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 なら和樹からモーションを掛ければ良いのだが、それはもう実施している。

 重たい物を持ってパワーを誇示してみたり、妙に薄着をして筋肉を見せてみたり。

 真綾は「すごーい」「筋肉だ~」と反応はしてくれるものの、セクシャルなイメージには繋がらないのかそれっきりである。

 胸の谷間を見せて男を釣る浅はかな女になった気分、和樹は己を恥じてそっちのアピールをやめた。


 次に和樹は、心理方面からのアプローチに切り替えてみた。

 頼れる大人の男っぷりを見せて、包容力を匂わせて。

 真綾は涙袋を膨らませて「きゅん」となるものの、せいぜいキス止まりであった。

 これがもし自宅のリビングでまったりタイムで行われれば、そのままベッドルームへ雪崩なだれ込むことも容易い。

 しかしそもそも、この二人は長時間二人きりになれる場所が無いのである。

 ちぐはぐな仕事時間と休日、自宅の居間は常に父か母が居る。

 和樹の私室はあれども居間の真上で、古い建物だから振動などはダイレクトに伝わる。

 前回のようにホテルに、と思うが、車を替えたりする手間と時間を鑑みると窮屈になる。

 少しの時間でも繋がれるが、それでは「ヤって満足」な最低男になってしまいそうで恐い。

 毎回家の車を借りていたら用途がバレてしまうだろうし、キッチンカーでラブホテルの駐車場に出入りする勇気が和樹には無い。

 繁華街のホテルなら、と考えもするが自転車や徒歩あるいはバスで出るのも時間が掛かる。

 「そうまでしてシたい」気持ちが真綾の気持ちと合致するかも分からない。

 そしてたまにチャンスがあっても真綾の体調が合わなかったりする。

 しかも真綾は仕事をバンバン入れて稼ごうと躍起になっているので、簡単に止めることも出来ない。

 早く返済してわだかまりを失くしたい、その気持ちも分かるだけに和樹も辛い。

 結局は借金で自分の首を絞めている…和樹が出した金なのに、だ。


 挨拶や行ってきますのキスハグだけでも気持ちは満たされる。

 しかして、真綾の可愛さと豊満な肢体を知ってしまった今、積極的に触れ合いたいと思うことは決してワガママにはならないだろう。

 なんせ婚約者だし、好き合っているのだ。

 和樹は男らしくを推してみたもののそこまで振り切れなかったし、どちらかと言えば「甘えたい」欲求が増して来ている。

「(真綾の胸に埋もれたい…ハグだけでも良いけど…もっとガッツリ、挟まれたり…あー…触りてぇー)」

 日々膨らむ欲求、言い出せないもどかしさ。

 せめて年越しくらいは二人きりで過ごせぬものかと…和樹は頭を悩ませている。
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