85 / 98
5
85
しおりを挟むなら和樹からモーションを掛ければ良いのだが、それはもう実施している。
重たい物を持ってパワーを誇示してみたり、妙に薄着をして筋肉を見せてみたり。
真綾は「すごーい」「筋肉だ~」と反応はしてくれるものの、セクシャルなイメージには繋がらないのかそれっきりである。
胸の谷間を見せて男を釣る浅はかな女になった気分、和樹は己を恥じてそっちのアピールをやめた。
次に和樹は、心理方面からのアプローチに切り替えてみた。
頼れる大人の男っぷりを見せて、包容力を匂わせて。
真綾は涙袋を膨らませて「きゅん」となるものの、せいぜいキス止まりであった。
これがもし自宅のリビングでまったりタイムで行われれば、そのままベッドルームへ雪崩れ込むことも容易い。
しかしそもそも、この二人は長時間二人きりになれる場所が無いのである。
ちぐはぐな仕事時間と休日、自宅の居間は常に父か母が居る。
和樹の私室はあれども居間の真上で、古い建物だから振動などはダイレクトに伝わる。
前回のようにホテルに、と思うが、車を替えたりする手間と時間を鑑みると窮屈になる。
少しの時間でも繋がれるが、それでは「ヤって満足」な最低男になってしまいそうで恐い。
毎回家の車を借りていたら用途がバレてしまうだろうし、キッチンカーでラブホテルの駐車場に出入りする勇気が和樹には無い。
繁華街のホテルなら、と考えもするが自転車や徒歩あるいはバスで出るのも時間が掛かる。
「そうまでしてシたい」気持ちが真綾の気持ちと合致するかも分からない。
そしてたまにチャンスがあっても真綾の体調が合わなかったりする。
しかも真綾は仕事をバンバン入れて稼ごうと躍起になっているので、簡単に止めることも出来ない。
早く返済して蟠りを失くしたい、その気持ちも分かるだけに和樹も辛い。
結局は借金で自分の首を絞めている…和樹が出した金なのに、だ。
挨拶や行ってきますのキスハグだけでも気持ちは満たされる。
しかして、真綾の可愛さと豊満な肢体を知ってしまった今、積極的に触れ合いたいと思うことは決してワガママにはならないだろう。
なんせ婚約者だし、好き合っているのだ。
和樹は男らしくを推してみたもののそこまで振り切れなかったし、どちらかと言えば「甘えたい」欲求が増して来ている。
「(真綾の胸に埋もれたい…ハグだけでも良いけど…もっとガッツリ、挟まれたり…あー…触りてぇー)」
日々膨らむ欲求、言い出せないもどかしさ。
せめて年越しくらいは二人きりで過ごせぬものかと…和樹は頭を悩ませている。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる