お嬢の番犬 ブルー

茜琉ぴーたん

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「お嬢が産院から帰ってきて、ほんまにずぅと泣いとってな…お前『抱いてやりたい』てタイミング見計らってな、」

「しやで…通りがかったフリして抱いたった…『コイツが親や』って赤ん坊でも分かるんとちゃう?ピタッと泣き止んでんもん…ほんまに…可愛いかったわ…」


 婿殿は元々、娘がある程度大きくなったら垣内かいちを世話役に付けようと考えていた。

 それは事情を知る者で固めたいから、なにかあれば命を張ってでも助けるだろうから、という理由であった。

 そして育ってきた娘に実父のDNAが濃く現れたとしても、「育ての親に似るものだ」と言い訳ができるように…しかしみやびを泣き止ませた相性は予想以上、予定より早く世話役に就任させた、というわけである。


「実際どやろ?旦那さんはお嬢のこと愛してると思うか?神石じんせきグループが目的で婿入りしたんちゃうの?奥様のことも踏み台くらいに思ってたんと違うか?」

「和久、滅多なことを言うなて…分からん、分からんけどや…一番黒いのは旦那さんよな…保身ばっかりや」


 明後日は冴子の十三回忌、不思議と昔話に花が咲いてしまった。
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