大人しく眠っていただきたい、と。我が主からの言伝です」
「な、なんだと貴様……!」
「おや、武者震いですかな。それとも、恐怖からですかな?」
「黙れッ!私を愚弄するでないわ……!!」
アディゲンが吠える。そんな自分を前にしても、男は柳に風といった様子で気にも留めずに話を進めていく。
「おや、これは怖い。弱い獣ほどよく吠えるとは、よい言葉もありますな」
男はゆっくりとした所作で立ち上がると、腰に下げていた武器に手をかける。その直後、アディゲンは恐怖で声すら出せなくなった。
武器に手をかけた瞬間から、目の前の男から研ぎ澄まされた殺気が溢れ出たのだ。それまで纏っていた穏やかさという名のヴェールが、あっという間に弾け飛んでしまったかのよう。
「生きている間は、暗殺などしたことがなかったが。しかし安心召されよ、我が一太刀は悉くを切り捨てる神風なれば。では、御免」
男は低く構えてから、己の武器でアディゲンの首を一閃する。一瞬の早業であり、男が武器を納刀するとアディゲンの頭部がゴトリと落ちた。
「ん?暗殺の前に物申しては、暗殺の意味がなくなってしまうな」
後には静寂だけが包まれていた。
******
エイリークたちはその日、ユグドラシル教団本部の応接室に呼ばれていた。
レイを伝って、教皇ウーフォから直接知らせたいことがあると、聞かされたのだ。アディゲンへの処罰が決まったのだろうか。そう考えながら入った応接室。
中にはすでに教皇ウーフォとレイがいたが、二人とも重い表情をしていた。ただ事ではないと、感じることができる。ひとまず座るように促され、各々は席に着く。しばしの沈黙の後、最初に口を開いたのは教皇ウーフォだ。
「……其方たちには、伝えねばならんと思ってな」
「あの、何があったんですか……?」
エイリークの質問に、やや時間を要してからレイが答えた。
「……アディゲンが、殺された」
彼の答えに、エイリークたちに衝撃が走る。レイが言うには、こうだった。
ユグドラシル教団本部の地下牢にて拘束していたアディゲンが、何者かによって殺害されていたところを、巡回で来た門番の騎士が発見したらしい。アディゲンの他にもその日、門番をしていた騎士の二人も死体となって、発見されたのだという。
地下牢に隠し通路の類は一切なく、また抜け穴などもない。地下牢の鍵に破砕された後はなく、地面にも掘られたような形跡はなかったそうだ。それなのに朝の巡回に来てみれば、門番の騎士は心臓を一突きされて即死。アディゲンはその首がすっぱりと切り落とされた無残な状態で、発見されたのだと。
報告を受けた教皇ウーフォは、レイにその未来が視えていたか尋ねたとのこと。しかしレイの女神の巫女の力では、近い未来を見ることができない。今現在に繋がる未来を予測できる力を持つのは、ヴェルザンディ──現在の時間軸を司る運命の女神──の力を受け継いだ女神の巫女、スグリだけである。
教皇ウーフォが悔しげに呟く。
「アディゲンには、まだ聞かねばならんことがあった」
「……もしかして、グレイプニルの件ですか?」
「左様。あれの入手経路などが、まるで不透明なままだったのだ。それを聞き出そうとしていたのに、殺されてしまうとは」
「まだユグドラシル教団内部に造反者がいて、意見の対立で仲間割れしたとか?」
ラントの意見に、レイが反論する。そう考えるのは難しい、と。
事件の後、教団は再び一から教団員全員と教団騎士たち全員の身辺調査や、聞き取りを行ったというのだ。その中でヴァナルに属していた人物は、幸いなことに一人たりともいなかったらしい。
さらに、地下牢のアディゲンに面会に赴いたのは教皇ウーフォと、レイがほとんどだったという。その他の人物が訪ねる場合は、教皇の許可書を必要としたらしい。そんな面倒をかけて、アディゲンに会いに行こうとする人物は、いなかったのである。
なぜレイがと疑問に思ったが、教皇ウーフォは教団内にだけは、レイが女神の巫女であることを公表したのだ。それはレイも了承済みだと。
「レイは、それでいいの?」
「うん。どうせ、いつかは言わなきゃならなかったんだし、納得してるさ」
「そう?」
「ああ。だから気にすんなって」
「……うん、わかった」
まだ話は終わらない、と告げられる。なんだろうかと身構えていると、教皇ウーフォが懐から一通の書状を取り出す。封をしていた蝋に刻まれていたのは、大国ミズガルーズの紋章だった。シグ国王直筆のサインが記された書状。
「今朝方これが届いたのだ。内容を確認してみるがよい」
教皇ウーフォから渡された封筒を開けて、中身の書状を確認してみる。そこにはシグ国王の文字で、グレイプニルについての情報が掴めたから、一度国に訪ねてきてほしいと記されてあった。
喜ばしいことのはずなのに、教皇ウーフォはもちろんのこと、レイの表情は暗く、重いものだ。不思議に思い尋ねてみれば、二枚目の書状を見てほしいと説明された。
いったい何が書かれてあるのだろう。そこまで深く考えずに見てみれば、目を疑うような文字がそこに並んでいた。
『我が軍のヤク・ノーチェ魔術長ならびにスグリ・ベンダバル騎士団長の消息不明。ついては至急、救援を求む』
その文字は、エイリークたちに衝撃を与えるには十分すぎる内容であった。
第二話 END
ユグドラシル教団本部地下牢で、男は一人毒づく。ユグドラシル教団の崩壊を目論み、その計画を阻止された人物──レーヌング枢機卿ことアディゲン。彼の計画を阻止したのは、ユグドラシル教団が探し求めていた存在である女神の巫女と、その仲間たちである。
本来ならとっくに女神の巫女は殺せていたはずだったと、彼は表情を歪める。記憶をなくし、力を解放できない女神の巫女はアディゲンにとっても、ヴァナル──アディゲンが創立した反ユグドラシル教団の集団──にとっても、取るに足らない存在だったはずだった。
それがどうしたことか。毎度刺客を送り込むも悉く失敗に終わり、手をこまねいている間に当の女神の巫女は、力と記憶を取り戻してしまった。
最終手段と教皇ウーフォの殺害を企てるも、あえなく失敗。そして最終的には、彼自身の融合の力を使いすぎた反動や反撃に遭い、その身を拘束された。
アディゲンへの判決はまだ言い渡されていない。判決の意見が分かれているようだと、地下牢の見張り番の騎士たちの噂を耳にしていた。まだ機会はあると知るや否や、アディゲンは諦めの感情を捨てた。
必ずや自らが教団の頂点に君臨し、内側から教団を、女神崇拝の風習を崩壊させ世界を導くと希望する。幸いあの戦いの折に、彼は若い肉体を得た。力を取り戻しさえすれば、まだいくらでも手はあるのだと──。
「ほう、それはこちらとしても聞き捨てなりませんな」
アディゲンは、突如背後から聞こえた声に驚く。この地下牢に、隠し通路なんてものはない。間違っても、己が入れられている地下牢の内側に入ることなど不可能だ。
門番の騎士は何をしていると前を見てみれば、とうの前に殺されていたのか。微塵も動かない騎士たちが、地面に伏していた。恐る恐る振り返れば、まるで殺気を感じない、穏やかさを身に纏っているかのような中年の男が座していた。
「お初にお目にかかりますな、アディゲンとやら。私はある方に仕える身。この度は主の命により、参上した次第にございます」
「なん、だと……?」
「いやはや、それにしても聞いていたよりも大分お若くいらっしゃる。自身の融合の力で若人と混ざり合ったのか、なんとも中身が汚くおいでだ」
呵々、と楽しそうに笑う男。そんな男にアディゲンは、その男に恐怖していた。
男はまるで穏やかな人物であるのにもかかわらず、隙という隙が全く存在していないのだ。
そのうえ彼は、アディゲンが融合の力を使って、自らを若返りさせたことを一瞬で見抜いた。彼の主という人物が皆目見当がつかないが、己を知っている人物であることは明らかだろう。
「老害には大人しく眠っていただきたい、と。我が主からの言伝です」
「な、なんだと貴様……!」
「おや、武者震いですかな。それとも、恐怖からですかな?」
「黙れッ!私を愚弄するでないわ……!!」
アディゲンが吠える。そんな自分を前にしても、男は柳に風といった様子で気にも留めずに話を進めていく。
「おや、これは怖い。弱い獣ほどよく吠えるとは、よい言葉もありますな」
男はゆっくりとした所作で立ち上がると、腰に下げていた武器に手をかける。その直後、アディゲンは恐怖で声すら出せなくなった。
武器に手をかけた瞬間から、目の前の男から研ぎ澄まされた殺気が溢れ出たのだ。それまで纏っていた穏やかさという名のヴェールが、あっという間に弾け飛んでしまったかのよう。
「生きている間は、暗殺などしたことがなかったが。しかし安心召されよ、我が一太刀は悉くを切り捨てる神風なれば。では、御免」
男は低く構えてから、己の武器でアディゲンの首を一閃する。一瞬の早業であり、男が武器を納刀するとアディゲンの頭部がゴトリと落ちた。
「ん?暗殺の前に物申しては、暗殺の意味がなくなってしまうな」
後には静寂だけが包まれていた。
******
エイリークたちはその日、ユグドラシル教団本部の応接室に呼ばれていた。
レイを伝って、教皇ウーフォから直接知らせたいことがあると、聞かされたのだ。アディゲンへの処罰が決まったのだろうか。そう考えながら入った応接室。
中にはすでに教皇ウーフォとレイがいたが、二人とも重い表情をしていた。ただ事ではないと、感じることができる。ひとまず座るように促され、各々は席に着く。しばしの沈黙の後、最初に口を開いたのは教皇ウーフォだ。
「……其方たちには、伝えねばならんと思ってな」
「あの、何があったんですか……?」
エイリークの質問に、やや時間を要してからレイが答えた。
「……アディゲンが、殺された」
彼の答えに、エイリークたちに衝撃が走る。レイが言うには、こうだった。
ユグドラシル教団本部の地下牢にて拘束していたアディゲンが、何者かによって殺害されていたところを、巡回で来た門番の騎士が発見したらしい。アディゲンの他にもその日、門番をしていた騎士の二人も死体となって、発見されたのだという。
地下牢に隠し通路の類は一切なく、また抜け穴などもない。地下牢の鍵に破砕された後はなく、地面にも掘られたような形跡はなかったそうだ。それなのに朝の巡回に来てみれば、門番の騎士は心臓を一突きされて即死。アディゲンはその首がすっぱりと切り落とされた無残な状態で、発見されたのだと。
報告を受けた教皇ウーフォは、レイにその未来が視えていたか尋ねたとのこと。しかしレイの女神の巫女の力では、近い未来を見ることができない。今現在に繋がる未来を予測できる力を持つのは、ヴェルザンディ──現在の時間軸を司る運命の女神──の力を受け継いだ女神の巫女、スグリだけである。
教皇ウーフォが悔しげに呟く。
「アディゲンには、まだ聞かねばならんことがあった」
「……もしかして、グレイプニルの件ですか?」
「左様。あれの入手経路などが、まるで不透明なままだったのだ。それを聞き出そうとしていたのに、殺されてしまうとは」
「まだユグドラシル教団内部に造反者がいて、意見の対立で仲間割れしたとか?」
ラントの意見に、レイが反論する。そう考えるのは難しい、と。
事件の後、教団は再び一から教団員全員と教団騎士たち全員の身辺調査や、聞き取りを行ったというのだ。その中でヴァナルに属していた人物は、幸いなことに一人たりともいなかったらしい。
さらに、地下牢のアディゲンに面会に赴いたのは教皇ウーフォと、レイがほとんどだったという。その他の人物が訪ねる場合は、教皇の許可書を必要としたらしい。そんな面倒をかけて、アディゲンに会いに行こうとする人物は、いなかったのである。
なぜレイがと疑問に思ったが、教皇ウーフォは教団内にだけは、レイが女神の巫女であることを公表したのだ。それはレイも了承済みだと。
「レイは、それでいいの?」
「うん。どうせ、いつかは言わなきゃならなかったんだし、納得してるさ」
「そう?」
「ああ。だから気にすんなって」
「……うん、わかった」
まだ話は終わらない、と告げられる。なんだろうかと身構えていると、教皇ウーフォが懐から一通の書状を取り出す。封をしていた蝋に刻まれていたのは、大国ミズガルーズの紋章だった。シグ国王直筆のサインが記された書状。
「今朝方これが届いたのだ。内容を確認してみるがよい」
教皇ウーフォから渡された封筒を開けて、中身の書状を確認してみる。そこにはシグ国王の文字で、グレイプニルについての情報が掴めたから、一度国に訪ねてきてほしいと記されてあった。
喜ばしいことのはずなのに、教皇ウーフォはもちろんのこと、レイの表情は暗く、重いものだ。不思議に思い尋ねてみれば、二枚目の書状を見てほしいと説明された。
いったい何が書かれてあるのだろう。そこまで深く考えずに見てみれば、目を疑うような文字がそこに並んでいた。
『我が軍のヤク・ノーチェ魔術長ならびにスグリ・ベンダバル騎士団長の消息不明。ついては至急、救援を求む』
その文字は、エイリークたちに衝撃を与えるには十分すぎる内容であった。
第二話 END
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
Fragment-memory of future-
黒乃
ファンタジー
小説内容の無断転載・無断使用・自作発言厳禁
Repost is prohibited.
무단 전하 금지
禁止擅自转载
平和な生活を送っていた半人前の魔術師レイはある日、まるで予知夢のような不思議な夢を見る。その夢の正体を突き止めるため、謎に引き込まれるように彼は旅に出ることにした。
旅の最中で異種族の少年エイリークと出会い、物語は大きく動くことになる。
W主人公で繰り広げられる冒険譚のような、RPGを彷彿させるようなストーリーになります。
バトル要素、BL要素あり。転生転移ものではありません。
Copyright 2017 黒乃(@2kurono5)
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
千年王国 魔王再臨
yahimoti
ファンタジー
ロストヒストリーワールド ファーストバージョンの世界の魔王に転生した。いきなり勇者に討伐された。
1000年後に復活はした。
でも集めた魔核の欠片が少なかったせいでなんかちっちゃい。
3人の人化した魔物お姉ちゃんに育てられ、平穏に暮らしたいのになぜか勇者に懐かれちゃう。
まずいよー。
魔王ってバレたらまた討伐されちゃうよー。
百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜
幻月日
ファンタジー
ーー時は魔物時代。
魔王を頂点とする闇の群勢が世界中に蔓延る中、勇者という職業は人々にとって希望の光だった。
そんな勇者の一人であるシンは、逃れ行き着いた村で村人たちに魔物を差し向けた勇者だと勘違いされてしまい、滞在中の兵団によってシーラ王国へ送られてしまった。
「勇者、シン。あなたには魔王の城に眠る秘宝、それを盗み出して来て欲しいのです」
唐突にアリス王女に突きつけられたのは、自分のようなランクの勇者に与えられる任務ではなかった。レベル50台の魔物をようやく倒せる勇者にとって、レベル100台がいる魔王の城は未知の領域。
「ーー王女が頼む、その任務。俺が引き受ける」
シンの持つスキルが頼りだと言うアリス王女。快く引き受けたわけではなかったが、シンはアリス王女の頼みを引き受けることになり、魔王の城へ旅立つ。
これは魔物が世界に溢れる時代、シーラ王国の姫に頼まれたのをきっかけに魔王の城を目指す勇者の物語。
終焉の謳い手~破壊の騎士と旋律の戦姫~
柚月 ひなた
ファンタジー
理想郷≪アルカディア≫と名付けられた世界。
世界は紛争や魔獣の出現など、多くの問題を抱え混沌としていた。
そんな世界で、破壊の力を宿す騎士ルーカスは、旋律の戦姫イリアと出会う。
彼女は歌で魔術の奇跡を体現する詠唱士≪コラール≫。過去にルーカスを絶望から救った恩人だ。
だが、再会したイリアは記憶喪失でルーカスを覚えていなかった。
原因は呪詛。記憶がない不安と呪詛に苦しむ彼女にルーカスは「この名に懸けて誓おう。君を助け、君の力になると——」と、騎士の誓いを贈り奮い立つ。
かくして、ルーカスとイリアは仲間達と共に様々な問題と陰謀に立ち向かって行くが、やがて逃れ得ぬ宿命を知り、選択を迫られる。
何を救う為、何を犠牲にするのか——。
これは剣と魔法、歌と愛で紡ぐ、終焉と救済の物語。
ダークでスイートなバトルロマンスファンタジー、開幕。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる