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しおりを挟む「…真綾、もしかしてホテル初めて?」
「あ、うん…こんな感じなんだね、中は案外普通…ギラギラしてないね」
初めてのラブホテル訪問に興奮する真綾は、室内の全ての扉と引き出しを開いて確認をする。
冷蔵庫、アメニティの飲み物類、大型モニターに音響スイッチ。
「…変なとこ触らないようにな。飲み物も高いから」
「うんー」
「飲みたいならそこにメニューあるから頼んでやるよ」
「ううん、見たいだけ…わ、ここ窓っぽいけど窓じゃない、」
「…ゆっくりしてな、風呂入って来るから」
和樹は呆れ半分で服を脱ぎ、先にシャワーを浴びることにした。
「(緊張が振り切れて幼稚な行動になってるな…大丈夫かな…)」
さてだいぶん前にも考えたことだが、和樹はいまだに真綾に対して性的な魅力を感じたことが無い。
対峙した時に興奮できるのか、抱く気になるのか。
裸を見れば無条件で勃つだろうが、前段階でこうもフラットだと自信が無くなってしまう。
和樹はこれまでに恋人は2人ほどいた。
いずれも歳上で、歳下と付き合うのは真綾が初めてだ。
さらには2人とも、色っぽい大人なお姉さんだった。
それは和樹自身が若かったからそう感じたのかもしれないが、いずれにしても真綾とは異なるタイプの女性だった。
「(前カノとは、普通に服着てても興奮したんだよな…)」
普通の日常生活の中で不意に匂う色気、ひとつ前の恋人はそれがふんだんにある女性だった。
抱き合うだけで軽率に勃ったし、当時の和樹は成人していたが「俺はなんてガキなんだ」と自省したものだ。
それが真綾だと、まったり過ごすことが多くてセクシャルなイメージが湧かない。
髪が揺れたり掻き上げる仕草に色気は感じたものの、それをオカズにするほど下半身への訴えかけは無かった。
「(ハグは何度もしてるけど、勃ったことないな…でも裸を触れば、そりゃ…でもなぁ、)」
和樹は正直、真綾の体というものを分析したことが無い。
グラマーだとも思わないし、小柄で痩せ型で幼児体型だと思っている。
抱き締めても肉肉しさは感じないし、考えれば考えるほど自信が薄くなってきた。
「(いや、どんな体型だろうと、好きな女なんだから興奮するはず…ヘタってるとこなんか見せられるか…)」
どうしても角田と比べられてしまうのだから、大人で紳士的な抱き方をしてやりたい。
そのためには堂々たる雄々しさを見せたく…和樹は念入りにマッサージするようにソコも磨く。
歳上らしく雄々しく、優しくそして絶対的に優位でありたい。
和樹は真綾より強くいようと気張り、自分に暗示をかけた。
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