お嬢の番犬 ブルー

茜琉ぴーたん

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 2区画は離れた位置のコインパーキングに着いた和久わくはドーナツを受け取りプールバッグを彼女へ渡して、

「おやっさん、手洗い貸してな、」

と隣接の食事処の裏口から入りトイレを借りる。

「始末してき、垣内かいちはごまかしとくから」

和久は優しく彼女を送り出してパーキングへ戻り、ヨロヨロと追い付いた垣内を「よう!」と明るく迎えた。

 さすが日頃の鍛錬の成果か、和久はみやびを負って走ったと言うのに息が乱れておらず、爽やかにナッツが散りばめられたドーナツを齧る。


 一方垣内は膝に手をつきゼェゼェと息を吐き、

「お、お前ら…、…、…何二人だけで逃げとんねん…、説明せぇよ…」

と恨み言を和久へぶつけた。

「すまん」

 もっしゃもっしゃとドーナツを片付けながら和久はシンプルな謝罪の弁を述べて、

「食うか?」

と大きく歯形が付いたそれを垣内へ差し出す。

「食いかけなんか要らんわ…おい、俺のは?」

「これ」

「…買うてるやん……ん、お嬢は?」

 キョロキョロと顔を振る垣内へ和久は小声で、

「着替えてるから。それよりさ、」

と伝えて別件の相談を持ちかけた。
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