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「真綾、どうすれば満足するんだ。どうして欲しい?」

「…それを、和樹くんが考えるんだよぅ、いつまで受け身なの、押したのは私だけど、和樹くんだって押して来てよぉ」

「だから、ここに誘っただろ」

「義務みたいに言わないで、最低条件みたいにこなさないで…」

「はぁ?」


自分の意志でホテルにまで来たのに、こう言われては気分が悪い。

「愛情、示して、和樹くん、私に『好き』って、言ってくれてない」

「…そう?いや、そんなはずは」

「大切は聞いた、でも『好き』は聞いてない!」

 湿ったバスローブの胸に、柔らかい体がぶつかる。

 えぐえぐ子供のように泣きじゃくる成人女性に、和樹の心身は混迷を極める。

「同じだろ」

「違うの、言って欲しいの!」

「…あんまり、押し付けんなよ」

「あ…ごめんなさい…痛かった?」

「(ギャンギャンなの、バレるだろ…)」


 真綾は甘い言葉に弱く、分かりやすく愛情を示されれば安心する。

 その相手をしてやるのは真綾を舐めることにならないのか、和樹は渋い顔で頬を掻く。

 肉に当てられて下半身はスタンバイ状態だ。

 あとは気持ちの折り合いさえ付けば、簡単にひとつになれるだろう。

「(こんなのニュアンスで理解していくもんだろ、説明させんなよ…辱めだろ)」

和樹は真綾をベッドに座らせて、自分も隣に腰を下ろす。

 沈むマットレスにゾワッとしたのか、真綾はシーツを触って口をムズムズさせた。


「真綾、」

 「うん?」と返事が来る前に、和樹はその唇にフタをする。

 フェイスラインに指を添えて下に下に撫で下ろすと、真綾の肩からスッと力が抜けた。

 唇を離して首筋に付けて、すんすん匂いを嗅いでギュッと抱き締める。

 そこからパンダが大きなタイヤに抱き付くように、体と腕で包み込んで据わりの良い位置で脚を固めた。
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