4 / 98
1
4*
しおりを挟む「お兄さん、よろしければ、名刺を頂けませんか?」
女の子は改めて言葉を飾り、和樹を見つめる。
「良いけど……ほい、萩原和樹と申します」
和樹は、尻ポケットの財布から1枚取り出して両手で差し出した。
商工会青年部の兼ね合いで、一応作っているのだ。
「頂戴します……わ、私、白銀真綾と申します、どうぞ」
「ありがとう。キレイな名前だね」
「え、あの、そんな、褒められても…嬉しくないし!でもありがとうございました!」
真綾はぶんと勢い付けて頭を下げる。
ふんわりしたショートボブの髪が乱れて、それをあたふたと直す仕草が初々しくて可愛らしいと和樹は感じた。
ツンデレなのか、デレざるを得ないツンは見ていて可笑しい。
「…あと、何枚配るの?」
「あと……10枚くらいは…」
「いけそう?俺で何枚目?」
「いちまいめです…」
だろうな、和樹は大きなお世話と思いながらもすぐ後ろを通ろうとしたビジネスマンに声を掛ける。
「すみません、少しお時間よろしいでしょうか!」
「え?なんですか、」
「この子と、名刺交換してやってくれませんか」
「はぁ、」
和樹はしてくれそうな人を見つけては、小走りで近付いて声を掛けた。
断られることもあるが仕方なし、真綾もめげずに声を掛ける。
「あの、名刺、頂けませんか…」
「白銀さん、声が小さいよ、すみませーん、名刺交換して頂けませんかぁ!これくらい、出さないと聞こえないよ!」
「は、はいっ!」
「白銀さん、こちらの方、交換して下さるって!」
「ありがとうございます!」
「すみませーん、ご協力お願いします!名刺交換して下さる方、いらっしゃいませんかぁ!」
「お、お願いします!」
駅前で始めた名刺交換は小さな渦巻きの中心となり、和樹の大声のおかげもあってすぐに人が集まった。
エプロンを付けた和樹はすぐそこのキッチンカーの店員であることが推測されたし、怪しがる人が少なかったようだ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる