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「つけ込んだし強盗までしたじゃん」

「…か、片想い…だったから…ここ数年…真っ赤な顔してカシャちゃんのもの買って行く玲二くんが…可愛くて…好きになったの…し、信じてくれないでしょ!」

「猫の転生より信じられるわ」

「…だよね…ごめんなさい、その…恋人の有無とかも聞かず…い、1回の思い出で良いって思ったから…ダメ元で言った転生を信じてくれたと思って…滅多に会えないから気が急いちゃって…」


 俺たちを繋いでいたカシャが死んだからもう会えない、諦めかけていたのに姿を見せた俺に気持ちが爆発したのか。

 端的にまとめれば綺麗だが実際にはドタバタ劇だった。

 思い出作りにホテルに飛び込むなんて馬鹿げてるし、そんな発想に及ぶ彼女の精神を疑う。


「お前、ビッチなの?」

「びっ……あの、」

「ホテルに簡単に入っちまうんだもんな、慣れてんの?てかシャツ着ろよ、帰ろうぜ」

「はっ」

 勢いで脱いだものの存在感の薄かった下着姿。

 すっかり失念していた彼女はわたわたとTシャツを拾い頭から被った。

 シチュエーションが違えば興奮したろうにもったいない、あれほど豪快な脱ぎっぷりはなかなか見られるものではないだろう。


 袖を通して髪を整えて、彼女は不本意そうに

「あたし、その…ビッチじゃないから」

と唇を噛んだ。

「そう、最近の若いのは大胆だな」

「~~れ、玲二くんに会えたから高揚しちゃっただけ!ま、まだ、だもん」

「…え、お前処女なの?なのにこんなとこ入ったの?馬鹿じゃない?」

「もういいじゃない…反省してる…玲二くん、結構口悪いんだね」

「そうだよ、幻滅したろ」

「そんなことない、むしろ親しみやすい………なにこれ」

汗を拭き靴を直して、彼女はドアの横の精算機の前に立ち尽くす。

 見るのも初めてなんだろう。


 俺はポチポチ操作してクレジットカードで手早く支払った。

「出ようぜ」
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