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 体を起こしては倒し、抱き合っては張り付けて、二人は長く繋がっていた。

 和樹は女性をイかせる自信も経験も無かったが、コンコンと具合を尋ねているうちに兆しのようなものが返って来た。

「真綾、イきそうなんじゃない?すげー締まってる」

「そぉなの?分がんない、どぉすれば、恐い、」

「俺に任せろ、一緒に、イキてぇな、真綾」


 ぐっちゃぐっちゃと粘る音が響き、体液の匂いがふわっと舞う。

 頬を寄せ合って汗をも分け合って、互いの名を甘く叫ぶ。

 真綾の感度が良いのか和樹の熱量が伝わったのか、始めてから20分も経たずに双方に果てが見える。

「あの、あッ♡ひゃ、アっ♡」

「(そろそろか?)」

「和樹ぐんッ、なんか、なんかァ、」

「あー、俺もイきそ、ごめん、先にイくかも」

「イって、良いからッ♡なんか、おかしいの、不思議、へん、ぞわぞわ、気持ちいのに、こわい、こわい、」

 先ほど達した時のように、食い縛った真綾の歯がガチガチ鳴る。

 吐息と喘ぎ声が隙間から漏れてはだらしなく開いて、また閉じる。

 辛抱しているのか知らないが、余計な労力で快感を阻害せずとも良かろうに…寸前の和樹は真綾を良くしてやりたいものの、自分の快感も大事にしてやりたく思いやれない。

 自分の良いように腰を振って、真綾の手をベッドに縫い付けて。

 和樹には当然だが女性のイく感覚など理解は出来ず、真綾の言うマイナスイメージが果たして真実なのか分からない。

 未経験だから恐いのか、それとも嫌悪感から来るものなのか。

 生理的に無理なら止めてやらねば、しかしもうここに来て自分の身体が制御できない。


「真綾、ごめん、後で、もっと謝るから、真綾で、イキてぇッ…真綾、キスしよ、ん、真綾、可愛い」

割といつでもクールで淡々としている和樹の、切羽詰まった表情に真綾のハートがズキュンと撃ち抜かれる。

 セックスの経験はあるが、未熟なものばかりでここまで愛されたことは無い。

 もしもまだ角田と交際が続いていたら、今のこの幸せを知らずに抑圧された生活を送っていたら。

 ブラック会社に勤めて、感情を殺して暮らしていたら。

「かずき、くんッ…」

「ん、真綾、おあ、キッツ…あ、あ、もー出る、真綾、」


 ラストスパートは一層深く速く、和樹の頬から真綾のひたいへと汗が落ちる。

 精一杯の頑張りを、自分のために尽くされるこの作業を、特等席で鑑賞できる堪らない優越感。

 だくん、と真綾のはらが疼く。

「和樹くん、イっ…ちゃい、そォ、」

「そか、無理すんな、後で、指ででも、してやるから、焦んな、俺がもう、たねぇんだ、」

「違う、もぉ、もぉッ♡♡♡」


 真綾の腰が、ぶわと浮いて和樹の腹を跳ね上げる。

 一定の速さと深さでキープされた快感が、一線を超えた。

 途端、一気に狭くなるみちに和樹は絞られ…

「おわッ…まぁ、やッ⁉︎あ、うわ、」

と意思に反して達してしまった。
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