62 / 98
4
62
しおりを挟む「真綾、今度指輪買いに行こう。俺は調理するから仕事中は着けられないけど…それか、ネックレスでも良いか?」
「それ良いね。ピアスでも良いよ、お揃いなら何でも嬉しい」
「ん…真綾って、欲が無いな。高い物は買ってやれないけど、おねだりしても良いんだぞ?」
謙虚で控えめなのは美徳だが、自信が無いのは褒められない。
和樹は時計を確認して、ロコモコ丼用のハンバーグの焼き作業に入る。
「…そう?」
「うん、真綾は物分かりが良過ぎるな。幼なげなんだけど、ワガママは言わないし、妙に諦めが良いというか…何か欲しい物とか無いのか?」
「んー…」
真綾は内心、「もう100万円も使ってもらってるから、これ以上は図々し過ぎるよ」と思っていた。
けれど終わった話を蒸し返すのも悪いので、他の案を考える。
ジュージューと脂の跳ねる音が聞こえ出し、香ばしい匂いに釣られて人が足を止める。
今日はお馴染み駅前広場で、地元企業の生産品や特産物を紹介するマルシェが開かれている。
和樹は飲食店のひとつとして参加しており、普段のロコモコ丼よりグレードアップしたメニューを提供する予定だ。
「ぼちぼち客入れ始まるよな、準備中の札外すか…真綾、注文取れるか?やっぱり代わろうか」
「ううん、やりたいから…頑張る」
度胸はあれど対人スキルの低い真綾が、どこまで頑張れるのか。
受付が無理なら客引きも無理だろうし、調理を任せられるほど練習をさせていない。
これも試練のひとつとして張り切ってもらおう、和樹は調理中につき触れないので膝で真綾の脚を突いた。
「良い子だ。気張れよ」
「うん…あ、和樹くん、欲しいもの、あった」
「ん?何よ」
目玉焼きの準備にかかる和樹は、腰を屈めて真綾の口元に耳を寄せる。
真綾はそこに
「婚約したんだし、私、和樹くんが欲しい♡」
と囁いて、フッと息を吹き込んだ。
「どわぁ」
「物は要らないから…なんちゃって、冗談だよ♡ふふっ…開店でーす!いらっしゃいませー!」
「ま、真綾…?」
「店長、ロコモコ丼2つ入りまーす!」
「あ、はいはい、2つ、」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる